新型はUSB-Cによる充電およびLogi Boltに変更
MX ERGO以降の新製品が出てこなかったのは、ある意味MX ERGOが完成された製品だからとも言えます。
人間工学的にストレスを減らすため20度右に傾けられる構造や、各パーツの配置は従来からほぼかわりません。基本デザインが変わらないので、MX ERGO Sも今まで使っていたサードパーティ製のトラックボールケースに収まります。
初代発表時にはやや時期尚早だったかもしれませんが、先進のMXシリーズなら採用して欲しかったUSB-C接続による充電に、新モデルのMX ERGO Sは対応しました。外観からは、USBコネクタと背面の滑り止めラバーの印刷が変わった程度の違いで、パッと見た感じでは新旧がわかりません。
MX ERGO Sに限らずロジクール製マウスは電池持ちがよく、1分の充電時間があれば24時間利用できるというのもうれしいところ(以前のモデルが現在も使えるのは、電池持ちがよいので充電サイクル数が少ないというのも影響しているのでしょう)。
時代の変化にも当然対応。ロジクールは環境配慮に対してパッケージの紙化から始まり、現在は外装プラスチックの20%がリサイクルプラスチックとなっています。MX ERGOでは付属していた、充電用USB-Cケーブルも付属しません。
一方でトラックボール本体は不織布に包まれており、フラッグシップ製品らしさを感じさせるパッケージとなっています。
将来的にはフレキシブルプリント基板の製造において、従来は銅箔をエッチングで取り去る従来のタイプから銅ナノインクのインクジェットでパターンを作成し、銅メッキで配線に必要な厚みにするピュアアディティブ法のPoCを今後進める予定となっています(ちなみにこの技術を開発したのは日本の企業で2023年大きく注目されました)。
また、初代ではUnifyingによる接続でしたが、MX ERGO Sはビジネス製品から採用が進んでいるLogi Bolt接続に代わりました。
ロジクール独自の接続技術となるLogi Boltは、企業オフィスでも安心してワイヤレス製品を使えるという観点から普及が進んでいます。Logi Boltは、Unifyingと同じ2.4Ghzながら、Bluetooth Low Energyを基盤にしたプロトコルに変更されました。混信と遅延も減らし、ペアリングも含めた暗号化が行われているのが特徴となっています。
3つ目の進化は、コロナ禍出のリモートワーク拡大とともに問題視された「クリック音」の低減。MX ERGO Sはその「S」の名の通り、静音スイッチを使用しています。新製品のプレスリリースでは、耐久性の言及はないものの、80%静音となったスイッチを採用していると書かれています。