W主演を務める野村周平と塩野瑛久については、「本当に野村さんと塩野さんにやっていただいて良かったなと思っています。やっぱりどんなキャラクターなのかは、実際に演じてくれないと見えてこない部分があるんです。だけど野村さんと塩野さんが演じたものを見ると、当然なんですが、生き生きとしていて、すごいなと驚きました」と太鼓判。
また、「彼らは初共演だったので、クランクインするときはぎこちない部分があったんです。だけど撮影を通していくうちに、お互いのキャラや関係性がすごく深まってきて、最後のほうはアドリブもバンバン飛び出すし、漫才のボケとツッコミみたいな部分も出てきました。それが、全く違う2人が徐々に成長して、お互いを認め合う…という、ドラマのストーリーと一致していったので、そこに感動しました」と回想した。
地上波では制限のある表現にも挑戦
フジテレビの動画配信サービス・FODで配信される今作。地上波の制作と比べると、「大きく違うのは、尺が決まっていない部分ですね。地上波だと放送時間をあと10分伸ばしてよ…と思うこともあるんですが(笑)、今回は内容優先で作ることができました」と話す。そして、「今回は恋愛のもつれによる事件なので、ベッドシーンというか、そういう見応えのあるシーンを入れました。地上波だとどうしても制限があるので、ドロドロした恋愛ストーリーに説得力を持たせる意味でも、エロティックな表現にも挑戦してみました」と予告した。
最後に今作の見どころについて聞いてみると、「野村さん演じる愛を信じている刑事がいて、もう一人は塩野さん演じる、愛を信じていないチャラいような男なんですが、そんな正反対の2人が、ドロドロとした恋愛事件に接していくうちに、お互いの恋愛観をぶつけあったり、明かされる恋愛の真実に驚いたりという物語になっています。ですので、2人の刑事と一緒に、ドロドロとした恋愛ストーリーとミステリーを楽しんでいただければなと思います」と紹介した。
初回のエピソードは、“7股交際”している男性の、その相手の女性たちが次々殺害される“デスノート”というかなりキャッチーな物語。通常のドラマであれば絵空事として片付けてしまいそうだが、このエピソードももちろん“リアル”に基づいている。
だからこそ、その過程や真相がよりショッキングで、何より怖ろしさが増大する構造に仕上がっている。また長江監督の言う通りエロティックな表現があることで “生々しさ”が加わり、よりドラマに没入してしまう。主人公2人のキャラクターの変遷も追いながら、最後まで“リアル”なドロドロ恋愛劇とミステリーを堪能したい。
●長江俊和
1966年、大阪生まれの映像作家、小説家。深夜ドラマ『放送禁止』シリーズは熱狂的な支持を受け、3作が劇場公開。小説『出版禁止』『掲載禁止』『検索禁止』(新潮社)、『放送禁止』『恋愛禁止』(KADOKAWA)などの、「禁止」シリーズは累計35万部を突破している。そのほか、映画『パラノーマル・アクティビティ第2章 TOKYO/NIGHT』『不安の種』、テレビドラマ『東京二十三区女』『富豪刑事』『歌のおにいさん』『世にも奇妙な物語「午前2時のチャイム」』『学校の怪談「アサギの呪い」』『アイゾウ 警視庁・心理分析捜査班』などを手がける。小説の最新刊は『時空に棄てられた女 乱歩と正史の幻影奇譚』(講談社)。