新型コロナウイルス感染症拡大に伴う第1回目の緊急事態宣言が発出されて、約1年半が経ちました。この1年半で、リモートワークが働き方の一つとしてかなり認知されてきました。前回は、リモートワークの現状や、メリット・デメリットを改めて考察しました。今回は、マネジャーとメンバー個人がそれぞれ、これからどのようにリモートワークに付き合っていくべきかについて考えてみます。
マネジャーとしてどのように対応していくか
これまで緊急避難的に行ってきたリモートワークについて、今後は通常運用のリモートワークとして良い付き合い方を構築していくために、何をすればよいでしょうか。まずは、マネジャーが行うことを考えてみましょう。それは、「メンバーをステレオタイプで捉えるのを止めること」、そして「改めて職場のルールを決めること」です。
メンバーをステレオタイプで捉えるのを止める
前回、リモートワークにおける不安と懸念の存在についてご紹介しました。不安と懸念をもたらすものの一つが、「メンバーへの固定的な見立て」です。これは、経営層やマネジャーが、「メンバー」と一括りにして、「セルフマネジメントしながら働ける人材ではない」とみなすことを指します。
実際にリモートワークが始まって、「メンバーがさぼっている気がする」「メンバーが働き過ぎている」という話を伺うことがあります。一見、前者はメンバーへの見方が厳しく、後者はメンバーを信じているように見えるかもしれませんが、基本的には「メンバーはセルフマネジメントが上手ではない」というステレオタイプでメンバーをみているという点では共通しています。
では、「メンバーをステレオタイプで見立てることを止める」にはどうしたらよいのでしょうか。この場合、マネジャーには、メンバーを一括りで見るのではなく、メンバーごとに自律度を見積もったうえで、基本的な関与の程度を決めることをお勧めします。メンバーの自律度は、大まかに以下の2つでわかります。
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そのメンバーは、どれだけ自律的に仕事を進められるか(自律的職務試行のレベル)
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メンバーは誰と協働すべきかがわかっていて、その人にアクセスできるか(自律的協働のレベル)
上記について考えて、基本的な関与の程度を決めましょう。これにより、メンバーが「もっとこまめに見てほしいのに放っておかれてしまう」「もっと自律的に進めたいのに、マネジャーが細かいことまで指示してくる」といったもやもやを抱えることを防ぐことができます。
さらにいえば、関与の程度やタイミングは、期初や仕事に着手する際に、例えば、以下のように当該メンバーにあらかじめ伝えておくとよいでしょう。
・「仕事ごとに進め方をすり合わせてから進めましょう」
・「進め方はお任せします。大きなまとまりの仕事が終わったら報告してください。もちろん、進めていくうえで困ったことや手伝ってほしいことがあったら、いつでも言ってください」
改めて職場のルールを決める
次に、「改めて職場のルールを決めること」です。なんとなく固定化してきた職場でのリモートワークのルールを見直すのも一考です。第1回目の緊急事態宣言から考えると約1年半実施しているのに今更、と思う方もいるかもしれません。しかし、リモートワークを一時的な施策ではなく、今後も活用する必要性を感じている今が、今後、通常運用として長く続けていくリモートワークのあり方を考える好機です。
ここでいうルールとは、「最低限」のことを、「メンバーと共につくる」ことを想定しています。ルールとは例えば、以下のようなことを指します。ちなみに、リモートワークは自律的な働き方がベースとなりますから、マネジャーやメンバーがもやもやしていることに絞って、最低限のルールを決めると良いでしょう。
・どのような機会は対面で行うか、オンラインでもグループメンバーが一堂に会する機会は何か
・メール送信やカメラオン・オフのルール(業務をスムーズに行えるという観点はもちろんのこと、生活環境で仕事をしていること、およびつながらない自由とのバランスを図る)
・どのようなことが起きたら、リモートワークを一時的に中止するか
なお、リモートワーク下でのチームビルディングが難しいという話をよく聞きますが、良いチームを構築する手前に、チームメンバー同士がお互いを嫌だと思わない状況をつくることはとても重要です。こうした点でも、職場のルールを改めて決めることは奏功すると思います。