Legion Goの基本性能・仕様をおさらい
性能についてみていく前に、Legion Goの基本性能や仕様を確認していく。Legion Goに搭載されるプロセッサは、AMDのGPU統合型APU「Ryzen Z1 Extreme」だ。動作クロックは標準で3.1GHz、ブースト時の最大クロックは5.1GHzと高速で、8コア/16スレッドとモバイル向けのCPUとしてはハイエンドモデルとなる。
CPUは「Zen4」、そして内蔵されるGPUは「RDNA 3」を採用しており、どちらもAMDの最新アーキテクチャだ。GPUはモバイル向けながら12CUとパワフル。メインメモリはDDR5(LPDDR5X)で容量は16GB。ストレージはPCIe Gen4 x4接続のM.2 SSDで容量は512GBと、CPU以外も非常に高速だ。
ただしメインメモリはオンボードとなりユーザー側での交換、増設はできない。ストレージもユーザー側で容易にアクセスできる作りにはなっていないため、こちらも交換はできないと考えた方がいい。
ディスプレイは8.8インチのIPS液晶で、解像度はWQXGA(2,560×1,600ドット)、最大輝度は500cd/㎡だ。ゲーミングPCらしくリフレッシュレートは144Hzと高速で、10点マルチタッチにも対応している。
インターフェースは「USB 4」が2つ、外部ストレージとしてmicroSDスロットが1つ、3.5mmのイヤホンジャックが1つ。ワイヤレス通信はWi-Fi 6EとBluetooth 5.3に対応している。
本体サイズと重量は左右の着脱式コントローラーを取り付けた状態で約298×131×40.7mm、約845g。コントローラーを取り外した状態では約210×131×20.1mm、約639gだ。バッテリーは49.2Whのリチウムイオンポリマーバッテリーで駆動時間は最長で約7.9時間、充電時間は付属充電器利用時で約1.2時間だ。
Ryzen Z1 Extreme搭載で順当な性能
ここからはLegion Goの性能を、各種ベンチマークテストを実施し確認していく。ベンチマークテストは「CPU単体の性能」「オフィスユースなど一般的なPC操作における総合性能」「ゲームプレイを想定した高負荷時の性能」「内蔵SSDの読み書き速度」をベンチマークアプリを使用し実施した。
なおテストに際してはLegion Goを電源に接続し、パフォーマンスモードを「パフォーマンス」に、つまり最大の性能を発揮できる環境、設定で実施している。
まずはCPU単体の性能を3Dレンダリングを通してテストする「CINEBENCH R23」を実行し、Legion Goに搭載されたRyzen Z1 Extremeの性能をチェックした。シングルコアでは1719ポイント、マルチコアでは11337ポイントを記録した。
続いてブラウジングやオフィスソフトの操作、ビデオ会議など一般的なPC操作でのパフォーマンスを「PCMark 10」を実行し確認した。こちらもスコアとしては6808ポイントと高く、ハンドヘルドサイズのWindows PCとしてはかなり高性能といえる。
では、Legion Goで一番気になるゲーム性能はどうか。ゲーム性能は「3DMark」「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク(以下、FF14ベンチマーク)」「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク(以下、FF15ベンチマーク)」、そしてAAAタイトルであり重量級タイトルである「Cyberpunk 2077」を実行し性能をチェックした。
3DMarkではテスト内容によりレンダリング解像度が変わってくる。
Legion GoのディスプレイがWQXGA(2560×1600ドット)であることを考慮し、WQHD(2,560×1,440ドット)解像度までのテストである「Time Spy(WQHD)」「Fire Strike Extreme(WQHD)」「Fire Strike(フルHD)」「Night Raid(フルHD)」を実行した。
実行結果はそれぞれ、2941ポイント、2406ポイント、3885ポイント、18358ポイントで、フルHD解像度であればテスト中でも動作はスムーズだったが、WQHD解像度となると動作が厳しい場面が目立つ。
FF14ベンチマーク、FF15ベンチマークについても同様にLegion Goのディスプレイ解像度にあわせた解像度設定でテストを行っている。FF14ベンチマークは今となっては軽量なゲームなのでベンチ結果ではフルHDであれば普通、FF15ベンチマークは現在でも重たいゲームなのでフルHDでは重たいという結果になった。
ゲームパフォーマンスの最後のテストは「Cyberpunk 2077」だ。ゲーム内に設けられたベンチマーク機能を用い、同作をプレイした場合の平均フレームレートの確認を行った。ベンチマーク用の設定だが、ゲーム解像度は「2,560×1,600ドット」「1,920×1,200ドット」「1,280×800ドット」の3パターンで、画面モードは「フルスクリーン」でテストを行っている。
またLegion Goに搭載されているCPU「Ryzen Z1 Extreme」の内蔵GPUはフレーム生成・アップスケーリング機能である「FidelityFX Super Resolution 3(以下、FSR 3)」に対応しているため、こちらの設定も有効にしている。これまでのテスト結果の通り、Legion Goには些か厳しいテストであることを考慮し、FSR 3の設定は「ウルトラパフォーマンス」に設定している。
テスト結果は1,280×800ドットであれば平均フレームレートで40fpsを超え、なめらかとまではいかないものの十分遊べると感じられる結果となった。1,920×1,200ドット以上では平均フレームレートはグッと下がってしまい、実際のプレイではストレスを感じるだろう。
そして性能テストの最後として、内蔵SSDのパフォーマンスをチェックした。テスト機のLegion Goに搭載されていたSSDはウエスタンデジタルの「SN740」だ。内部接続はPCIe 4.0 x4で、512GBモデルはシーケンシャルリードで5000MB/秒、シーケンシャルライトで4000MB/秒と、十分に高速なSSDだ。
パフォーマンステストには「CrystalDiskMark」を用い、プロファイルはNVMeに、テストパターンは通常に加え「All 0x00」の2パターンで計測を行った。どちらのテストでもシーケンシャルリードはスペック通りの結果を示した。
ここまでのテスト結果の通り、Legion Goのゲームパフォーマンスは本機がポータブル機と性能のアッパーに制限があることを考えれば決して低くはない。ただ高解像度のディスプレイを活かした精細なグラフィックス表示は荷が重く、HD解像度であれば多くのタイトルを場所や姿勢に縛られず楽しむことができるだろう。