亡き父の人生を知るため、友人・知人たちを訪ね歩くギフレさん。そこで次々に明かされる事実から皎児さんの生きた足跡が明らかになっていく行程は、ドキュメンタリー番組でありながら、ロードムービーを見ているかのようだ。

「“この後どうなるの!?”と思いながら読んでいたので、今までの『ザ・ノンフィクション』とは少し違う目線で進んでいくような気がします。しかも、お父さんが亡くなられたのが今年の4月なので、短い期間のお話なんですよね。それを考えると、どれだけ濃い、怒涛すぎる数か月を送ってこられたのだろうと思いました」

また、皎児さんの友人・知人たちにギフレさんが次々と接触していく姿を見て、「年上の方にも、昔からの友人のように話して(笑)、人の懐に入っていくのがとても上手な感じがしました。それでも相手を嫌な気持ちにさせないというのは、きっとお父さんから受け継がれたものがあって、相手が心を開いてくれるのかもしれないですね」と感心。

その継承を感じて、「私も子育てをしていて、言葉遣いや人への接し方など、モラルや価値観は両親からもらったものだなというのをすごく感じながら、それを今、子どもたちに伝えていると思うんです。そのベースを作った上で、そこからどうしていくかは自由ですが、何を大事にして生きていくかというのを、今毎日伝えていると思うと、私も愛してもらって育つことができたんだと実感しています」と語った。

  • 全焼した実家 (C)フジテレビ

「重い感じにはなりませんでした」

『炎の中で死んだ父を僕は知らない』というタイトルから重い作品に捉えられるかもしれないが、「ギフレさんの前向きに進めていく人柄もあって、ナレーションを読んでいても重い感じにはなりませんでした」とのこと。

お気に入りのシーンは、皎児さんの知り合いで大学教授を務めた芸術家・木村仁さんが、アトリエに遺された作品を見て「コレクターにとってはよだれが出るような……でも、コレクターいないから」とあっけらかんと話す場面だそうだが、個性的すぎる芸術家と交流してきた人たちだからか、今回の登場人物たちは皆、ユニークなキャラクターがそろっている。

そして、それぞれが大事に飾ったり保管してきた皎児さんの作品が、多数登場。宮崎が「どれも力強い作品だと思いました」という絵画の数々も、今回の見どころの一つとなっている。

●宮崎あおい
1985年生まれ、東京都出身。『NANA-ナナ-』『少年メリケンサック』『舟を編む』『怒り』などの映画、連続テレビ小説『純情きらり』『あさが来た』、大河ドラマ『篤姫』などに出演。『ザ・ノンフィクション』では番組最多回数のナレーションを担当し、今回の『炎の中で死んだ父を僕は知らない』で46回に達する。