テレビの広告主・広告会社を対象にした民放キー局5社による共創イベント「テレビカンファレンス2023」がこのほど、都内で初開催され、各ジャンルの制作者が局の垣根を越えて登壇した。

「アナウンサー」のセッションでは、日本テレビの安村直樹アナ(ラグビー実況、『シューイチ』)、テレビ朝日の寺川俊平アナ(サッカーW杯・バスケットボールW杯実況)、TBSの田村真子アナ(『ラヴィット!』)、テレビ東京の片渕茜アナ(『開運!なんでも鑑定団』『出没!アド街ック天国』)、フジテレビの井上清華アナ(『めざましテレビ』『ホンマでっか!?TV』)が登場。舞台裏での苦労やこだわりなどを語った。

  • (左から)日本テレビ安村直樹アナ、テレビ朝日寺川俊平アナ、TBS田村真子アナ、テレビ東京片渕茜アナ、フジテレビ井上清華アナ

    (左から)日本テレビ安村直樹アナ、テレビ朝日寺川俊平アナ、TBS田村真子アナ、テレビ東京片渕茜アナ、フジテレビ井上清華アナ

“出すぎず、引きすぎず”のスタンス

まずは、司会の日本テレビ・ラルフ鈴木アナから、出演番組でアナウンサーとして心がけていることについて質問。

井上アナは「今年『めざましテレビ』は30周年で、取材の中でお話を聞くと、『親子3代で見てます』という方も結構いらっしゃるので、私が視聴者の頃に感じ取った『めざましテレビ』の雰囲気とか伝統など、同じ空気感をどの世代の方にも感じていただきたいなと思っています。あと朝の番組は、皆さん出かける準備をして“ながら見”という方が多いと思うので、耳だけで聞いていても情報がちゃんと入ってくるようにというのは意識しながらやっています」。

同じく朝の帯番組を担当する田村アナは「『ラヴィット!』はバラエティ要素がかなり強くて、他の情報番組と違うのは、基本的にアナウンサーがスタジオに私1人という場面がすごく多いんです。なので、Jアラートとか地震に対応しなきゃいけないという意味で自分がそこにいるというのが一番の役割だと常に思っています。私も歌を歌ったり、一緒に罰ゲームを受けたりしてるんですけど、どんなときでも常にハラハラしながら、何か起こるかもしれないっていうのを念頭に置いて毎朝やっております」。

片渕アナは「バラエティ番組では、“出すぎず、引きすぎず”というスタンスをいつも心がけています。『なんでも鑑定団』では基本的に今田耕司さんと福澤朗さんが進行しているので、画面上で私がいろいろ話している印象はないと思うんですけど、一般の方がお宝を持ってきてくださるので、本番が始まる前の舞台裏に早めに入るようにして、“今日どこからいらっしゃったんですか?”とか、“今田さんが何とかしてくれるから大丈夫ですよ”とか、依頼人さんの緊張を和らげるというのも一つの役割だと思っているんです。画面に見えていないところでも自分にできることはなんだろうというのは、いつも考えながら仕事をしています」と意識していることを明かした上で、「『高校生クイズ』も一般の方が多いですよね」と『高校生クイズ』総合司会の安村アナに振った。

早速の片渕アナの回しテクニックに周囲のアナウンサーたちが「おー!」と感心する中、安村アナは「高校生という多感な時期ですので、これは私自身アナウンサーとして一番心がけていることなんですけれども、人を傷つけない言葉を選ぶという意識は、特に『高校生クイズ』はあります。例えば、彼らに中途半端なイジり方をして嫌な思いしないようにとか、そういった部分は気をつけています」と語る。

  • 日本テレビのラルフ鈴木アナ

    司会の日本テレビラルフ鈴木アナ

テレビ中継を見た人から日本代表が生まれてくれたら

サッカーW杯で解説の本田圭佑氏とのコンビが大きな反響を呼んだ寺川アナは「スポーツ中継の場合は、やっぱり現場で生で見に来てらっしゃる方が一番の興奮や感動を得ているという原点をしっかり忘れないことが大事だなと思っています。テレビを見ている方は、スタジアムに来られなかった人が多いので、その人たちに現場と限りなく近い温度感だったり興奮だったり情熱というのを、僕たちであれば言葉と声で伝えることができるし、テレビの映像といったところで表現するということは、特に心がけなければいけないなと思っています」。

これには、ラグビーW杯を実況した安村アナも同意しながら、「テレビを通してラグビーワールドカップを見た子どもたちが、“あの場所に行ってみたいな”と思ってくれたら。それがプレイヤーであっても観客であっても携わりたいスタッフであってもいいんですけど、そういうきっかけになればいいなと思っています。将来のラグビー日本代表が、日本テレビの中継を見た人から生まれてくればいいなという思いを持ちながら、熱さを伝えています」と話した。