当初からより幅広い層に見てもらえるように、深夜の本放送に加えて、日曜昼に再放送を編成(番組開始3年目の秋に、枠を逆に)。この狙いが当たり、「ロケに出ると、子どもから高齢者の方までファンの方がいるのを実感します」と、和牛の親しみやすいキャラクターがマッチした。
視聴率は、他局を含めた愛媛の自社制作番組の中で、2021年度と22年度にコア層(13~49歳)トップを記録。解散を発表してからさらに数字が伸びているという。
番組がスタートすると、番組宛てにファンレターが多数届くようになり、水田は伊予観光大使(いよかん大使)、川西も伊予観光大使応援隊隊長に就任。また、かまいたちとタッグを組んだ南海放送制作・日本テレビ系の全国ネット特番『和牛×かまいたちのいいダシとってんね~』(2021年)も実現した。
こうして6年続く人気番組になった要因を聞くと、「当然、おふたりの魅力が一番に挙げられますが、普通だと番組の冒頭とかで“今日は愛媛に来てロケしてます”と言うと思うんですけど、台本にも書いてないのに“愛媛に帰ってきました”と言ってくれるんですよ。だから、愛媛の人たちが“帰ってきてくれたんだ”と印象を持って愛着を持つし、コア層の視聴率も良くて、視聴者からもスポンサーの方にも愛される番組になったんだと思います」と分析。
また、水田については愛媛で自分の番組を持ちたいという念願がかなった形だが、視聴者からの「一番好きな番組は何ですか?」という質問に対して、2人とも「『A4』」と即答したこともあり、徳丸氏は「本当にこの番組を愛してくださっているんだなと感じて、すごくうれしかったですし、愛媛の方に愛される番組を一緒に作っていきたいと、より強く感じました」と振り返る。
東京・大阪での勝負へ英気を養う番組
愛媛には川西のファンも多く、ロケで川西が座ったイスに同じように座る写真がSNSに投稿されたり、個人宛のファンレターが届くことも。そして、「台本がないところで、川西さんがいたからこそ、この番組が成り立ったと思います。ボケの水田さんと進行のアナウンサーもいるのですが、まとめるところは全部川西さんだったので、引っ張ってくれる存在として本当に大きかったです」と感謝した。
徳丸氏が特に、印象深いロケとして挙げるのは、水田の実家に行った初回。「どういうふうに転ぶか分からなかった中で、まずは原点を知るということでお邪魔したのですが、水田さんが子どもの頃に遊んでいた家から5秒で行ける公園のロケを思い出すと、そこから全国ネットの特番にもなったんだなと思って感慨深いです」としみじみ。
6年の間にはコロナ禍で、3~4カ月ロケができなかったり、マスク着用を余儀なくされて思うように愛媛の人たちとふれあえなかった期間も。水田は、ファンイベントをやりたいという希望も語っていただけに、「コロナ禍がなければできたと思うと、残念ですね」と惜しんだ。
改めて、この番組は和牛の2人にとってどういう存在だったのか。
「東京や大阪の劇場に出ればライバルたちがいて、目の前にお客さんがいて、全国ネットの番組では勝負しなければならないという気持ちだと思うんです。でも、そうした気が張った仕事と違って、ロケに出てもそんなに大勢の人がいるわけじゃないし、素の部分を出せてアットホームな感じに受け止めてもらえていたんじゃないかと。だから、東京や大阪でさらに頑張るために充電し、英気を養うための番組になっていたのではないかと思います」