ジャンルの垣根を越えたマジシャンの賞レース『THE MAGIC ~オールジャンル日本一決定戦~ 2023』(東海テレビ 28日19:00~ ※東海ローカル)の収録がこのほど、都内で行われた。バードマジックのCherry、トランプのMASA MAGIC、男女2人組の峰龍&Ririco、コインのJONIO、名古屋での公開予選会を勝ち抜いたDiamond Taku、サイキックマジックのRYUHEIという6組の気鋭のマジシャンたちを審査するのは、Dr.レオン、KiLa、ボナ植木(ナポレオンズ)、そしてプリンセス天功というレジェンドたちだ。
あの冷静な呂布カルマが今まで見せたことのない驚きの顔でリアクションするなど、観覧ゲストたちがどのマジックにも大興奮の中、真剣にパフォーマンスを見極めた審査員たち。時に辛口な批評も交えながら、この“異種格闘技戦”の採点に挑んだが、大会を振り返っての感想を審査員長の天功に聞いた――。
■審査員から辛らつコメント連発
昨年に続いて審査員長を務めた天功は「やっぱりレベルが高かったです。世界各国で活躍されているので、その雰囲気を日本に持ってきて“凱旋”のような方も多くて、本当に楽しめました」と称賛。
異なるジャンルのマジックを審査することになったが、「それぞれに評価や点数をつけるというのは、本当は難しいんです。それに、お客様へのエンタテインメントという立場から見て、好き嫌いが分かれるというのもあると思います」と本音を漏らしながら、「それはそれとして難しかったけれど、すごく楽しかったので良い大会だったと思います」と総括する。
テレビでおなじみのお笑いの賞レースに比べ、審査員から「日本一を決めるこの場でやるものじゃない」「頭のパフォーマンスが長い」など、辛らつなコメントがビシビシ飛んでくるのも、『THE MAGIC』の特色だが、天功は「審査員たちは“自分だったらこういうふうにするな”と考えながら見ていて、出場者の皆さんとの競争心もあったと思います」と解説。
ただ、この厳しいコメントによって、素人には気づかないマジックの楽しみ方も提示しており、「マジックという形で楽しむだけでなく、すごいテクニックがたくさんありますので、そこを凝視していただけたら、より楽しいと思います」と見どころを話した。
■出場マジシャンから刺激「うれしくなりました」
1980年に2代目引田天功を襲名し、長年にわたり日本のマジック業界をけん引してきたが、日本のマジックのレベルは大きく上昇しているといい、その背景を「日本人はすごく器用なので、手先や体の使い方が上手いんです」と分析。また、「今回出られた方にも多かったのですが、海外に進出するようになって、世界のテイストを勉強したことで、一気にレベルが高くなったと思います」と印象を語る。
今回の出場者たちのパフォーマンスを見て、「すごく工夫しているのが分かって、うれしくなりました。歩いてくる雰囲気とか、皆さんには分からないテクニックなど、ちょっとしたテイストがいいなと思いましたね」と、刺激を受けた部分もあったそうだ。
一方、インターネットの発達と動画配信の隆盛で、マジックを気軽に楽しめるようになったことで、「お子様や中高生で“マジシャンになりたい”という人がすごく増えているんです」と裾野も拡大。
「マジックは人を楽しませるだけではなく、海外ではハイクオリティなギャランティーがありますので、そこにやりがいを感じてマジシャンを目指す人が増えているというのもあると思います」と、夢の大きな職業になっているのだ。