※本記事は『最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ』全話のネタバレを含みます

お笑いコンビの千鳥がMCを務めるPrime Videoの新番組『Amazon Original「最強新コンビ決定戦 THEゴールデンコンビ」』(全5話配信中)。人気芸人8組が番組オリジナルのコンビを結成し、最強新コンビ(=ゴールデンコンビ)の座と賞金1,000万円をかけ、様々なお題に即興コントで挑む新たな“賞レース”で、見事王者に輝いたのは、高比良くるま(令和ロマン ※「高」は正しくははしご高)&野田クリスタル(マヂカルラブリー)のコンビだ。

12時間にわたる怒涛のお笑い漬け収録だっただけに、本番のことをあまり覚えてないという2人。そんな状況ながら、記憶を引っ張り出して印象に残る出来事や他コンビを振り返るとともに、この番組の特性や本来のコンビとの違いなどを分析してもらった――。

  • 高比良くるま(左)と野田クリスタル

    高比良くるま(左)と野田クリスタル

人間が記憶できないような構造

――配信記念イベントでニューヨークの屋敷裕政さんが「人生で一番追い込まれた日」「あの日の記憶がない」とおっしゃっていたのですが、おふたりも同じ感覚ですか?

高比良:やっぱり記憶は薄いですね。12時間やりましたから(笑)

野田:しかも即興なんで、瞬間的に覚えた記憶の抜け方をするんです。

高比良:ネタを思いついてやったら、その後はもう次のことを考えてますし、ステージごとにセットも変わっていくので、人間が記憶できないような構造になってましたよね。

野田:このスタイルはとどまったらおしまいだし、振り返ろうにも次のネタ作りが始まってるから、もう「覚えてない」っていう技を使ったほうがいいなという感じでした。

――他のコンビのネタもあまり記憶にないですか?

野田:ずっとネタを考えて、探してるから、全然見られてないんですよね。

――そうすると、ネタかぶりの回避はどうされたのでしょう?

高比良:裏では「この小道具がないってことは、誰かが使ってるんだ」と分かるんですよ。そこから、「じゃあこのネタはできないな」って判断できました。

野田:序盤はそうでしたけど、だんだん組数が減ってじっくり考えられるようになっていくから、ちょっと他のネタが見られて発想がかぶったのが分かって、回避できましたね。

  • (C)2024 Amazon Content Services LLC or its Affiliates.

千鳥の真骨頂に頼らず「僕らに任された」

――こういうスタイルのステージは、なかなか経験がないですか。

高比良:ライブとかでないことはないですよ。吉本の劇場のコーナーで舞台上にMCがいて、裏にいっぱい小道具があって、それを使って出てきてモノボケするとかはあるんですけど、今回はスケールがでかすぎて(笑)。序盤は人数も多いので、それも経験したことがなかったですね。

野田:こういうフォーマットって、大抵はMCが終わらせるんですよ。でも、これは俺らが事前にきっかけを伝えて、終わるタイミングを決めなきゃいけない。ってことは、短い時間に自分たちで全部完成させなきゃいけないんです。MCが終わらせる形だったら、その切り具合でウケたり、オチになったりするんですけど、それもないから、「ストイックすぎるだろ!」と思いました(笑)

高比良:でもそれをやると、千鳥さんの真骨頂になるんですよ。「ちょっと待てぃ!!」(※)になるわけじゃないですか。そしたら絶対全部のネタがもっとウケるはずなんですけど、千鳥さんの番組になっちゃうんで、賞レースの真剣勝負だからということで僕らに任されたんだと思います。

(※)…『相席食堂』(ABCテレビ)で千鳥が面白かった場面でボタンを押してVTRをストップするシステム

――だからホリケンさん(堀内健/ネプチューン)が一番ウケた後もネタをやり続けて、屋敷さんが困惑するという構図が生まれるわけですね(笑)

野田:でも、ホリケンさんと屋敷のコンビは、すごいと思いました。ホリケンさんがしつこくやって、屋敷が「もうやめてください!」ってメタ的にツッコむ感じが、どっかで飽きられるだろうと思ってたら、後半までずっとウケて、「これ終わんないんだ!」って思いましたね。

高比良:やっぱりホリケンさんの手数が異常だったと思います。屋敷さんのツッコミのバリエーションで持つのかなと思ってたら、ホリケンさんの量が多かった。一番引き出しが多かったですよね。ベテランだから誰もがそうなるわけじゃなくて、ちゃんと年月分、タンスに何かを入れてきた人なんだなと思って、『THEゴールデンコンビ』に出てそれが一番感動したかもしれないです。

野田:賞レースってコンビのすごさがわかる大会だけど、これは個々の強さが分かる大会だったのが、新鮮でしたよね。

  • 堀内健(左)と屋敷裕政

――そんな強敵がいながらも、最後まで勝ち抜けた要因は何でしょうか?

高比良:「一番面白くないコンビに投票する」というシステム上、ホームランバッターが三振して凡退することはあるけど、そこまで変なことをしなければいいところまで行けると思っていたんです。ただ、途中で負けちゃうだろうなとも思ってました。でも、意外に生き残れて、僕らもそうだけど、12時間ずっと見てる同じお客さんもブーストがかかってきて、応援してくれてる感じがあったんですよね。

野田:僕らは敗者復活で勝ち上がったんですけど、その直後は「もう残ってるもの全部使ってやろう」という感じでできたのが良かったのかもしれないですね。出し切った感じがありました。