結成16年以上の漫才賞レース『THE SECOND~漫才トーナメント~』の第2回大会(グランプリファイナル:5月にフジテレビ系ゴールデンタイム生放送)に、芸歴52年の大ベテランがエントリーして話題を集めた。かつて80年代の漫才ブームを引っ張ったザ・ぼんちだ。

「大阪選考会」を勝ち抜き、24日に東京・台場のフジテレビで行われた「開幕戦ノックアウトステージ32→16」では、結成21年のハンジロウと対戦し、2日目のトップバッターながら客席を大いに沸かせた。結果はわずか2点差という大接戦で敗れたものの、キャリアを重ねても果敢に見せたチャレンジ精神と、勝者を称える姿に、会場からは大きな拍手が送られた。

そんな激戦を終えた直後の、ぼんちおさむと里見まさとにインタビュー。戦いを終えての心境や『THE SECOND』に挑んだ理由、互いの魅力や、今後の漫才への意欲まで、話を聞いた――。

  • ザ・ぼんちのぼんちおさむ(左)と里見まさと

    ザ・ぼんちのぼんちおさむ(左)と里見まさと

対戦相手のハンジロウは「お見事」「段取りがきれい」

――惜しくも敗退となりましたが、今日の漫才はいかがでしたか?

おさむ:最高の出来でした。ありがとうございました。完璧ですね。

まさと:いい遊びもできて、いい流れも作れましたから、自分たちに点数付けるには甘いけど、もう100点です。やってきたことをそのまんま思い通りにやれたし、太い笑いも取れたしね。

おさむ:お客さんは僕らのことを知らん若い人でほとんどアウェーという形やけど、反応が良くてうれしかったですね。今年72歳になるんですけど、若い人たちと同じ土俵に上がって一緒に戦えるのは良かったです。

――まさと師匠はネタ後に「ホッとしました」とおっしゃっていました。

まさと:本音です。この時間のサイズでネタを持ってこなあかんわけですから、そこから解放されたので、ホッとしてます。

おさむ:でも、ここで戦ったことによって先につながれば、一番ありがたいですね。世間の見る目もあるやろうし、自分たちの方向性もあるやろうし。出たことによって若さをもらったと思ってます。

まさと:コンクールは勝負つけなあかんから決着ついただけで、僕もおさむさんもきっと一緒やと思うけど、負けた感はないんです。もう今の我々の最高を出せたから、しゃあないなあって。

――相手があっぱれだったということですね。そんなハンジロウさんの印象はいかがでしたか?

まさと:お見事でした。素晴らしかった。彼らが頭の入りでやった野球ネタなんて、難しいですよ。そのへんで何人か採点で向こうに多く入れたのかもしれない。

おさむ:沖縄の人で、どういうふうにネタ持ってくるのかと思ったけど、しゃべりとか段取りがきれいで、すごいですね。

  • ザ・ぼんち、ハンジロウ
  • ザ・ぼんち、ハンジロウ
  • 対戦を終えてハンジロウとともにトーク (C)フジテレビ

大ベテランがトップバッターに緊張「全神経を使いました」

――トップバッターというのは、いかがでしたか? おふたりのキャリアですと劇場でもトップというのは、もうないと思いますが。

まさと:トップはつらいですよ。人様のトップを何回も見てますけど、空気が違うもん。だからスタートは全神経を使いましたね。普段は後ろに入れる「絶滅危惧種」とか「おさむさん、ご機嫌ですよ」っていうフレーズを、ネタ入る前に頭で使いましたから。それでウケて「とりあえずこれでいける」と思って。頭でちゃんとお客さんをつかまえんことには、スベってそのままいってる人、何十年の間に何十組も見てきましたから。

おさむ:こっちが引いたらお客さんも引くからね。もうこっちから入っていかないと。最初ウケなくて静かやったら、お客さんいてんのかなって思っちゃうから。

――そのおかげで、一気に会場が温まりました。この日の大会的にも、ザ・ぼんちさんがトップバッターを務めた意味は大きかったと思います。

おさむ:バーっと盛り上げて空気は作ったから、みんなやりやすかったと思うよ(笑)

――いや本当にそうだったと思います。