『全領域異常解決室』 水曜22時~ フジ
出演者:藤原竜也、広瀬アリス、小日向文世ほか
寸評:「大和朝廷時代からある世界最古の捜査機関で、超常現象のような不可解な事件を捜査する内閣官房直轄の機関」という全決の設定で、「どう見るべきドラマなのか」が明確。藤原のけれんみと広瀬の突き抜けた明るさが超常現象にフィットし、それが同ジャンルを好きな視聴者層に刺さり、FODでの先行配信も効果的に機能している。ただ、放送前から『TRICK』『SPEC』『Xファイル』などのタイトルがあがっていたが、これらからの進化や変化が提示されていないのが、やや残念。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆】
『ザ・トラベルナース』 木曜21時~ テレ朝
出演者:岡田将生、中井貴一、山崎育三郎ほか
寸評:続編の舞台は、働き方改革で縮小し続ける日本医療界で、「医療現場を改革していく」というコンセプトはオーソドックス。テレ朝の木曜21時らしく保守的な設定は同枠の視聴者ニーズに合っている。やはり物語の中心は「物腰は柔らかいが嘘つき」の中井であり、新たな敵となる山崎とのやり取りが評判を左右しそう。看護師は相変わらず芸達者な俳優ぞろいで、『ドクターX』終了後の貴重な医療シリーズ作へ。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『わたしの宝物』 木曜22時~ フジ
出演者:松本若菜、田中圭、深澤辰哉ほか
寸評:『昼顔』『あなたがしてくれなくても』の流れをくむフジ木曜22時らしい作品だが、両作と比べると、展開を急ぎ過ぎて感情が描かれず、共感しづらい作品に。なかでも過去2作は不倫に至る主婦の不満が丁寧に描写されていたが、今作は夫の過剰なモラハラありきで“レアケース”というムードがあり、脚本の差を感じる。「飛ぶ鳥を落とす勢いのSnow Man・深澤がどれだけの数字をもたらせるか」に業界が注目。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『オクトー ~感情捜査官 心野朱梨~ Season2』 木曜23時59分~ 読テレ・日テレ
出演者:飯豊まりえ、浅香航大、影山優佳ほか
寸評:第2弾も設定は変わっていないが、物や場所に残った“残留感情”が見える容疑者の登場など新たな見どころをプラス。さらにようやく感情を取り戻した姉の失踪と指名手配という急展開も加わり、連ドラとしての見どころを担保した。飯豊と影山のバディは深夜の刑事ドラマならではで、鍵を握るタイ俳優のGreatもいいアクセントに。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『D&D ~医者と刑事の捜査線~』 金曜21時~ テレ東
出演者:藤木直人、早見あかり、寺島進ほか
寸評:フジが撤退した金曜21時に20時からスライドしたドラマ枠の第1弾だが、医者と刑事というド定番ジャンルをバディにした超保守作。52歳の藤木と60歳の寺島を起用したところに中高年向けのスタンスが見て取れる。とはいえ刑事ドラマファンは安心して見られる仕上がり。
採点:【脚本☆ 演出☆☆ キャスト☆ 期待度☆】
『ライオンの隠れ家』 金曜22時~ TBS
出演者:柳楽優弥、坂東龍汰、齋藤飛鳥ほか
寸評:「どこにでもいそうな優しい兄、自閉スペクトラム症の弟、転がり込んだ謎の少年」という男3人の関係性や距離感が優しく、ホームドラマとしての魅力がベースになっている。そこに虐待の影、行方不明事件、生活を監視などの「金曜ドラマ」らしい不穏なサスペンス&ミステリーが加わり重層的な作品に。かつて同枠の定番だった「イヤミス」からの令和版アップデートを感じさせられる。1カ月間、他の仕事を入れず当事者とコミュニケーションを取るなどの役作りに励んだ坂東の演技に引き込まれ、寄り添うように支える柳楽の姿勢にも好感。向井理や尾野真千子を巻き込んでどんな結末を迎えるのか興味深い。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】
『無能の鷹』 金曜23時15分~ テレ朝
出演者:菜々緒、塩野瑛久、井浦新ほか
寸評:「アンチ成長物語」のようなコンセプトは面白く笑えるシーンも多いが、小笑いが続いて「ドカン」は少ない。また、各話終盤の感動や「なるほど」が薄めで、「無能さのストレスが勝ってしまう」という感もある。「周囲の人々が主人公に振り回されるコメディ」というより、「勝手に勘違いしていく」というパターン化が目立つのが気がかり。
採点:【脚本☆☆ 演出☆☆ キャスト☆☆ 期待度☆☆】
『放課後カルテ』 土曜21時~ 日テレ
出演者:松下洸平、森川葵、田辺誠一ほか
寸評:一見地味だが、医療+学園+家族の3ジャンルをかけ合わせた間口の広いハイブリッド作。少年少女の無邪気さや残酷さ、悩みや友情などが良い意味で淡々と描写されている上に、子どもがかかる病気や対処法を知り、家族の絆に涙腺がゆるむなどの見応えもある。命をめぐる外科の医療ドラマはさんざん作られてきたが、当作で描かれている病気は小学生にとっての深刻さがあり、感情移入させられていく。令和の子どもたちが持つ空気感を過不足なく映し出す鈴木勇馬監督の演出も冴え、「子役のスター候補が勢ぞろい」という楽しみも。「優男」のオファー多い松下の代表作になるか。
採点:【脚本☆☆☆ 演出☆☆☆ キャスト☆☆☆ 期待度☆☆☆】
『潜入兄妹 特殊詐欺特命捜査官』 土曜22時~ 日テレ
出演者:竜星涼、八木莉可子、及川光博ほか
寸評:「バレたら即ジ・エンド」という命懸けの潜入にハラハラドキドキできるか、次回が見たくなるかどうか。「新たな潜入サスペンス」と掲げているが、兄妹で復讐、犯罪集団などの設定に目新しさはなく、どちらかと言えばツッコミどころを探しながら楽しむような作品に。敵役の俳優名を伏せて「鳳凰」「青龍」などの怪しいネーミングで引っ張るプロデュースは『占拠』シリーズを踏襲しているが効果は疑問。
採点:【脚本☆☆ 演出☆ キャスト☆☆ 期待度☆】