――これから先も長く続けていきたいとのことですが、女優としてずっとやっていこうと覚悟が決まったような転機がありましたら教えてください。
中学3年生の時に『奇跡の人』でヘレン・ケラーの役を演じさせてもらったのですが、それが初めての舞台で、自分の表現の幅の狭さをすごく実感し、自分の中で自信を持っていた表現を出しても伝わらない瞬間があったり、求められていることにうまく応えられないという葛藤がすごくありました。年齢的にも中学から高校という分岐点で、その時期にこの作品が重なって、もっとお芝居の表現の幅を磨いていかないといけないなと感じた瞬間でもあったので、この作品が終わった後に放心状態というか、抜け殻状態になってしまって。作品が終わって学校に行っても、そのことが頭から抜けないという経験は初めての感覚で、作品を届けるというのは、そのぐらいの熱量を持っていないといけないんだなと感じました。今思うとあの作品が転機だったのではないかと思います。
――映像と舞台の違いというところで大きな壁が?
演出家さんから「それじゃ届かないよ」と言われた時に、ご一緒させていただいた高畑充希さんからアドバイスをいただいたり、周りの方々に支えていただいて自分のヘレン・ケラー像を作り上げることができました。どうしたら届けることができるのかを、改めて学んだ作品でした。
――そこで心が折れることなく、より頑張ろうと奮起されたんですね。
不安な気持ちもありましたが、無我夢中に取り組んでいた気がします。
――その根本には、演じるのが好きという思いがブレずにあるのでしょうか?
そうですね。演じることも好きですし、純粋に映画やドラマを見ることが小さい頃から大好きで、自分もその世界に携わっていたいなと思っています。
――このお仕事から離れようと考えたことはないですか?
それはないです。お芝居だけでなく、歌が好きで、ギターも小さい頃から触れてきて、趣味として作詞作曲をすることが多いので、自分で歌詞を書いて曲を作ってお見せできる機会があったらうれしいなと考えたことはあります。
――今後、作詞作曲された曲を披露する可能性もあるのでしょうか。
そうですね。うふふ。作詞作曲することが好きなので、これからも楽しみながら続けていきたいです。そして、今後も今回のように歌のある作品にも携わっていきたいです。
――『モアナと伝説の海』シリーズは冒険の物語ですが、これまでの人生を振り返って冒険だったなと感じていることを教えてください。
やはり舞台『奇跡の人』が自分の中では一番大きな冒険だったなと思います。自分自身の分岐点にもなった作品で、改めて自分はこの世界で長く生きていきたい、生きていかなきゃと決心がついた作品でした。