• コカドケンタロウ

――家でミシンをやる時間が多くなって、生活も変わりましたか?

コロナがあったり、40代になったり、いろいろ重なったというのもありますけど、家にいる時間が多くなり、外で飲み歩いたりとかは一切ないですね。出かけるのも生地屋とかになって、遊び回ることがなくなりました。

――内面的にも何か変化したことがありましたら教えてください。

時間が空いていたらほぼミシンをやるから、余計なことを考えなくなったというか、時間があるとマイナスなことも考えてしまう時があるけど、そういうのがなくなって、何をやっている時でも「ミシンあるからいいや」と思えるようになりました。お笑いでうまくいかないことがあっても、「家帰ってミシンしたらいいし」って(笑)。どんなことがあっても、ミシンをやったら僕は楽しいから、保険というか、安心感があります。

――ミシンが心の支えに。

そうなんです。19歳の時にお笑いを1回辞めて古着屋をやったらめちゃめちゃ楽しくて、古着屋をやったら楽しいと思えたから、またお笑いに戻ってお笑い頑張ろうとやり始めたんですけど、それと似ています。ミシンやったらいつでも幸せになれるから、ほかのこともぶつかっていける。そうなって、前より安定した感じがします。あと、いろんな欲もなくなりました。ミシンをやることで全部叶っているというか。

――以前は、どんな欲があったのでしょうか。

物欲もありましたが、それもほぼなくなりましたし、「もっとこうしたい」というような欲が、すべてにおいてなくなった気がします。それも、ミシンをやっていて無駄なことを考えなくなったからかなと。

――コカドさんの中で、幸せの最高地点にたどり着いた感じですね。

僕の幸せは、不幸なことがないことなんです。何かプラスなことがあるより、マイナスがないことが幸せやと思って生きてきたので、家でミシンをやっていたらマイナスなことなんて起こることもなく、本当に毎日幸せです。

  • コカドケンタロウ

――2024年も終盤になってきていますが、今年はどんな年になっていますか?

2022年にミシンを始めて、ただただ家で1人でやって、SNSで「こんなのできました」と報告していたら興味を持ってもらって、いろんなことに広がっていった年に。イベントにも呼んでもらい、いろんな人から声をかけてもらえた年でした。

――ミシンを始めたことが芸人としてもプラスに。

「ミシンのことをしゃべって」とか「MCの人に何か作ってきて」とか、ミシンが1個のキャラみたいな感じになって助かっています。バラエティ番組でも、ミシンの話はほかの人がしないことなので、MCの方が興味を持って聞いてくれる感じがあります。

――ミシンも芸の一つのような感じですね。

芸人を始めた頃は、コントをやったり、トークとか大喜利とか、そういうのが芸人の芸の部分だと思っていましたが、芸人の芸がすごく広がってきたなと感じます。ヒロシさんのキャンプもそうですし、今の時代はミシンをやっているというのも一個の芸なんだと。芸人という職業の人は、何でもいいから熱中してやっていたらそれが芸なるんだなと思いました。