身近な現代事件×最先端の科学捜査では解明できない“不可解な異常事件”を解決していくフジテレビ系ドラマ『全領域異常解決室』(毎週水曜22:00~ ※FODで見逃し・次話先行配信)に出演するユースケ・サンタマリア。ノンキャリのたたき上げ刑事という硬派な役柄とは対照的に、撮影現場ではムードメーカーであり続けているという。

今年デビュー30年を迎えたベテランながら、その姿勢は役者として駆け出しの頃に出演した『踊る大捜査線』(フジテレビ)から変わらないというユースケ。年齢を重ねても「良いことしかない」というこのスタンスの利点とは――。

  • ユースケ・サンタマリア 撮影:蔦野裕

    ユースケ・サンタマリア 撮影:蔦野裕

『全領域異常解決室』に感じる潔さ

――今回の作品の第一印象はいかがでしたか?

「いいねっ!」って思いました。ドラマって1クールで十何個もやるじゃないですか。そりゃもう(ネタが)出尽くしますよね。どうしても見たことあるような話になってくるのはしょうがなくて、そこに新たな何かを入れるためにみんな頑張ってると思うんだけど、今回はあんま聞いたことないなって話で。

最初は、『X-ファイル』みたいな、説明できない不思議な出来事を解決していくチームの一話完結ものかなと思ったんですけど、だんだんすごい展開になっていくんです。それを最初に知らされた時は、「とんがってんな!」と思いましたね。冗談半分・本気半分で言ってますけど、「(いい意味で)視聴者を置き去りにするドラマ」って感じで、潔いなと思って。僕らもそういう仕事を待ってるんですよ。視聴率どうこうじゃなくて、ヒリヒリしたチャレンジングなものを。今回はまさにそんな作品だなと思って、最初に見たときからすごく気に入ってます。

――共演の藤原竜也さんと広瀬アリスさんの印象は、いかがでしょうか?

藤原くんはちょっと普通の人じゃないですよね(笑)。僕に対して、心を許してる部分がすごくあると思うんで、でたらめなことを振ってくるんですよ。こんながっつり連ドラで一緒になるのは初めてですけど、前に映画で一緒になって、それがめちゃめちゃ過酷な作品で、もうずっとバカ話してたんですよ。そういう関係だから、全部僕のせいになるような、巧妙な話の振り方をしてくるんです。

アリスちゃんは、自分でも言ってるけど陽キャですよね。それによく周りを見てる人で、僕は朝が本当に苦手なんですけど、朝イチのシーンで僕を「ゾンビみたいだ(笑)」って栄養ドリンク持ってきてくれたり、ものすごい振動するマッサージ機で肩甲骨とかグワーってやってきたり。すごく痛かったんですけど、すごく優しい人。だからその存在にちょっと助けられてるとこもあります。

  • 藤原竜也(左)と広瀬アリス (C)フジテレビ

いかりや長介さんの「先っちょだけでも真似できたら」

――ユースケさんも現場では、藤原さんや広瀬さんのように、ムチャ振りしたり、周囲を気遣って盛り上げたりしているムードメーカーのイメージがあります。

それは自分のためにやってるんですよ。自分がやりやすいから。「俺がムードメーカーにならなきゃ!」みたいな使命感は別にないんです。

これは皆さんにも試してほしいんだけど、自分が「ムードメーカー」と呼ばれるような立ち位置になることによって、良いことしかないんですよ。現場の雰囲気は良くなるわ、ちょっとした失敗も変な空気にならずに許してもらえるわで、この業界で生きていく術として、今までのキャリアの中で編み出したんです(笑)

――それを身に着けたきっかけはあったのですか?

最初はお芝居も何もできないから、ムードメーカーになることぐらいしかできないんですよ。『踊る(大捜査線)』がまさにそれで、ベテランのいかりや(長介)さんが面白いこと言って現場がドカーンってなるから、その先っちょだけでも真似できたらみたいな感じで自分もやり始めたら、楽だなあって気づいたんです。そうなると自分が元気なくても、「どうせ何かやるんだろ?」ってみんながちょっと期待してるんですよ。それに対してちょっと天邪鬼なんで何もやらなかったりするんだけど(笑)、それでもウワッ!て盛り上げたりすると自分も元気が出て、現場も良い雰囲気になるし。

――我々取材する側としても、記者会見にユースケさんの名前があると、「どんなふうに盛り上げてくれるんだろう」と、ワクワクします。

でも、「こうしよう、ああしよう」ってプランもないんですよ(笑)