今回演じる美羽は、冷え切った夫から受けるモラハラに苦しみながら、幼なじみの男性の子どもを宿すという、“悪女”を彷彿させる難しいキャラクターだ。「“ザ・悪女”って演じやすいと思うんですが、そうじゃないというか、想像しがちな悪女とは多分違うふうにはなっていると思います。そこはある意味、裏切っていきたいというのもありますね」と、これまでの悪女のイメージを払拭したいという。
「社会として説得力を持たせて悪女になっても仕方がないというのを視聴者に伝えるところはありますね。そこは難しくて、私は不倫に対して肯定はしませんから」と美羽という女性は一般社会で認められないと認識しながらも「1つのお話としてこういう物語があってもいいじゃないかと思っています。ただ全く他人事ではなく、結構ある話と言ったら怖いんですけど、もしかしたら自分の近くにこういうことがあるかもしれないっていう、人間の怖さというか、そういうところを見てもらえるようにはしたいですね」と、現実世界でも起こり得るテーマだと警鐘を鳴らした。
共演者についても触れ、「最初に田中さん、深澤さんと本読みをさせてもらいましたが、その時から田中さんは本当に完璧に作っていらっしゃいました。宏樹にもバックボーンがあるので、その後に見返してみると“なるほど”と思うことがありますし、そういう意味では説得力のあるお芝居をされていました。宏樹に感情移入する方がいるかもしれないし、いろいろな人、キャラクターに感情移入できる物語になっていると思うので、田中さんはやっぱりすごいなって本当に思います」と夫役の田中を絶賛。
一方、幼なじみ役の深澤には、「監督さんから『大人の色気を出してくれ』と言われたみたいで、『どうやって出すんですか?』と冗談を言いながら素敵な冬月くんを演じられています。普段彼が見せているバラエティやドラマの顔とは全く違うので、そこでまた違う魅力が見られると思いますし、実際に深澤さんに気づかせてもらえたので、もう冬月くんにしか見えないというか、そういうところがすごく助かっています」と感謝していた。
2クール連続連ドラ主演「一生懸命やるだけ」
松本は『やんごとなき一族』(22年、フジ系)で主演の土屋太鳳をいじめる義理の姉役を熱演し、“松本劇場”と呼ばれる怪演ぶりで一気にブレイク。その後も次々と話題作に出演し、今年は『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)でゴールデンプライム帯連続ドラマの初主演を果たした。そして同ドラマでも主演を務め、2クール連続の連ドラ主演は、業界でも異例の出来事だ。彼女が引く手あまたの証しでもある。
「いろいろなご縁があってとてもありがたい思いでいっぱいです。正直スケジュール的にはすごく大変ですし、やるからにはそれぞれの作品に愛情を持って参加しているので、私は一生懸命やるだけ」と、作品に対してはいつもと変わらない心の持ちよう。「生活はそんなに変わっていませんが、忙しくなってもやることは同じ。一生懸命頂いた役をやり切るしかないということを念頭に置いて、自分の中ではそれを大事にしていかなくてはいけないと思っています」と、やる気に満ちあふれた松本が演じる悪女っぷりに注目だ。