今作のリアリティーは、本編に登場する様々な超常現象や伝承について、出典元の参考文献を丁寧に表記する姿勢にも現れている。これについて、大野氏は「文献についてはこのドラマを象徴する映像になると思ったので、通常ドラマではエンドクレジットでまとめて出典元を出すことが多いのですが、今回はそれぞれの事象が絵空事ではない本当にあるものなんだということを示すためにも、あえて劇中にクレジットを打つ方向にしました」と明かす。

また、自身が報道出身であることから関係者への取材にも注力したのだそう。

「報道には10年ほどいたのですが、今回のような超常現象を扱うドラマだからこそ、逆にリアリティーも大事にしたいと思い取材しました。例えば、小夢がMEC(警視庁音楽隊カラーガード)出身という設定なんですが、これについては警察関係者の方に取材させていただき、実際のパレードや本物の衣装を見せていただくなどして、細かくドラマに反映しています。また日本神話については参考文献を読む中で、後にこのドラマの神話監修を担当する先生にお会いできて、登場人物や劇中のアイテムなどについてアドバイスをいただきました」と、報道時代の経験も生きているという。

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神様の視点を通して今の世の中を描く作品に

最後に、いよいよ残り2話に迫った今作の見どころを聞いてみると、大野氏は「9話10話は今までの驚きをさらに凌駕するような展開になっていますので、ここまで見てきた方はもちろんですが、初めて見てくださる方にも楽しんでいただけるんじゃないかと思っています」と予告。

黒岩氏は「10話はまだ撮影しか見られていないんですが、出来上がった9話はめちゃめちゃ面白かったです(笑)。9話以降は、これまでとちょっとギアが変わって、ラストシーンまで振り切ったお話が続くのですが、役者さんとこのチームのおかげでエンタテイメントとしてちゃんと成立していて、最後まで見て良かったと感じていただける作品になっていると思います。また、神様がいると知った人間は何を思うのか、神は何のためにいるのかなど、神様の視点を通して今の世の中を描く…というような作品にも仕上がっていると思います」と力を込めた。

11日放送の第9話では、ついに“ヒルコ”の正体の一端に近づき、そこへ至るまでにまるでスパイ映画のようなスリリングかつコミカルな展開を見せる。ただ、今作の登場人物たちはほぼ“神”だ。誰も想像できない壮大過ぎる攻防戦の末、誰も想像していなかったとんでもないラストを迎えて最終回へとつないでいく。

そこには、難解で複雑な物語を誰もが楽しめるエンタテイメントに仕立てた黒岩氏の筆致と、それに見事に応える大野プロデューサー率いる制作チームのリアリティーによって、大きな説得力を持たせている。最後の最後まで見逃せない作品なのは言うまでもない。

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