自身が嫉妬した番組を聞かれると、天宮氏は「私は“この原作をこんな面白く実写化するのか。やりたかったなあ”とか結構嫉妬するほうなんですが、最近ではNHKさんの『パーセント』というドラマですね。実際に障害を持った方々に、ドラマの中で役者さんとして演じてもらうという作品なんですが、これを作った方が、面識はないんですが、大学の同期だったんです。意義があって考えさせられて、かつ面白いという素敵な作品だったので、自分もこういうドラマを作れるように、さらに頑張らなきゃなと鼓舞させられました」と回答。

また、エンドロールを「ものすごく見ます。止めちゃいます」といい、「すごくヒントになるんです。音楽や演出がカッコいいなと思ったら、どんな人に頼んでるんだろうと調べて。クリエイターはインプットの時間もすごく大事だと思うので、日本国内のみならず、各国の作品から日々勉強するのが大事だなと思います」と強調する。

このインプットの時間として、柳田氏は「うちの会社(テムジン)では、週1くらいで社員みんなが会社に集まって、缶ビールとか飲みながら番組を見る会というのをやってるんです。同僚の番組や最近話題になった番組を見てから、あーだこーだ1~2時間しゃべるというのがあって、そこで同僚に“なんであのインタビューはああいう聞き方したの?”とか“どうやって撮ったんですか?”と、喧々諤々(けんけんがくがく)やってます」と、独特の取り組みを紹介した。

「好きな気持ち」が最も大切な仕事

最後に、会場に集まった若いクリエイターや学生へのアドバイスを求められると、野中氏は「僕は自分が作っているバラエティを“作品”とは思ってなくて、“話題になってこい”と送り出している感じがあるんです。それはテレビもネットもサブスクも関係なく、ムーブメントを起こすという目的にコンテンツを作ることは、結構大切かなと思ってやっています。視聴率より先のものを見ていくと、突発的な発想とか面白いことを思いついたり、気づいたりするのかなと思って生きてるので、それが参考になれば」とコメント。

天宮氏は「我々は結構視聴率どうこうとか気にしなくちゃいけなかったり、テレビの未来はどうだみたいなことを言われて、頭を抱える日々かなと思ってるんですけど、根底に自分が面白いと思うものを作り続けていけば、それが皆さんに届くんじゃないかと信じてやっていきたいと思うので、一緒に切磋琢磨してこれからもやっていきたいなと思います」。

丸山氏は「社会人を10年やっていて、いろんな人を見て思うのは、好きな気持ちとか好奇心とか熱意とかに勝てるものはないなと、すごく実感しています。スキルがあることも大事かもしれないけど、それよりもやりたい気持ちのほうが大事だったりして。私たちはエッセンシャルワーカーではなく、何かを作らなくても基本的に誰も死なないような仕事なので、作らないことはいくらでもできると思うんですけども、そこでやっぱり最後に残るのは“作りたい意思”というところが強いと思うんです。そういう気持ちを大事にしていただけたらと思いますし、そのために仕事以外でも楽しいと思ったことに頑張ってみるといいのかなと思います」。

そして柳田氏は「テレビ業界って資格もいらないし、“テレビ業界に向いてる人”って結構広くて、むしろほぼ全ての人が当てはまる広い世界なんじゃないかと思っています。おしゃべりな人もいればそうじゃない人もいますし、アクティブな人もいればインドアな人もいるし、皆さんの個性がそのまま生かせる場所だと思うんです。ADとか新人時代に“あの子大丈夫かな?”って思っていたような子がディレクターとしてとても大成することもありますし、逆にスーパーADだった人がディレクターになって壁にぶつかることもありますし、皆さん自分の好きなもの・楽しいと思ったことを伸ばしていけば、どんな方でもなれる職業の一つかなと思います」と呼びかけた。