今回は、1015(長和4)年から1018(寛仁2)年の様子が描かれた。
摂政と左大臣を兼任していた藤原道長は周囲からの反発もあり、左大臣を辞任、摂政も長男・藤原頼通に譲った。それでも一家三后を達成した道長の権力は絶大であり、かの有名な「望月の歌」を披露するに至った。
注目度トップ3以外の見どころとしては、出家を決意したまひろの父・藤原為時(岸谷五朗)が挙げられる。為時はそろそろ現役を退き出家したいと打ち明けるが、『光る君へ』の作中での約40年間のうち、為時が官人として働いた期間はトータルで11年程度だと思われる。文章生として学んだあと、蔵人所雑色・播磨権少掾を務めていたが、初回が放送された977(貞元2)年の時点では官職に就いていなかった。その後、蔵人を2年、越前守を満期4年、左少弁を2年、越後守は任期を1年残して3年で退任している。諸々の事情があったとはいえ、働き盛りの30~50代の大半を無職で過ごした為時は、仕事量としては相当楽な(※無職なりの気苦労や後ろめたさはあっただろうが)人生だったといえるのではないだろうか。
そして、権力を独占した道長に対して、左大臣を辞するよう進言した公任(町田啓太)にも多くの注目が集まっている。「才色兼備で道長に意見できるなんて公任さまはやっぱりすごい」「出世欲のうすい公任さまだからこそ、説得力があったね」「公任くん、言いにくかっただろうに、はっきり話してえらい」「道長くんも、公任くんみたいな友人は大事にしてほしい」と、SNSで絶大な支持を獲得している。
余談だが、京都一夢庵が販売している「公家ようかん」という商品があるが、X公式アカウントによると、11月18日時点での売上ランキングは藤原公任が堂々の1位。『光る君へ』の町田人気によるかもしれないとの店のコメントもアップされている。
道長の詠んだ「望月の歌」は、現代日本でもトップクラスの知名度を誇る和歌だが、様々な解釈がなされている。一般的には「この世はすべて自分の思い通りにできる、望月が欠けていないように」とされる一方で、「この世」は「この夜」で「望月」は3人の娘を指しており、宴の日の月は満月でもなかったということから「今夜は楽しい夜だ。空の月は欠けているが、后となった娘たちは欠けていない」という、自身の幸運を表した歌だともいわれている。『光る君へ』では、廃屋の月のイメージが挿入され、振り返った道長が意味ありげな笑みを浮かべる演出がなされた。これはまひろに向けたラブソングなのだろうか。
きょう24日に放送される第45話「はばたき」では、摂政となった藤原頼通が、父・藤原道長に叱責される日々が描かれる。そして役目を終えたと判断したまひろは内裏から去り、道長は出家を決意する。次回では果たしてどのシーンが最も注目されるのか。