2014年に俳優デビューしてから今年で10年の節目を迎えた坂口健太郎。最新作となるNetflixシリーズ『さよならのつづき』(世界配信中)では、4度目の共演となる有村架純とW主演を務め、美しくも切ないラブストーリーを作り上げた。坂口にインタビューし、本作への参加で感じた思いや、10年の俳優生活での変化、現場で大切にしていることなど話を聞いた。

  • 坂口健太郎

    坂口健太郎 撮影:蔦野裕

本作は、プロポーズされたその日に恋人の雄介(生田斗真)を事故で亡くしたさえ子(有村架純)と、その雄介の心臓を提供され命を救われた成瀬(坂口健太郎)の、“さよなら”から始まる愛の物語。

命や生きることについて考えさせられる本作に参加し、坂口は「命に限りがある作品……最終的に誰かが命を落としてしまう作品は何度か経験がありますが、そういう作品をやるたびに、一日一日を大切に生きないといけないなと思うんです。だけど、やっぱ無理だなとも思うんです。命には誰しもタイムリミットがあるから、精一杯今日1日頑張ろうとその瞬間は思うけれど、それを毎日実現させることは不可能だと思っています」と自身の考えを述べる。

そして、「何にもしなかった1日も健康でいるためにはすごく大事だなと思うんです」と、どんな1日にも価値があると言い、「この仕事をしていると毎日不規則だし、忙しい時はめちゃくちゃ忙しいけど、時間が空いたらちゃんと休みが取れるので、精一杯毎日を生きることは僕にはすごく難易度が高いなと。だからこそ、ベッドでゴロゴロして、台本も読んでないし、資料も読んでない、何もしなかったなという1日も、何もしないことができた1日という風な感覚で見ることがすごく大事だなと思います」と語った。

2014年に映画『シャンティ デイズ 365日、幸せな呼吸』で俳優デビューしてから今年で10年を迎えたが、「自分の中ではあまり感慨深いみたいなのはないんです。『10年ですね』と言ってもらって、『あ~もう10年か』と思うくらいで」と今の心境を語る。

この10年での変化を尋ねると、「世界が変わったなと思います。Netflixもそうですけど、配信がすごく強くなって、世界配信も広がったので、そう考えると、見てもらうことはすごく無限に増えたなと思います」と回答。

エンタメ界の変化を感じつつ、自身がやっていることはあまり変わってないと言い、「僕がやってること自体は、朝起きて、現場に行って、打ち合わせをして、衣装に着替えてメイクして、セリフを言って、撮影してもらう。それは10年前から何も変わっていません。メインスタッフの雰囲気で現場が決まるので、僕が主演など作品の重要な部分を占める役をいただいた時は、現場の空気を変えられるようになってきたという変化はありますが」と語った。

そして、「将来こんな俳優になりたい」というビジョンは10年前も今も持っていないと明かす。

「23歳だった時に、10年後こんな役者になっていたいというのはなかったですし、今も、10年後の43歳に何をしていたいというのはないんです。面白いと思える役をやっていたいとは思いますが、こんな俳優になりたいという明確な目標や夢があると、僕の感覚だと、そこに一直線で行ってしまう気がして、目標や夢を決めず、ぼやかしています」

目指すところを決めてないほうが、想像を超えた未来に出会える可能性もあるし、自分自身もより鍛えられると考えているという。

「目標や夢に向かって進んでいくと、すごくきれいな道になると思いますが、ふらふら寄り道をしながらたどり着いた10年後のほうが、きれいな一本道ではなく、太い道になるのではないかなと。その感覚を自分の中ですごく大事にしていて、もちろん会社やマネージャーさんにある程度のことは決めてもらうけど、現場に入ると、明日のスケジュールだけでいいやと、そんな感じでずっとやっています」