妹の都子役の多部とは昨年舞台『兎、波を走る』で共演していて、弟の潮役の松坂とは初共演となった。

「本当に最高の妹であり、最高の弟だったので、 撮影中も3人で『この場面どうしよう!』と話した記憶がないくらいです。まったく話す必要がないぐらい、 お二人ともただ一緒にいることのできる俳優さんたちだったので、とても居心地が良くて楽しかったです」

編集者である葉子が担当していた人気作家・百目鬼見(もめきけん)役で、星野源も出演している。

「星野さんとは、いつも年末に他局の“某アワード”でお会いしていましたが、お芝居をするのは初めてでした。知っていたようで知らない方だったので、今回ご一緒できて楽しかったです。その百目鬼先生とのやり取りでは、この2人ってものすごく相性がいいんじゃないかと思えるくらい、感覚や物の見方が似ていました。会話のテンポも弾み、キャッチボールが楽しい関係だったのですが、まさかの『そっちかい!』と思いました(笑)」

星野は野木脚本の『逃げるは恥だが役に立つ』(16) や『MIU404』(20)などにも出演しているため「星野さんはきっと、野木さんのドラマのムードをよくわかってらっしゃる感じがしたので、私としてはそこに応えていくというか、会話をしていけばたぶんいい感じになるんだろうなと思い、とても安心感がありました」と話す。

また、演出の土井監督についても、全幅の信頼を寄せて臨んだという松。「常に見守ってくれるし、役者のお芝居をよく見ている監督さんです。そして誰も傷つけず、 かといって何も言わないわけではなくて。それは我々俳優に限らず、若いスタッフの方たちにもそうで、本当は自分でやった方が早いということも一生懸命教えてくれたりします」と感心しきり。「今回、土井さんの下に集まったスタッフも多かったのですが、いろんな世代の方を土井さん自身も頼りにしているということがわかり、そういう優しさを改めて感じられる現場でした」と語った。

鎌倉と釜山でロケを敢行し、日韓両国のスタッフが手掛けた本作。釜山ロケについて松は「現場のスタッフの印象は日本と全然変わらなかったです。皆さん元気だし、日本語の台詞がわからない中で、リハーサルを集中してみてくれて、とても熱心な方が多かったです。自然な画作りや照明作りができていたし、大事だなと思うシーンは、言葉を超えて皆さんがそこを感じてくださり、とても協力的でした。最後の日に、私は参加できなかったのですが、日本チームと韓国チームとの打ち上げがホテルの近くの サムギョプサル屋さんであったそうで、そこも同じだなと(笑)。今後も彼らと交流があるといいなと思います」と振り返る。

また、都子と出会う青年オ・ユンス役を、韓国の人気ドラマ『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』(22)などで知られるチュ・ジョンヒョクが好演している。彼は日本のドラマ初出演にして日本語セリフに初挑戦した。

「ジョンヒョクさんは初めて日本語をしゃべるということで、もちろん全然わかってないで言っているところもあったと思いますが、本当にいつも明るくて。その前向きさにとても救われたなと思いました。スマホを使って私たちにインタビューをしてくれるのですが、そういう機能を私は知らなかったので、教えてくれました」

12月ということで、2024年を振り返りつつ、来たる2025年の目標についても聞いた。

「近年、私は舞台をやってきたのですが、今年は1本もなくて、ドラマと映画を撮っていた1年でした。それぞれに良い出会いがあり、楽しかったのですが、1つ作品が終わると、また舞台をやりたいなと思うことを確認した年でもありました。来年は舞台をやる予定なので、それまで元気に過ごせればいいなと思います。来年は年女で、ちなみに多部ちゃんも年女です。だから何かをということではないのですが、やはり元気でいたいですし、健やかにお仕事をしたいです。来年後半の舞台にも元気に臨めたらいいなと思っています」

■松たか子
1977年6月10日生まれ、東京都出身。1993年に歌舞伎座『人情噺文七元結」で初舞台を踏み、その後、様々な舞台、映画、ドラマに出演。1994年に大河ドラマ『花の乱』(NHK)でテレビドラマ初出演、1997年に『東京日和』で映画デビューし、同年「明日、春がきたら」で歌手デビュー。1998年に『四月物語』で映画初主演。2009年に『ヴィヨンの妻 ~桜桃とタンポポ~』で第33回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞。2014年以降、ディズニー映画『アナと雪の女王』シリーズの日本語吹替え版・エルサ役と劇中歌を担当。映画『ファーストキス 1ST KISS』が2025年2月7日より公開。

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