プラモデル・ラジコン・鉄道模型等のホビー製品見本市イベント「第62回 全日本模型ホビーショー」(主催 : 日本プラモデル工業協同組合)が、東京ビッグサイトで10月11~13日に開催された。初日は業界関係者の招待日、土日の2日間で一般公開が行われた。

  • 「全日本模型ホビーショー」に鉄道模型メーカーも出展。試作品やジオラマ展示・車両走行などが見られた

このイベントに鉄道模型関連メーカーも出展し、各社が直近で発売した製品や、今後発売予定製品の試作品を多数展示した。今回はNゲージ大手メーカーのKATO、トミーテック、マイクロエース、グリーンマックスの出展内容を見ていく。

KATO、ワンハンドルコントローラー発売へ - 未塗装キットも!?

まずはKATOブースを見ていく。以前の「静岡ホビーショー」で試作品が展示された113系2000番代湘南色(JR仕様・JR東海T編成)や、381系「スーパーくろしお」が9月に発売され、会場でも展示された。

今後の発売予定品として詳しく紹介されていたのは、JR北海道の釧網本線釧路~標茶間で冬に活躍するC11形171号機・14系500番代「SL冬の湿原号」。C11形171号機は、煙突の回転式火の粉止め、キャブ下の保護柵、デッキにある北海道特有の手すりなど、北海道ならではの仕様を再現。実車が復路でバック運転を行うことから、後位側もライトが点灯し、スノープロウを装備する。

14系500番代は、リニューアル工事を受けた2021年以降の形態で外観・内装を各種再現。ダルマストーブの火も点灯する。客車5両のうち、スハシ44「カフェカー」だけストレート車体になっており、屋根の形状が異なるので、外観の違いが模型的にも面白い。C11形171号機単体(品番「2021-1」、価格1万4,300円)、客車5両セット(品番「10-1957」、価格2万2,000円)に加え、両者を特製パッケージでセットにした特別企画品(品番「10-1958」、価格3万6,300円)の3種類で、11月下旬出荷予定となっている。

  • 11月出荷予定の「SL冬の湿原号」や、直近の発売済み製品などを多数展示

10月4日に発表された新情報の中では、「『TORO-Q』トロッコ車両タイプキット」(品番「28-286」価格7,150円)に注目したい。KATOとしては珍しい未塗装キットで、完成させるとキハ58系の中間に増結して5両編成のトロッコ列車を楽しめる。2025年2月の発売を予定している。

未塗装の組立キットということで、ユーザーが接着剤を使用して車体を組み上げ、塗装や表記貼付けも行う。ロゴマーク等の各種表記は水転写デカールで貼り付ける。ただし、展示の試作品・制作見本を見たところ、プラスチックの成形色がダークグリーンとなっていたため、無理に塗装しなくてもそれなりのクオリティに仕上がると予想できる。内装も別パーツになっているため、先にこれを塗装してから車内に組み込むなど、組立方法もさまざまあるだろう。制作例にデカールがまだ貼り付けられていないことも踏まえ、続報を待ちたい。

これまでのイベントで試作品の展示が行われてきた「ワンハンドル運転台形コントローラー『EC-1』」(品番「22-053」、価格5万9,400円)も正式に発売が決定し、11月下旬の出荷予定が近づいている。力行(加速)5段、惰行、制動(ブレーキ)8段、非常ブレーキの構成になっており、力行時はボタンを押しながらハンドルを倒す。加速度・最高速度の調整も可能。ハンドル操作は固すぎず、緩すぎないクリック感となっており、前後進切換レバーや電源を入れるマスコンキーも実車さながらのつくりになっている。

別売のサウンドボックスとも連動し、ハンドル操作に応じて実車さながらのサウンドも鳴動する。コントローラーとサウンドボックスを連動させれば、臨場感・没入感にあふれた鉄道模型運転に夢中になれることは間違いない。導入コストはかかるが、それに見合った楽しさが得られるのではないだろうか。

  • 「TORO-Q」トロッコ車両タイプの未塗装キットが2月発売。各部を塗装(左の車両)するとさらに完成度が上がるが、素組みでも十分な仕上がりに見受けられた

  • ワンハンドルコントローラーがいよいよ11月発売。サウンドボックスとも連動

  • ポケットライン専用の小型コントローラーも11月発売

  • KATO製品・素材をふんだんに活かしたレイアウトも

一方、「ポケットライン用コントローラー」(品番「22-015」、価格3,740円)も同時期に発売予定。こちらはコアレスモーターを搭載した新動力「ポケットライン」に特化し、スピードコントロールと前後進切換えのみに操作が絞られている。市販のUSB(Type-C)ケーブルとUSB電源アダプターで電源を供給できるが、最大出力は5V、定格電流は200mAとなっている。そのため性能面での制約が多いが、本体は片手で操作できるほど小型で、速度を出しすぎる心配も少ない。テーブルサイズの小型レイアウトや、こどものNゲージ入門などにいかがだろうか。

その他、ブースの一角に「Cityscape Studio」制作の都市型一畳レイアウトも展示された。駅・駅前・市街地に加え、山やトンネル、水面など、さまざまな情景が凝縮されている。その上で、「ジャストプラグ」シリーズで電飾も可能になったため、KATOの製品・素材でいままで以上に充実した情景を作れるようになった。

JR・私鉄ともに充実のトミーテック、あの車両の製品化も決定

次はトミーテックの「TOMIX」「鉄道コレクション」を見ていく。「TOMIX」からは、東海道・山陽新幹線100系や、185系「踊り子」、225系の発売が近づいている。新幹線100系は、車体・窓・屋根を新規製作。先頭車両はライト形状の見直しや床下の作り分けも行われる。食堂車のあったX編成とカフェテリア車のG編成は、増結セットの選択で選ぶ形式となる。セット構成は、基本セット(品番「98874」、価格2万2,220円)、X編成増結セット(品番「98875」、価格2万1,120円)、G編成増結セット(品番「98876」、価格2万1,120円)、増結セット(品番「98877」、価格1万1,660円)の4種類。

  • 新幹線100系(写真右)がリニューアルして10月発売予定。増結セットでX編成・G編成を選択可能。新幹線0系(同左)は2025年1月発売予定

  • 185系「踊り子」や225系0番代も発売が近づいている

185系「踊り子」は、0番代の基本セット2種(各価格2万4,750円)、増結セット(品番「98568」、価格1万8,260円)と200番代(品番「98569」、価格3万1,570円)の4種類を展開。強化型スカートを装備しつつ、その周囲の表現を緻密化させる。動力車には「M-13」モーターを採用した。

225系0番代は、前面に転落防止幌が追加された仕様を再現し、こちらも動力車に「M-13」を使用。セット構成は8両編成(品番「98868」、価格2万9,920円)と4両編成(品番「98869」、価格1万9,140円)の2種類。発売済みの「Aシート」編成とも組み合わせると一層楽しみが増すだろう。

私鉄の発売予定品としては、東武鉄道「SL大樹」が12月発売予定。C11形325号機は、東武鉄道に譲渡され、無線アンテナやジャンパ栓が増設された外観や、運転台の肘掛けを新規製作。車掌車のヨ8000形は、増設したヘッドライトや蓄電池箱を新規で再現。14系客車もグレーの床下を再現し、展望車・オハテ12が新規で再現される。

近鉄の汎用特急として活躍していた12200系も2025年1月発売予定。製造当初からスナックコーナーが省略された編成で、ドア上部に水切りが追加された形態を4両編成(基本・増結A)と2両編成(増結セットB)で模型化する。増結セットには、前面貫通扉開口パーツも付属。30000系「ビスタカー3世」が12月に発売予定となっているほか、「鉄道コレクション」や他社の近鉄車両なども並べて楽しみたいところだ。

また、この会場で発表された新情報として、JR西日本の227系500番代「Urara」、JR北海道の789系「スーパー白鳥」の製品化が決定した。正式な発売情報・製品仕様は今後改めて発表される。

  • 近鉄30000系「ビスタカー3世」の再発売に加え、12200系も新発売。30000系と12200系増結セットに貫通扉開口パーツも

  • 東武鉄道「SL大樹」もTOMIX製品に。東武鉄道に譲渡され、変化の加わった形態を再現

続いて「鉄道コレクション」も、発売予定製品の試作品が多数展示された。2025年3月発売予定として10月10日に発表されたばかりの東急電鉄7200系、南海電鉄9000系、野岩鉄道6050系「やがぴぃカー」、近鉄1420系も試作品が見られた。中でも南海電鉄9000系は、事業者限定品で過去に販売されたことがあったが、一般販売となって購入しやすくなる。東急電鉄7200系は非冷房車が再現され、譲渡車でない、純粋な東急電鉄の車両として一般販売される数少ない機会となる。

「静岡ホビーショー」での発表以来、無塗装サンプルの展示が行われてきた新交通ゆりかもめ7300系も、3月発売予定・価格1万8,480円として正式に発表された。窓が大きく特徴的な前面や、側面中央のグラデーションになっているラインなど、表現の難しそうなところまで的確に再現。6両編成とはいえ小型なので、近未来感のあるフォルムがどことなくかわいらしく見える。これを走行化させる場合は、トレーラー化パーツと「ノスタルジック鉄道コレクション」と同じ動力ユニット「TM-TR07」を2個使用する。

  • 「鉄道コレクション」の試作品も多数出展。開発が進められていたゆりかもめ7300系も正式発表された

  • 寺のある情景ですれ違う急行型車両を撮って楽しむ

  • 夕日の差し込む機関区

  • 今度の「プラレールリアルクラス」は「トワイライトエクスプレス」(写真左)と201系(同右)

トミーテックブースではその他、ジオラマ上で車両を撮って楽しむ「トミックス撮り鉄」コーナーも登場。「プラレール リアルクラス」で11月23日に発売予定の「トワイライトエクスプレス」と201系(JR西日本・ウグイス)の試作品も展示された。