――今や俳優業と超特急の“二刀流”でご活躍されていますが、先に俳優デビューされてお芝居をされてきた後に、超特急に加入されました。
事務所に入ったのが中学1年の冬で、それからいろんな作品に出させてもらっていたんですが、高校2年の時に「グループでやってみないか?」と声かけてもらったんです。そこでグループ活動をすることになったんですが、最初の頃は“二刀流”ではなくて、それぞれ一つずつみたいな感じでした。
――それから実際に“二刀流”となって、この両立は最初から「いける」という感覚があったのですか?
自分の中でグループの時と個人の時とでの切り替えみたいなものは、はっきりとないんです。グループはメンバーがいるんで、良くも悪くも甘えられる部分がありますけど、1人の時だとやっぱり自分でやらなきゃいけないというくらいの違いで。ここを明確に変えようみたいな意識も特にないので、そこに関してのプレッシャーはあまりなかったですね。
――スケジュール的に大変だったことはありませんか?
ツアーをやりながらドラマを並行してやっている時期もありますが、慣れていきましたね。確かに最初は大変だったと思うんですけど、そこまで大変だったという記憶もないんです。
――もう無我夢中だったのかもしれませんね。
そうですね。その時、その時で目の前のことに挑んでいた感じでした。
――グループ活動と俳優業が、双方に与えるメリットというのもありますか?
表現の面で言うと、カメラで抜かれるタイミングとか、このアングルだと手元まで入らないとか考えるようになったのは、芝居をやってきたことが生きてますね。あと、グループでのパフォーマンスの時に、喜怒哀楽がはっきりと表現できるようになった部分があると思います。昔はファンの方にも言われていたんですけど、笑わずに無表情でパフォーマンスしていたんです。でも、いろんなお芝居を経験し、自分が人生経験を積んだのもあると思うんですけど、表情が豊かになったとおっしゃっていただく機会が増えたんですよ。笑顔だけじゃなくて、バラードだったら儚(はかな)い表情が自然とできるようになっていたり。
――台本から読み込むように、歌詞から読み込んで表現するという作業もあるのですか?
そうですね。ダンサーなので、基本は音を拾って体で表現するんですけど、しっかりと歌詞を聴いて、応援してくれてる8号車(=ファン)に対してどういう感情を伝え届けたいのかを考えながら、パフォーマンスしています。
――表現が豊かになった自覚が、ご自身の中でもあるんですね。
そうですね。豊かになればなるほど、やっぱりステージに立って楽しくなるので、すごく良かったなと思います。
――ファンの拡大という意味でも、“二刀流”は大きいですか?
そこもすごくありがたいことにあると思います。個人的に最近一番反響があったのは『みなしょー(みなと商事コインランドリー)』(テレビ東京)なんですが、そこからライブに“乗車”してくださる方がすごく増えたんです。作品を好きになって、役を好きになるというのはあると思うんですけど、そこからその役を演じてる人に興味を持ってライブまで来てくださるのは相当なことだと思うので、それはすごく感謝しています。
僕を知ってくれる方は、今までは「グループの方が俳優もやってるんだ」というパターンが多かったんですけど、最近は「グループもやってたんだ」という方が増えてきたんです。個人の活動がグループに還元できることは素敵なことだなと思います。
――グループの皆さんから、出演作品の感想をもらったりされるのですか?
別に仲が悪いとかじゃなくて、個人の仕事に関しては、お互いあんまり話さない感じなんですよ。2年前に入った4人の中でハルとかアロハとかは最近お芝居の仕事が増えていますが、改めて「見たよ」とか「あれ良かったよ」とか声をかけるのは、あんまりないですね。でも、きっと見てくれてはいるんです。確実に見てるだろうなっていう人もいますから(笑)
30歳になる心境は「五分五分」
――20代最後の年を迎えて、残り半年で30代ということですが、20代でやっておきたいことはありますか?
感情として、30歳になるのは嫌だなっていうのと、早く30歳になって大人になりたいなというのもあって、五分五分なんですよ。だから普段からあんまり年齢のことを考えないようにしているんです。自分で言うのもあれなんですけど、わりと童顔で、実年齢よりも若く見られることがありがたいことに多いので、まだ役の幅は広いほうなのかなと思うんですけどね。
――まだまだ学生役も。
回想シーンでたまにあったりしますが、リアルな学園ものは、もう僕の心がもたないと思います(笑)。クラスで圧倒的に最年長だと思いますし、気をつかわれそうですし。もし仮にあったとして、きっと居づらいと思います(笑)
――30代でやりたいことはいかがでしょうか?
いろんな役をやらせていただくことが好きなので、まずは与えられた作品をやっていきたいと思いますし、もっと役の幅を自分の中で広げていきたいです。あと、僕は役に対してのアプローチが割と感覚派なので、その部分を持ち合わせつつ、しっかりとしたもう一方の部分が欲しいです。それが何かはまだ分からないんですけど、違うアプローチで自分なりにやってみて考えてみたいなと思います。
――ダンサーとの二刀流というのも、引き続きということですね。
はい、そうですね。
――最後にベタな質問で恐縮ですが、ドラマのタイトルにかけて、最近「愛してる」ものは何でしょうか?
コーヒーを愛してます。別に詳しいわけじゃないんですけど、最近コーヒーメーカーを買ったくらい好きで。もともと苦み系のものはあんまり得意じゃなかったので、牛乳とかいろいろ混ぜていたんですけど、単純に美味しいということに気づいたんです。あと、頭も回るようになると聞いて、飲んでいます。
●草川拓弥
1994年生、東京都出身。08年『貧乏男子 ボンビーメン』(日本テレビ)で俳優デビューし、『花嫁のれん』(東海テレビ)、『高校生レストラン』(日本テレビ)などに出演。12年には超特急に加入し、ダンサーとして活動しながら、その後も『ウルトラマンギンガ』『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』『みなと商事コインランドリー』(テレビ東京)、『家売るオンナ』シリーズ(日本テレビ)、『デブとラブと過ちと!』(TOKYO MX)などドラマ、『チェリまほ THE MOVIE~30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい~』などの映画に出演する。現在、FODオリジナルドラマ『愛してるって、言いたい』が配信中で、スピンオフに桜井玲香とW主演。菅井友香とW主演の『ビジネス婚-好きになったら離婚します-』(MBS)も放送中。6月7日には映画『みーんな、宇宙人。』が公開された。
スタイリスト:東 正晃
ヘアメイク:Mashino
衣装協力:LAD MUSICIAN