夫婦の子育てにおいてメリットがあるシェアハウスだが、この環境で育てられる子どもにとってもプラスの面があると受け止めた。
「社会性は身についていくんじゃないかなと思います。人への恐怖心がなくなるし、いろんな文化に接してるから、“うちの家はこうだから”みたいな狭い許容範囲の器もガーッと広がって、いろんな枠を取っ払って見られる子になりそうですよね」
また今後、子どもが成長していくにつれ、「周りから受験勉強でいい学校を目指さなきゃいけないとか、夢を持ちなさいとか言われることがあるかもしれない。でも、こうやって大人たちがユーモアで柔軟な発想で力強く生きている姿が見られるのはいいですよね」と想像した。
近所付き合いの実践から感じるコミュニティの良さ
都会ではどんどん少なくなっている“近所付き合い”。上野は、最近になって自然と交流するようになったという。
「マンションから一軒家に引っ越した時に、ゴミ出しのルールを知らなくて、ネットをかけなかったことでカラスにやられてバラバラになっていたのを、近所の方がきれいにしてくれていたんです。それを教えてもらってから、隣の家の奥さんが東北出身の方で、私が『監察医 朝顔』(※)をやっていていたのもあって仲良くなって、ご体調を崩されていた時に私がお見舞いに行ったり、ご家族と一緒にバーベキューしたり、いつも気づいたら早朝から掃き掃除してくれる方が、うちの夫のお父さん(和田誠氏)のお母さんと同じ女学院に通っていたとかつながりがあったりして、私も野菜を持って行ったり、たまにポストにプレゼントが入っていたり、ゴミ出しがきっかけで今も仲良くさせてもらってます!(笑)」
こうしたコミュニティの良さを実感しているからこそ、子育てシェアハウスに共感する部分が大いにあったようだ。
(※)…『監察医 朝顔』で上野は東日本大震災で母親を失った役を演じた
子育て以外でも自分の世界が広がる可能性
多様性ある暮らしを実践している「子育てシェアハウス」。上野は「例えばLGBTQの人とか、日本だとまだいろんな悩みを持っている人が多いと思うんですけど、このシェアハウスという形態はそういうことも超えていくんだろうなと思いました」と可能性を感じながら、「昔演じたドラマ『ラスト・フレンズ』もシェアハウスだったなあと」と思い出したよう。
そして、「この放送を見て、子育て以外のことでも検索してみたら、自分の世界が広がるコミュニティが、もしかしたら近くに転がってるかもしれないですよね。何か自分がしんどいなと思ったことが、身の回りの友達でも、知らない人でも、一致する人たちがいれば、こうやってSNSで集まって“家族”になり得るんだと知って、私にとってもすごくいい刺激になりました」といい、「放送の5月26日は結婚記念日なんです。素敵なお仕事を頂けて、ありがとうございます」と感謝していた。
●上野樹里
1986年5月25日生まれ、兵庫県出身。主な出演作にドラマ『のだめカンタービレ』『江~姫たちの戦国~』『監察医 朝顔』、映画『スウィングガールズ』『のだめカンタービレ最終楽章 前・後編』など。明るいキャラクターからシリアスな役まで幅広く演じる女優として活躍している。22年度には、ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』『ヒヤマケンタロウの妊娠』などに出演。23年度作品には、ドラマ『私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-』、ミュージカル『のだめカンタービレ』、映画『隣人X-疑惑の彼女-』などがある。