「レガーラエディション」の特典を堪能したらいざ本編をプレイ。ここからはゲームのおもしろさを紹介する。
注意深い観察と多彩な攻撃で機械獣や敵対組織とバトル!
『Horizon Forbidden West』のシステムや操作は、基本的に前作『Horizon Zero Dawn』を踏襲。アーロイが身につけている文明の遺物「フォーカス」を使うと、機械獣の弱点や移動ルート、人の痕跡といった肉眼ではとらえられない情報が見えるようになる。それをうまく使いこなし、調査や追跡、バトルを行うのがメインだ。
たとえば、機械獣と戦うときは、長い草に隠れ、「フォーカス」を使ってじっくりと観察し、弱点の部位や属性を把握するのが定石だろう。移動ルートに罠を仕掛けたり、バレずに近づいて「サイレントストライク」で大ダメージを与えたり、さまざまな戦い方を選択できる。
機械獣をハッキングして仲間にする「オーバーライド」も、前作に引き続き大活躍。各地に点在するダンジョン「機械炉」でコアをオーバーライドすると、より多くの種類の機械獣を「オーバーライド」して味方にできるようになる。
しかし、前作とまったく同じかというと、そんなことはない。『Horizon Forbidden West』では、バトルの選択肢がより広がった。
特に大きな変化は、槍による近接攻撃のバリエーション増加だろう。前作の近距離での立ち回りは、槍による弱攻撃と強攻撃の2択だったため、複数の機械や敵に囲まれたら打開が困難なことも多かった。
だが今作では、スキルツリーを解放していくと、たとえば「R1」から「R2」の長押しで「空中斬り」を発動するなど、コンボ技が使えるようになる。また、ダメージを与えていくと槍にエネルギーをチャージして「レゾネーターブラスト」が撃てるようになるほか、バトルで溜めたゲージを消費して放つ必殺技「勇技」といった要素も追加。前作以上に戦術の幅が広がった。
新たな武器も狩りの自由さを広げる。弓矢と槍だけでなく、スパイクを射出する「スパイクスローワー」や、カッターのようなものを放出する「シュレッダーガントレット」、ガトリングガンのようにボトルを連射する「ボトルブラスター」など、武器の種類も豊富。属性効果も用意されており、相手の弱点に合わせてうまく使えば、有利に立ち回れるはずだ。
隠れて少しずつ敵を倒していくもよし、正面から近接攻撃のコンボでゴリ押しするもよし、敵に合わせた属性で武器を使い分けるもよし。この自由なバトルが同作の醍醐味の1つと言える。
いつまでも探索していられる広く美しいオープンワールド
『Horizon Forbidden West』の世界には、複数の部族がいくつもの集落に分かれて生活している。人がコミュニティを形成すれば、当然問題も起こるだろう。目の前でトラブルが起きていると、アーロイは困っている人の言葉にしっかりと耳を傾け、「人探し」から「素材集め」、「機械獣退治」まで、ホイホイ頼みごとを引き受ける。
そのため、メインクエストとは別のサイドクエストやサブクエストもボリューム満点。メインクエスト以外のクエストをつぶさにクリアしながら進めていたら、相当な時間が必要だと感じた。
しかも、西部の世界は広大だ。近場で目的を達成できるクエストばかりではないので、長距離の移動も必要になってくるだろう。
だが、フィールドの探索は、決して面倒で退屈なものではない。時間を忘れてしまうほど没頭する魅力がある。たとえば、特定の機械獣に気づかれずに近づいて「オーバーライド」すると、騎乗できるようになるのだが、機械に乗ってフィールドを駆ける爽快感は格別だ。
草の葉や木の枝など、一つひとつ細かく描写された世界は眺めているだけでも楽しめるし、自然と機械、原始的な生活をする部族と高度な文明の遺跡の対極的なコントラストは、独特の情景を描き出し、言葉にできない味わい深さを感じさせる。
気まぐれに探索していると、「機械炉」を含むダンジョンや逆賊の野営地を見つけるなど、思わぬ発見もあるだろう。メインクエストの進行上、攻略しなくても問題ない場所が多く、サブクエスト同様に、これらをコンプリートしようと考えたら、かなり時間が必要になるのだが、好奇心を抑えられずつい探索を始めてしまうことが何度もあった。
高所から緩やかに滑空する「シールドウイング」や、ワイヤーをつけてグラップルポイントに高速移動する「プルキャスター」といった特殊アイテムを使った移動も、探索の楽しみを倍増させてくれるだろう。
さらに、『Horizon Forbidden West』では「水中」も自由に泳いで移動できるようになった。序盤は息が続く限りの短い時間のみ潜っていられるが、物語の後半で特殊なアイテムを手に入れると、好きなだけ泳いでいられるようになるので、ただでさえ広い探索エリアがさらに広がる。水中の操作は難しいが、多くの魚が泳いでいる海のなかは、地上と同様に幻想的な光景だった。
やりこみ要素として、至るところに隠されている収集アイテムの発見も、探索の楽しみの1つ。文明が滅びる前の情報の断片である音声、ホログラム、テキストなどの「データポイント」を調べれば、文明崩壊前の世界を考察できるだろう。
そのほか、集落でボードゲームの「ストライク」を遊んだり、闘技場で機械獣を討伐するタイムアタックにチャレンジしたり、機械獣に乗ってレースで競争したりと、多くのミニゲームが冒険を豊かに彩る。
厳しい世界で生き抜く人々を描くサブクエストに、隅々まで探索しがいのあるマップ、ちょっとしたミニゲームの息抜きと、要素がかなり盛りだくさんで、いつまででも遊んでいられる気がした。
弦を引く感覚がリアル! DualSenseが誘う没入感の高い冒険体験
PS5版では、「DualSense ワイヤレスコントローラー」のハプティックフィードバックやアダプティブトリガーが、よりリアルにアーロイの体験を伝える。
特にお気に入りなのが、弓の弦を引くときのアダプティブトリガーの細かい振動。ギリギリと張りつめた様子を伝えるだけでなく、矢を放ったときの反動を左右非対称のハプティックフィードバックで表現する。また、草をかき分けて進むときのガサガサとした感覚や、機械に乗って力強く大地を蹴る振動、機械をオーバーライドするときの揺れまで、「DualSense ワイヤレスコントローラー」で丁寧に再現していた。
そのほか、読み込み速度も速く、ファストトラベルでマップを移動してもすぐにゲームを再開できるので、ストレスなく冒険に没入できるだろう。
ストーリーでは、地球上の生命を救うために「自分がやらなければならない。自分にしかできない。周りに迷惑はかけられない」という感情を抱いていたアーロイの心情の変化にも注目したい。
多くの人と出会い、困難に直面するなかで、少しずつ仲間の協力を受け入れるようになるアーロイ。そういった成長に触れながら進むうちに、アーロイに対する感情移入も強くなっていったように思う。
過去の出来事や人物が複雑に折り重なる展開からも目が離せない。設定はかなり細かく作りこまれており、考察しがいがある。前作をプレイしていなくても、メニュー画面の「ノート」であらすじや登場人物の概要は調べられるが、世界のバックグラウンドをより理解するためにも、前作からプレイしたほうが『Horizon Forbidden West』を楽しめるだろう。
進化した自由な狩りアクションと美しいオープンワールドの探索をかなりのボリュームで味わえる同作。じっくりプレイできる時間を確保したうえで、隅々まで余すことなく楽しんでほしい。