ビデオリサーチの北澤由美子氏は、『ラヴィット!』において、F1(女性20~34歳)・F2(女性35~49歳)の視聴分数が顕著な伸びを見せているデータを示した上で、「強いファンが育ってきていると感じております。ファンを育てるという観点で、番組を作られる中で大事にされていることは何でしょうか」と質問。
これに、辻氏は「今の時代はテレビがついていて、何となくチャンネルを回すということがないので、好きの深度をとても大切にしていて、明確に“『ラヴィット!』が好きです”という人をたくさん増やしたいと思って作っています」と明かす。従来の番組作りでは、「なるべく“この番組が嫌い”という人を減らして、そのために好きな人がいる要素も削って“中間”を作るのがベーシックだった」というが、「あえて“嫌い”という人がいるものとして割り切って、『ラヴィット!』を好きでいてくれる人にどんどん好きになってもらって、周りの人に波及していくという方向で作っています」と意識しているという。
具体的には、「各曜日にまたがった企画を展開して、そこにストーリー性をもたせることで、ずっと見ている人が楽しい仕掛けをどんどん作っています。ほかにも、その日にたまたま見たら得したと思えるようなサプライズ感とか、SNSで上がってくるアイデアをすぐOAに反映させて、ファンの人が歓喜する仕掛けを作ったりしています」と、帯の生放送の強みが生かされている。
SNSの盛り上がりを可視化するビデオリサーチのサービス「Buzzビューーン!」によると、『ラヴィット!』は、X(Twitter)のポスト数も増加傾向にあるが、辻氏は「テレビを作る仕事のやりがいは、いかに反響があるかなので、『ラヴィット!』の200人のスタッフのモチベーションにものすごく影響します。なので、番組のスタッフの雰囲気づくりにおいても、なるべく反響を湧き上がらせる仕組みを作りたいと思って、SNSは有益に使わせていただいています」と明かした。
27時間テレビの最後が「カギダンススタジアム」だった理由
『新しいカギ』は、今年の『FNS27時間テレビ』のメイン番組に抜てきされ、若年層をはじめコア視聴率で高い数字を記録する成功を収めた。「Buzzビューーン!」のXでの毎分ポスト数の推移を見ると、クライマックスの「カギダンススタジアム」で大きく伸びていることが分かる。
矢崎氏は「最後をどうやって終わらせるかは、ずっと議論していました」と打ち明け、過去の『27時間テレビ』の例も参考にしながら検討した結果、「カギメンバー7人全員が汗をかくのがいいとなったんです。それと、僕が大学生の時に『ワンナイ』でゴリエ杯というチアダンスの大会をやってムーブメントになっていたのを思い出して、時代の流れで“ダンス”で行こうと一致しました」と企画の方向性が決まったという。
カギメンバーにダンス経験者はいなかったが、「皆さんがそれぞれ高校に足繁く通ってくれて、あれだけのダンスを仕上げてきて、本当にやってよかったなと思いました」と手応えをつかんだ矢崎氏。レギュラーの『新しいカギ』でメンバーが踊るダンス企画をやったこともなく、「ゼロイチの企画がコケるというのは何回も経験しているので本当に怖かった」と不安の中で走った企画だったが、グランドフィナーレを受けてXでは「テレビさいこーーー!!」「久しぶりにテレビ見てよかったって思えた」といった反響が相次いでいた。