――主演の趣里さんとの共演はいかがでしたか?
趣里ちゃんとはバッチリ相性が合っていると思いました。初対面でしたが、お互い演劇の舞台を見ていたり、僕の劇団(イキウメ)のことも知ってくれていたので、コミュニケーションをとるようになって、何シーンか撮ったときには芝居の深い話ができたんです。例えば、カットがかかって2人でモニターをチェックしていたときに、僕のリアクションでゲラゲラ笑ってくれて、それを受ける趣里ちゃんのリアクションも、それがほしかったですというリアクションで。芝居の感覚みたいなものがマッチしていて、それを休憩中にガッツリ話してから急に仲良くなりました。やりたいことがわかって、すごく芝居しやすかったです。
――そこまで合う方はなかなかいらっしゃらないですか?
なかなかいないですね。たぶんコメディも好きというのもあって、コメディ表現もすごく上手だし、かといって小手先でどうにかしようとするタイプでもなく、生の反応をとても大事にしていて、趣里ちゃん独特の喜怒哀楽が画面越しにもちゃんと視聴者に伝わる。僕は基本的に喜怒哀楽を大きく表現しないほうなんです。視聴者の感情を先取りして演じたくないというのがあって。泣きましたよ、さぁ泣いてくださいっていうのが好きじゃないんです。もちろん時と場合によりますが「ブギウギ」の場合は個性的な人物が多いですし、薄味にならないように表現を大きくしたりもしました。
――メインビジュアルのような趣里さんの全開の笑顔も素敵ですよね。
そうなんです。そして、嘘笑いという感じがしない。普段から明るくて、主役ですし本当は疲れていると思いますが、周りには「頑張ります!」という感じでやられていて、とても素敵な女優さんだなと思いました。ぜひうちの劇団イキウメに出てほしいなと。趣里ちゃんも「出たい」と言ってくれているので、いつか叶えられたらいいなと思っています。
――初共演でとても素敵な関係に。
今回、趣里ちゃんや草なぎさんをはじめ、素敵な方ばかりだったので、ほかの作品よりも緊張感少なくできたというか、気持ちをフラットにやることができたので、出演してとてもよかったなと思っています。
■朝ドラの良さを実感「またチャンスがあったら出たい」
――『ブギウギ』出演によって、俳優として新たな気づきや変化などはありましたか?
朝ドラと大河ドラマは、役者をやっているからには一度は出たいと思うぐらい憧れるものだと思いますが、僕はそれがなくて。それは、お笑い芸人になりたくてこの業界に入ってきたというのが大きいですね。僕にとっては朝ドラ、大河ドラマは他と変わらず「一つのドラマ」でした。でも何回か朝ドラの出演させていただき、朝ドラの良さがわかってきました。
――どんなところに良さを感じましたか?
15分のドラマを連続で放送するための丁寧な準備や、関わっている人の数だったり、役者として丁寧に扱ってくださる感じとか、そういうことに対してもきちんとしているというのが歴史ある朝ドラが続いている理由なんだろうなと。『ブギウギ』に出演し、連続テレビ小説というコンテンツ自体の全貌が見えてきて、これだけ細かいところまでこだわるクリエイティブな現場でやれるのであれば、次にまたチャンスがあったら出たいと思うようになりました。
1974年3月4日生まれ、東京都出身。1995年お笑いコンビ「アクシャン」としてデビュー。2007年より俳優として活動し2014年に第21回読売演劇大賞優秀男優賞を受賞。劇団イキウメ所属。舞台のみならず、映画、ドラマと多方面で活躍している。