フジテレビ系列28局とBSフジが厳しい環境で暮らす世界の子どもたちを支援する「FNSチャリティキャンペーン」が、今年50周年を迎えた。テレビ局のチャリティと言えば、日本テレビ系『24時間テレビ』の印象が強いが、それよりも4年前にスタートした先駆的な取り組みだ。この一環で、倉田大誠アナウンサーがネパールを取材した『FNSチャリティキャンペーン2024 ネパール 見捨てられた20万人』『山で生まれて…“再生産される貧困”』が、同局系情報番組『めざまし8』(毎週月~金曜8:00~)で、25日・26日に放送される予定となっている。

この50年、どのような歩みをたどってきたのか。また、テレビ局がチャリティ活動を行う意義とは。フジテレビの吉川裕介執行役員社会貢献推進局長に話を聞くとともに、これまで4つの支援国を取材した佐々木恭子アナウンサーと、昨年度のパキスタンに続く取材となった倉田アナウンサーに、現地での忘れられない出会いや感じたこと、そして「伝える」ことについて語ってもらった――。

  • (左から)倉田大誠アナ、佐々木恭子アナ、吉川裕介執行役員社会貢献推進局長

    (左から)倉田大誠アナ、佐々木恭子アナ、吉川裕介執行役員社会貢献推進局長

初年度は大みそかに生放送の大型特番

「FNSチャリティキャンペーン」がスタートした1974年、フジテレビ開局15周年を迎えた。これを記念して新たな取り組みを立ち上げる気運が局内にあり、同年、こちらも現在まで続く『FNS歌謡祭』がスタートしたほか、150万人を動員した『モナリザ展』も開催されている。

そんな中、前年の第1次オイルショックにより高度経済成長が終えんを迎え、経済から心を大切にする時代に日本がシフトしていくのを捉え、当時の担当者が発案したのが、ユニセフ(国連児童基金)と協力したチャリティ活動。系列局も巻き込み、日本のテレビ局で前例のない大規模な運動を立ち上げることになった。

10~12月をキャンペーン期間として、『小川宏ショー』『3時のあなた』といった全国ネットのワイドショーや系列各局のローカル番組で、海外アーティスト、政財界、文化界、スポーツ界などから寄贈された品でオークションを開催し、その金額をユニセフに寄付。ローマ法王やブリジット・バルドーといったビッグネームも参加したという。

そして、キャンペーンの集大成として、大みそかのゴールデンタイムに高島忠夫司会の特番『ユニセフ・ワールドショー“’74 世界の国から大集合”』を東京宝塚劇場から生放送。ユニセフ親善大使(当時)のダニー・ケイもゲスト出演し、全国各地に設置された募金箱も含めた集計で、募金総額は5,500万円以上に達した。

この成功を受け、「FNSチャリティキャンペーン」は、翌年以降も実施されることに。吉川局長は「50年前にとても先駆的な取り組みとしてスタートし、それが現在まで続いているというのは、当時の担当者の先見の明があったんだと思います」と感心する。

支援国から気候変動の影響実感

3年目の76年度までアジア全域を支援対象としていたが、77年度からバングラデシュ、ネパール、パキスタンなど、具体的な支援国を掲げ、81年度にはウガンダとソマリアの難民救済でアフリカにも拡大。35年目を迎えた08年度からは、支援テーマを「世界の子どもたちの笑顔のために」に一新し、この年は南米・ガイアナ共和国が対象に加わった。

近年は年度の支援国を1つに絞って活動を展開。サイクロンの被害を受けたモザンビーク、モンスーンによる降雨で国土の3分の1が水没したパキスタン、温暖化で氷河が溶けて洪水が発生したネパールなど、「気候変動による自然災害が、地球規模で起こっているのを感じます」(吉川局長)と傾向があるという。