• 瀧内公美

こうしてますます活躍の場を広げ、2024年をさらなる飛躍の年と位置づけてスタートした矢先、能登半島地震が発生。震源地にほど近い富山県高岡市出身の瀧内は、正月に帰省している最中に、実家で家族とともに被災した。

「地震が起きたときは必死で逃げました。わりと高台に近い家なので、少し経って家に戻ることもできましたし、翌日には新幹線が走り出して、おかげさまで東京に戻ることができたのですが、実家のあたりは断水しましたし、停電にもなりました」

そんな時に心の支えになったのは、周囲の人たちや、Instagramのダイレクトメッセージで寄せられた声だった。

「スマホの電波もどんどん不安定になっていたのですが、皆さんから“大丈夫ですか?”、“生きてますか?”とお声がけいただいて、その声で“1人で生きてるんじゃないんだと”いうのを実感しました。正義感にかられて被災地に駆けつける人がたくさんいると、渋滞が起きて問題になるとも言われていますが、“被災地のために何ができるのか”と周りの人たちが考えてくれるそのお気持ちは、すごくありがたいんです」

高岡市では液状化現象が起こり、まだライフラインが整っていない地域もあるだけに、「インフラが整って、物資が届いて、1日でも早く穏やかな日々が過ごせるようになることを祈っています。富山は18歳まで育ててもらったすごく大事な場所なので、自分に何か力になれることがあれば、それは全力でやらせてもらいたいと思います」と決意を述べた。

改めて感じた「人生は1回しかない」

『新空港占拠』に加え、この1月には大河ドラマ『光る君へ』(NHK)もスタートし、「今年は本当に勝負の年だと思っていて、この頑張り次第で自分の軸をどこに定めていくのかが決まるとも思っているので、まずは皆さんに楽しんでいただけるように、全力でやらせてもらいます」と意気込む瀧内。

今回の被災経験を通して、「自分が“生き延びられた”と思った時に、改めて人生は1回しかないと思ったんです。自分の人生で本当にやりたいことは何だろうと、お正月からすごく考える機会になって、今年1年は本当に頑張ってやり切ろうという思いを強くしました」と胸の内を明かす。

そして、被災地の人たちに向けて、「本当に厳しい状況だというのを自分も実感して分かるので、まずは衣食住、環境が整うことを祈っています。エンタテインメントにできる役割もあると思うので、そのために私は私にできることを頑張りますが、本当にゆとりができたときに気にかけていただけるとうれしいです」と謙虚に呼びかけた。

  • 瀧内公美

●瀧内公美
1989年生まれ、富山県出身。12年に本格的に女優としての活動を開始し、半年後、オーディションで映画『グレイトフルデッド』(14年公開)の主演を射止める。以降、『日本で一番悪い奴ら』『彼女の人生は間違いじゃない』などの映画に出演し、『火口のふたり』(19年)では第 93回キネマ旬報主演女優賞、第41回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年はテレビドラマの出演も増え、『恋はつづくよどこまでも』『共演NG』(20年)、『大豆田とわ子と三人の元夫』(21年)、『リバーサルオーケストラ』『大奥season2』(23年)、そして24年1月に『新空港占拠』がスタート。大河ドラマ『光る君へ』には源明子役で出演予定。