■ミステリードラマの解答を見せないこだわり
――番組の反響はいかがですか。
岡村:「普通に見ていたら怖くないけど、真実を知り始めたら怖い」という、狙い通りの反響があってうれしいです。『ダブルタップ』では、解答を出さずに尾形さんの考察だけで終わって、あとは視聴者の皆さんにおまかせするスタイルだったんですけど。
――「解答を出さない」というスタイルは番組の大きな特徴になっていました。こだわりがあれば教えてください。
岡村:僕らが用意している答えより、視聴者の方たちが考察した答えのほうが面白かったりするんですよね。それってテレビと視聴者の関係性としてとても理想的で。もちろん本来の答えと伏線は結びついているわけですが、それを超える考えに出会って僕らが驚かされて、視聴者の方も盛り上がって来週も見てくれて、という良いサイクルができていたなと。『イミコワ』でも、“天才考察師”がある程度リードしつつも、答えはすべて出さないので、その余白の部分も楽しんでいただきたいなと思っています。『ダブルタップ』のときは「答えを出してほしい」という意見もあって。
尾形:みんな言ってましたよ! 僕の後輩のイチキップリンや佐助も番組が大好きで毎回見てくれてたんですけど、「尾形さん、どういうことなんですか。答えを教えてください」ってよく聞かれて。
岡村:でも尾形さんにも教えてないですもんね。
尾形:そうなんです。俺も毎回気持ち悪い感じで帰るんです。
――尾形さんから答えを聞かないんですか。
尾形:聞きますよ。でも教えてくれないですから。
岡村:いつも消化不良で帰られてますね。
――「答えを教えない」という番組のスタイルは、尾形さんから見ていかがでしたか。
尾形:俺は視聴者側みたいなものなので、答えを教えてほしかったですね。
岡村:番組側じゃなかったんですね(笑)。
■『ダブルタップ』で尾形が演じていた“縦軸”
――『ダブルタップ』では、MCとしてドラマを考察するという役割の尾形さんが、なぜか何度もシャワーを浴びたり、ゲストと意味深な会話を交わしたりと、気になるシーンが挟み込まれていました。最終回では、尾形さんが血まみれになっている衝撃的なカットもありましたが……。
尾形:ドラマ以外の部分で視聴者を混乱させるような要素が散りばめられていたんですよね。風呂に入ったり、頭から血が流れてたり。俺も「これはなんなんだろう?」って。
――「尾形さんも謎を秘めたドラマを演じているんじゃないか」と“隠された縦軸”が視聴者から大きな注目を集めていましたが、少しだけでも真相を教えていただけないでしょうか。
尾形:俺も本当に教えてもらってないんですよ。ただこうしてください、って言われてやっていただけで。来るたびに何も知らずに風呂に入ってましたよ。
――岡村さんの中で「答え」はあるんですよね。
岡村:もちろんです。それはもう番組が始まる前からやりたいなと思っていたことなので。でもこれもまた、答えを出さないほうが面白いかなと。
――SNSに投稿された中で「当たってる!」という考察はありましたか。
岡村:あります、あります。ものすごい考察をしてくれる方たちがいて、刺激になりました。この番組を作って良かったなとやりがいを感じましたね。
――先ほど仰っていた、尾形さんの“怖さ”も活かされてましたよね。
岡村:それが尾形さんをキャスティングした一番の理由ですからね。
尾形:……怖いって言われたことないんですけどね。あんまり出したくないです、その“怖さ”ってやつ。営業妨害じゃないですか?
■改題後にリニューアルされたポイント
――尾形さんのパブリックイメージと真逆ですよね(笑)。10月からは番組タイトルとともにオープニングトークがなくなったり、番組の中に“天才考察師”の考察タイムが入ったり、とリニューアルされましたが、意図を教えてください。
岡村:本当はオープニングトークもやりたいんですけど、尺が短くて。色々と展開は考えているんですけどね。
尾形:イチキップリンと佐助は、答えを導いてくれるようになってスッキリできるけど、オープニングトークは欲しいって言ってましたね。
――リニューアルをしたなかでも、今後も変えたくない番組のこだわりは。
岡村:「解答を全部出さない」というところは貫きます。余白を残して、答えを知りたい人、答えを知りたくない人の両方が楽しめる番組になればいいなと。
――きょう放送のドラマの見どころを教えてください。
岡村:想像のつかない結末のドラマになっています。あと、謎のレベルが難しすぎると考察しづらいし、簡単すぎるとすぐ答えが出ちゃうじゃないですか。ドラマが終わった瞬間に尾形さんが核心に迫ることを言うときもあるくらいで。そういう意味で今回は、「ちょうどいいレベル感で結末が面白い」という理想的なドラマになっています。収録はこれからなのですが、尾形さんの考察が楽しみですね。
尾形:考察、頑張ります。面白いVTRを見て考察するという、ただそれだけのシンプルな役割なので楽しいんですよ。面白いことも言わなくていいし、ボケたり裸になったり坊主になったり、そんなことしなくていいので、この番組は本当に楽しいですね。
――では最後に、番組のアピールをお願いします。
尾形:15分の短い尺で、集中して見られる番組になっています。友達や家族と見ても、一人で見ても、考察するのが楽しいと思うので、まだ見たことのない方にもぜひ一度見ていただきたいです。
岡村:考察系って時間が長すぎると疲れるんですよね。電車とかでパッと見られる短い尺の考察ドラマはなかなかほかにないと思います。SNSで考察を投稿していただいて、僕らが用意したものを超える答えを出してくれる方がいるとうれしいです。タイトルから怖い番組だと思われがちですが、ホラーが苦手な方でも見られるドラマなので、ぜひごらんください。
2023年4月、『ダブルタップミステリー』としてスタートし、10月より現在のタイトルにリニューアル。表だけ見ると分からない、裏に恐ろしい事実が潜む10分ほどの“ミステリードラマ”を見て、パンサー尾形とゲストがストーリーに隠された「不気味な答え」を考察する。番組内では“天才考察師”が考察を提示するが、解答編は用意されておらず、SNSで視聴者たちが考察合戦を繰り広げる番組となっている。