元乃隅神社は訪れたことがなくても、その景観は写真や映像で一度は見たことがある人が多いと思う。2015年に米国CNNの「日本の美しい風景31選」に選ばれて以来、深刻な交通渋滞に見舞われるようになり、2018年に交流館(土産物販売所など)と新たな大駐車場が整備された。

  • 元乃隅神社の海に向かって連なる鳥居

連なる鳥居が見られる絶景スポットのすぐ近くに大駐車場ができ、誰でもアクセスしやすく便利になったものの、トレードオフで荘厳な雰囲気がやや損われた気がする。筆者もレンタカーでここに来ているから文句は言えないが、やや残念なのが正直なところだ。

その後は千畳敷など周辺の観光スポットにも立ち寄ったり、車窓に海を見ながら下関方面へのドライブを楽しんだりした。

夕方、センザキッチンでレンタカーを返却し、萩市内への直通バスに乗り込む(センザキッチン~東萩駅前は運賃810円)。この萩へのバス路線の停留所名は、「兎渡谷(とどろく)」「鎖峠(くさりだお)」「平安古(ひあこ)」など、方言に由来すると思われる個性的なものが多く、約1時間の道のりも飽きることがなかった。

明治維新ロマンを感じる萩市内観光

旅行3日目の萩市内観光は、「萩・明倫学舎」からスタート。藩校「明倫館」の跡地に建ち、近年まで実際に授業が行われていたという旧明倫小学校の歴史的木造建築を活用しているこの施設は、幕末・維新期の貴重な史料等が展示されており、散策に出かける前の歴史の予習のためにも、ぜひ立ち寄っておきたい。ちなみに、併設されている観光案内所でレンタサイクル(1日上限1500円)を借りるのがおすすめだ。

  • 指月山と萩城趾

明倫学舎を起点に、高杉晋作誕生地や木戸孝允旧宅などが点在する城下町を巡り、萩城跡のある指月山(しづきやま)の麓をめざす。船頭の話が楽しく、今回の萩市観光で良い思い出となった遊覧船(「萩城跡指月公園」付近から出航)は、冬季(12月から2月まで)は残念ながらお休みとなる。

萩城跡を見学し、昼食を取った後、街を南北に流れる松本川の東側エリアへと足を伸ばし、松陰神社やその境内にある松下村塾などの史跡を見学した。

  • 松下村塾

楽しかった旅行も終わり、帰路につく。萩市内から新山口駅までは、高速バス「スーパーはぎ号」で約1時間(予約不要、1,600円)。帰りも空路を利用するのであれば、新山口駅からバスを乗り継ぎ、山口宇部空港まで25分(運賃910円)である。

さて、今回の旅程をレンタカーで巡ると、どれくらいの費用がかかるのだろうか。見積りサイトで、山口宇部空港周辺で借りられるレンタカー料金をチェックすると、3日間の最安値が約2万2,000円。3万5,000円くらいの車種が多いようである。

今回、筆者の1人旅での交通費(レンタカー、レンタサイクル料金含む)は総額約1万4,000円だった。1人旅であれば公共交通のほうが安いが、2人旅であればレンタカーの最安値とほぼ同額になる(レンタカー料金以外を2倍)。

レンタカーは時間や荷物を気にしなくていいというメリットはあるが、慣れていないと冬道で怖い思いをすることもあるだろう。天候や人数に応じて、安全に旅を楽しんでほしい。