時雨にBTにミュール……。さまざまな脅威が配送を阻む
地形以外にも、サムの配送を阻む脅威が存在する。デス・ストランディングが発生してからは、「時雨(ときう/タイムフォール)」と呼ばれる特異な雨が降るようになった。この雨には触れたものの時間を早める性質があり、長時間雨にさらされると、荷物が劣化してしまう。
また、幽霊のような「BT」も恐ろしい。BTは音や呼吸を察知して襲ってくるので、近くにBTがいたら、息を止め足音を殺し、気づかれないようにゆっくり進む必要がある。ゲーム内の演出も相まって、「BTの座礁地帯」を進む間はかなりの緊張感。しかも、PS5のTempest 3Dオーディオ技術が、息づかいや足音を立体感ある音で伝えてくれるため、すぐ横までBTが迫ってきている様子をかなりリアルに感じられた。心臓はバクバクだし、手に汗握るだろう。
ゲーム開始時点ではBTに対抗する手段がない。そのため、ただひたすら隠れながらBTの座礁地帯を抜ける必要があるが、少し物語を進めると、BTへ攻撃する武器を入手できるようになる。
武器生成には素材を使うため、極力戦わずに配送することを選ぶプレイヤーもいるだろう。戦うことで荷物を危険にさらすリスクも出てくる。なので、ここもプレイスタイルが別れるところ。筆者は、BTに怯えて呼吸を止めながら慎重に進むのが性に合わないようで、とにかくBTを倒し、安全を確保してから進むことが多かった。
BTに見つからないように進む移動アクションも緊張感があって楽しいが、「血液グレネード」などの武器を使ってBTに立ち向かうバトルアクションも楽しいものだ。
“配達依存症”になった襲撃者「ミュール」も待ち構える。ミュールとは、かつて善良な配達人だったが、感謝の「いいね」によるオキシトシンに依存するようになった人のことらしい。
特定の場所を拠点にしており、サムがそのエリアに入ると集団で荷物を奪いにくる。序盤はBTほど手強くはないが、1拠点に何人もいるので囲まれるとやっかいだ。対抗手段は、殴る、蹴るといった物理攻撃、もしくは対人用武器である。気づかれず背後からミュールに近づけば、縄の対人用武器「ストランド」を使って拘束可能だ。
『DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT』の場合、人間に気絶ダメージを与える「メーザー銃」を序盤に入手できるので、そこまで脅威に感じることはないかもしれない。また、新要素として、ミュールがうろつく「廃工場」も登場する。メーザー銃を作れるようになると、「メーザー銃を活用し、工場跡地で発見された荷物を回収せよ」という依頼が発生するので、廃工場を警備するミュール相手にメーザー銃を使って慣れておくのもいいだろう。ちなみに、序盤は廃工場の一部までしか行けないが、物語を進めると深部へ向かう依頼が追加される。
ミュールの拠点には奪われた物資が数多く集められているため、拠点を制圧できれば、リターンも大きい。武器を使えば簡単に倒せるので、無防備に近づいてくるミュールを見たら、とりあえず倒しておくクセがついてしまった。
だが、決して殺してはいけない。序盤に手に入る対人武器は相手を気絶させる仕様が多いが、バイクやトラックで突撃してダメージを与えることもできるため、うっかり轢き殺してしまうことがある。先に述べたように、遺体を放置するとヴォイドアウトが発生。つまりはゲームオーバーだ。もし、惨劇が起きてしまったら、ヴォイドアウトしてしまう前に焼却所へ運ぼう。
『DEATH STRANDING』では、時雨、BT、ミュールといった脅威を潜り抜けて、荷物を目的地まで届けなければならない。「脅威をくぐりぬける」「荷物も守る」、「両方」やらなくっちゃあならないってのが「配達人」のつらいところである。
新要素「訓練場」と「悪夢」で腕を磨け
「バトルは苦手!」という人のために、『DEATH STRANDING DIRECTOR'S CUT』では新要素として「訓練場」が追加された。訓練場では、その場で武器の試し撃ちができるほか、「演習」でメーザー銃を使って標的を破壊したり、ミュールを倒したり、ストランドの使い方を体験できたりと、いくつものトレーニングを行えるうえに、ほかのプレイヤーと演習のスコアで勝負する「ランキング演習」が期間ごとに開催される。
試しにメーザー銃を手に入れたあと、ミュールを倒す演習に挑戦してみた。ステージは、フィールド上にあるミュールの拠点に比べて入り組んだ構造。こちらに気づかずにうろついているミュールを見ると、ストランドで拘束して数を減らしたくなるが、演習目的の武器で倒さなければ意味がない。早速1人めをメーザー銃でビリビリ。なるほど、思ったより長めにヒットさせていないと気絶させられないことがわかった。
1人倒すと一気に周囲が騒がしくなる。どうやらほかのミュールにも場所がバレたようだ。このあたりはミュールの拠点に攻めているときと近い感覚だろう。
武器の性能をいまいち把握していない状態のまま、ぶっつけ本番で使うのは、弾を無駄に消費する可能性があるので気が進まない。そのため、新しい武器を入手したあと、一度使い勝手を体験してみる機会として訓練場はなかなか役立つと感じた。
より実践的な練習を望むなら、プライベート・ルームの「悪夢を見る」から、過去に対峙したBTと再び対戦してみるのも手だろう。現地調達した武器を使って、いかに少ないダメージでスピーディにBTを倒せるかをほかのプレイヤーと競う「ランキング」も用意されている。
フィールド上でハンターに捕まって発生するキャッチャー戦は、「ヤバい、見つかった」という焦りの感情のまま突入することが多い。そのため、慣れていない序盤は特にテンパっている状態で戦っていた。だが、武器に余裕があり、冷静に対応できれば、実際BT戦は実際そこまで難しく感じない。悪夢で戦い慣れておけば、本番のBTバトルも、より落ち着いた状態で臨めるだろう。
なお、悪夢では、進行状況に応じて、BT戦と戦う「強敵の悪夢」のほか、「戦争の悪夢」なども解放される。