• 川口春奈

  • 吉田羊

  • (C)フジテレビ

『心はロンリー』を、「明石家さんまさんにしかできない“バラエティドラマ”」と表現する三宅氏。「さんまさんは、『男女7人(夏/秋物語)』(TBS)をはじめドラマもやって、バラエティもやってるので、その役から逸脱しないで自分自身も表現できるんです。だからシリアスなシーンでも、スッと笑いを入れることができる。そんな『心はロンリー』みたいな番組を、ほかの芸人さんで誰ができるかなと考えても、なかなか難しいなという気がします」と捉える。

そうした中、今作で娘役を演じる川口春奈と、元妻役を演じる吉田羊には、最初の段階でさんまとの相性の良さを感じた。

「役者さんは笑いのところをあえて立てたり、セリフを置きにいく人が多いんです。でも、さんまさんは置きにいかない自然な笑いが好きで、川口さんと吉田さんもそうやって演じていました。だから、すごく間が合うのを感じましたね。それは大竹(しのぶ)さんとも同じ空気感なので、さんまさんも随分触発されたと思います」

  • 大竹しのぶ(左)と明石家さんま (C)フジテレビ

フジテレビ全盛期を思い出す制作体制

かつてはバラエティのスタッフを中心に制作していた『心はロンリー』だが、今回はドラマ制作のスタッフが助監督として参加している。それは、バラエティ部署に『心はロンリー』を経験しているスタッフがほとんどいなくなったことに加え、働き方改革や、制作における作業が大幅に増えたという事情があることが理由で、「昔より関わってる人数は3倍多い」と明かす。

そこで、ドラマとして成立するように、本業のスタッフを招集。「バラエティのスタッフだとレギュラーの番組と掛け持ちしてるから、来れる日と来れない日があったりするけど、ドラマのスタッフは1つの作品に専属でずっといてくれるので、これは本当に助かったし、この形にしてなかったらできなかった」と、大きな力になった。

このチームで制作を進める中で、かつて業界トップで好調だった頃のフジテレビの雰囲気を思い出したという。

「一番最初に24時間の特番(87年『一億人のテレビ夢列島』/現『FNS27時間テレビ)をやったときは、バラエティの横澤(彪)プロデューサーのもと、系列局で1つの番組を作ろうという意図があって、編成、営業、広報も巻き込んで、みんなの力で成功することができたんです。ただ時代が変わって、だんだんセクショナリズムになってきて、1つのテロップを入れるのも“問題があるからできません”なんて言われちゃうことも出てきた。それはおかしいじゃないですか。だから、これを機に“悪いしきたりをなくしましょう”なんて言う編成マンもいるし、今回の『心はロンリー』が良いきっかけになればいいなと思いますね」