道長役の柄本とは、2020年に放送された吉高主演の日本テレビ系ドラマ『知らなくていいコト』に続き、2度目の共演。吉高は「最初から“戦友感”がある」と言い、励まし合いながら撮影していると明かす。

「いてくれたら安心するというか頼もしいというか、ある程度関係性が築けている時にまた巡り合えてよかったなと思います。一日中しんどい日もあって、ずっと手で土を掘っている日もありましたが、『頑張ろうね』と励まし合いながら撮影しています」

脚本の大石氏とも『知らなくていいコト』でタッグを組んでいるが、吉高はそういった再会に喜びを感じたという。

「今回、前に作品でご一緒した方と再会するというのが多く、続けてきたんだなという実感がありますし、お互い続いてきたんだねという感動もあります。続けていると人との関わりが広がり、こういう大きい作品で再会できるってうれしいことだなと感じています」

大石氏の脚本については、「非常にパワフルで情熱的で、一行一行のインパクトが強い。人の感情の起伏がすごく情熱的に書かれているなと思いました」と魅力を語り、「戦がほとんどない分、人の腹の底にあるものが描かれ、人間味があるドラマにもなっているなと。ラブストーリー以外のところも面白くなっていると思います」とも話した。

利き手ではない右利きで文字を書く特訓も「必死です」

演じる紫式部については、これだけ世界中の人に知られているのに確かなことが何もわかっていないことから「摩訶不思議な存在」という印象を抱いているという。

「当時の女性の記録がほとんど残っていないみたいで、男性の残っている記録から推測することしかできない。記録が残ってないから想像させる、罪な女だなと(笑)。亡くなって1000年も経つのに、どんな人だったんだろうって、この作品を見てくださる視聴者の方も想像する。亡くなってからこんなにいろんな人に思われたり想像させたりするというのは、魅力的な人だなと思います」

そして、紫式部が『源氏物語』で描く主人公・光源氏について、「まひろが出会った男性の素敵なところを全部掛け合わせた男なのでは」と感じたそうで、「(道長だけではなく)友達や、人の旦那さんの素敵だなと思った要素なども、全部かき集めたのではないかと想像しています」と語った。

本作への出演が発表されてから、「光源氏、誰なの!?」とよく質問されることも明かし、「『違うの、『源氏物語』を生んだ女性の一生を描くドラマなんだよ!』というのを太文字でお伝えいただけたら」と強調していた。

劇中では、紫式部として文字を書くシーンも登場。左利きの吉高は、右利きとして文字を書くことにとても苦戦しているそうで、撮影に入る半年前頃から練習していると明かした。

「筆のシーンになると緊張します。最初からさらさら書けるわけではなく、書き始めは手が震えたりするので、書く練習をしてから本番に入ります。文字を扱う、文字が主役のドラマでもあるので、すごく丁寧に練習して丁寧に演じています」

苦労しながらも吹き替えなしで吉高がすべて書いているそうで、「もう必死です。泣きそうになりながら書いています」と言い、「できれば書くシーンをなるべく減らしてほしい」とリクエストしていた。