近年、ドラマや映画で芸人たちの存在感が増しており、『光る君へ』でも、金田のほかに、ロバートの秋山竜次が藤原実資役、カラテカの矢部太郎が乙丸役を好演している。

金田は、芸人が俳優として演じることについて以前は「芸人は俳優なんてやらずに芸のことをもっと考えろ」と否定的な考えがあったが、今はごく当たり前のことだと捉えるようになったという。

「源俊賢役の本田(大輔)さんと食事をしたときに『二枚目が男前で三枚目がおちゃらけていると言うが、イギリスだと一枚目がコメディアン』という話を聞きました。また、塚地さんも以前、あるベテラン俳優から『もともと映画はコメディアンのものですから不思議なことじゃないですよ』と言ってもらったそうで、『コントの延長線上に(俳優業が)ある』と。僕も今までは、演技なんか大それたことはできませんと思っていましたが、確かにチャップリンやバスター・キートンなどの喜劇は映像で、我々コメディアンが映像の世界で演じるって、いたって普通のことだと気づきました」

目指すは、志村けんさんのような“喜劇王”だという。

「“第二の志村さん”みたいな感じで喜劇王を探す企画を千鳥さん番組でやらせてもらったときに、酔っ払いを演じたら『向いているぞ』と。“喜劇王・金田”という道もあるんじゃないかと。30代後半で芸人と俳優をやらしていただいたその先、40代には喜劇王を目指すというのが面白いんじゃないかなと思っています」

そして、「喜劇王に俺はなる!」としっかり宣言。「これからの目標として非常にしっくりきました。やりたいこと、やるべきこと、向いていることがつながってきている」と自身の目指す道が明確に見えてきているようだ。

志村けんさんのような喜劇王を目標に 芸人ならではの強みも分析

また、芸人の強みとして、度胸や間(ま)の取り方などを挙げる。

「自分でネタを作って演じて、演出も自分でやる。それがお客さんの前でスベると、防衛本能を働かせないと心が壊れてしまうぐらいメンタルやられるので、スベっている強みがここへきて出ているのかなと。そして、劇場に20年出させてもらって毎日のようにネタをやってきて、同じネタでもちょっと間がずれたり言い回しが変わっただけでウケなくなるというデータがたくさんある。失敗したり、間のずれを気にしているから、細かいところに神経が行くのかなと。神経が行くのはスベっているからだと思います」

目標に掲げている喜劇王になるためには、多くの人を魅了できるコメディ映像作品を生み出すことが必要だと考えている。

「バラエティで面白い企画をやると『面白かったよ』『見たよ』で終わりますが、映像作品になるとファンの人がすごい熱量で何度も見てくれる。だから、もちろんバラエティにもこれからも出させていただきたいですが、ロバートの秋山さんの『クリエイターズ・ファイル』のようなコメディ作品を作っていかないといけないなと。今、俳優さんがプロデュースで入ったりしていますが、コメディアンもプロデュースで入るのか、ジャパニーズ喜劇映像を演者としてやっていき、ストーリー性もあって哀愁ある作品を作ることが喜劇王に必要なことなのではないかなと思います」

さらに、「『Mr.ビーン』のような、あそこまでザ・コメディに行くのか」などとイメージを膨らませる金田。「ジャパニーズ喜劇王といったら、やはり志村けんさん。新たな令和の喜劇王を目指して模索していきます」と力強く語った。

■金田哲
1986年2月6日生まれ、愛知県出身。東京NSC10期生。2005年に川島章良とお笑いコンビ・はんにゃ(2023年2月にはんにゃ.へ改名)を結成し、2009年に「ズクダンズンブングンゲーム」でブレイク。同年の「よしもと男前ランキング」で2位に選ばれるなど、イケメン芸人としても人気に。俳優としても活躍しており、近年ではドラマ『チェイサーゲーム』シリーズ、映画『燃えよ剣』(21)、『ヘルドッグス』(23)、舞台『SLAPSTICKS』(21)などに出演。