コロナ禍の夏、外出する機会も減り、例年よりエアコンの電気代がかさむのでは? と心配している人も多いかもしれない。

そこで今回は、エアコンの節電方法について検証を重ねているダイキン工業さんに取材。巷にあふれるエアコン節電テクニックは本当に正しいのか、広報グループ重政周之さんに聞きました。

  • エアコン節電テクニック、巷のうわさはホント?

フィルター掃除を1年サボると電気代はどれくらい無駄になる?

――エアコンの節電というと最初にフィルター掃除が思い浮かぶのですが、きちんと掃除すると、実際どれくらい節電できるものですか?

実はダイキンで「1年間エアコンのフィルター掃除をしなかったら電気代はどうなるか」を調査したことがあるのですが、フィルター掃除をしたエアコンの消費電力を100%とすると、掃除をしなかったエアコンでは125%の消費電力がかかることがわかりました。

あくまで弊社の調査結果ではありますが、きちんとフィルター掃除をすれば、25%分の電気代を節約できることになりますね。

――想像以上に節電効果が高くて驚きました!

例えばエアコンの冷房運転は、部屋の中の空気を室内機に取り込んで冷やし、冷やした空気を部屋に戻すことで部屋を涼しくしているわけなんですが、そのときにフィルターがホコリで目詰まりしていると、取り込む空気の量が減ってしまいます。

取り込む空気の量が減ると、結果として部屋に戻す冷えた空気の量も減ってしまうので、お部屋全体が涼しくなるまで時間がかかります。その分、消費電力が必要以上にかかってしまうんです。

  • ダイキン工業HPより引用

――どれくらいの頻度で掃除をしたらいいですか?

一般的なエアコンであれば、2週間に1度、フィルターを引き出していただき、掃除機をかけてホコリを取るだけで大丈夫です。

――自動フィルター掃除機能がついているエアコンも、掃除した方がいいんですか?

基本的に掃除は不要です。しかし例外もありまして、例えばキッチンなど油を使う場所の近くにエアコンが設置されている場合、エアコンが空気と一緒に油も吸い込みやすい状態になりますので、定期的なお手入れを勧めしています。

フィルターを外し、中性洗剤を溶かしたぬるま湯で洗うと汚れが落ちやすいです。

電気代はつけっぱなしの方がお得?

――「エアコンはつけっぱなしの方が電気代がお得」という説もよく聞くのですが、本当ですか?

この説、すごく話題になりましたよね。ダイキンとしてもきちんとご説明できるように調査してみたことがあるのですが、結論としては「30分程度の外出であればつけっぱなしの方がお得」※と言えそうです。

あくまで弊社の調査の結果であり、条件によっては当てはまらないかもしれませんが、目安にしていただくといいのではないでしょうか。

  • ダイキン工業HPより引用

※2016年8月15日、最高気温36.3度、天気は晴時々曇、エアコン設定は冷房26度、自動風量という条件で実施したダイキン工業の実験結果による。1LDKの部屋を2つ用意し、エアコンを9:00~23:00、「つけっぱなし」と「30分ごとに入り切り」でそれぞれ運転。消費電力を計測・比較した。

冷房と除湿はどちらが節電になる?

――設定温度は28度がいいと聞きますが、設定温度を低くして一気に冷やすのと、適温でじわじわ冷やすのはどちらが節電になりますか

快適に感じる温度設定は人それぞれかとは思いますが、設定温度を1度あがると10%の節電効果があると言われており、電気代のことや環境のことを考えると設定温度を下げすぎるのはお勧めできません。

また、室温が適温になるまでに時間をかけると、その分消費電力がかかってしまうので、エアコンが効率的に温度を下げてくれる自動運転を使っていただくことをお勧めします

――それから「節電のために冷房ではなく除湿を使っている」という話も聞きます。冷房と除湿の電気代はどちらがお得ですか?

それは"ケースバイケース"ですね。冷房は温度を落とす、除湿は湿度を落とす、というように目的が違うので、その日の温度と湿度によって、どちらの電気代がお得かが変わってしまうからです。

エアコンに搭載した除湿方式にもよりますが、例えば、温度が高くて湿度が低い日の場合、冷房運転をすると室温を下げるためにエアコンはがんばって働きます。一方、除湿運転をするとあまり温度を下げなくて良いのでそこまでがんばる必要がありません。

そのため、快適にすることを目的とした場合は、冷房と除湿を適切に使い分けた方が消費電力は高まる傾向にあります。

――……除湿がいいのか冷房がいいのか、見極めるのは難しそうです。

この問題に対しては、電気代よりも快適さを優先した考え方にはなりますが、気温が高い日には冷房を使い、肌寒いけれど湿度が高い日には除湿を使うという方法が一つ挙げられると思います。

また設定温度の問題と同様になりますが「自動運転を使う」というのも一つの手です。

最近のエアコンの自動運転機能であれば、除湿と冷房のバランスを計算して効率よく部屋を冷やしてくれます。

みなさんが快適だと思う状態を最も効率よく作ることができるので、結果として"節電できている"と言えるのではないでしょうか。