そして、「食をテーマにしたい」との思いから主人公がやがて栄養士になる物語に。

「作品を作る時に常に食にこだわるので、食をテーマにした作品にしたいなと。ただ、朝ドラでは『ごちそうさん』など食をテーマにした素敵な作品があるので、どう今までやったことのないものをやるかという時に、栄養士という仕事にたどり着きました。栄養士や管理栄養士さんは食べ物で人を元気にする職業で、妊娠して出産した後の離乳食といった病院での食事から、学校の給食、学食、就職してからの社食、あと、コンビニやレストランのメニュー開発をするのも栄養士さんで、さらに年老いて入院した時も管理栄養士さんが関わり、人の人生に頭から最後までずっと関わる仕事なんです」

根本氏は「栄養士という仕事は人の人生に食を通じて一生関わる仕事だとわかって、これはきっとドラマになるなと確信しました」ときっぱり。さらに、父親が癌で亡くなった際に、病院で管理栄養士が献身的に世話をしてくれた経験もあり、「栄養士を書くべきだ」との思いがあったと明かした。

初回から食事シーンが描かれるが、根本氏は「自分の作品の中で常に食を大事にしていて、どんな番組でもけっこう食べるシーンを意図的に出すんです。食べるという行為は、キャラクターと、キャラクターの人生が出るので」と食の重要性を強調する。

ちなみに、主演の橋本とヒロインの共通点を聞くと、「おいしそうに食べるとか、元気な感じは橋本さんのポテンシャルではありますが、橋本さんに合わせるというより、米田結というキャラクターができてから、橋本さんがそれを見事に演じてくれているなという感じです」と語った。

橋本とは今回が初タッグとなる根本氏。本作ではコミカルなやりとりも描かれるが、橋本のコメディエンヌぶりを「素晴らしいです。もともとキャラクターをキャラ立ちさせるのがすごく上手で、コメディの感覚が優れているなと思っていましたが、ツッコミセリフや心の声でツッコんだりする時のトーンと間が完璧なんです」と絶賛し、「橋本さんだからどんどん笑いのセリフや間を入れても大丈夫だなと本読みの時に思いました。見事な間とタイミングだったので、この人ならもっと面白いシーンを入れても大丈夫だなと思い、笑いの部分がどんどん増えていると思います」と橋本が主演だからこそ笑いが増えていると明かした。

■根本ノンジ
1969年2月2日生まれ。千葉県出身。ドラマ『ハコヅメ~たたかう! 交番女子~』『監察医 朝顔』『正直不動産』をはじめ、数々のヒットドラマや映画の脚本を手がける。近年のそのほかの作品は、『相棒』『合理的にあり得ない~探偵・上水流涼子の解明~』『サ道』『パリピ孔明』など。

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