■堤幸彦監督と『20世紀少年』以来の再会
――そのほか、堤(幸彦)監督の『Get Ready!』(23年・TBS系)にも呼んでいただいて出演が決まったとか。
そうなんです、こちらもお声がけいただいて。映画『20世紀少年』(08~09年)ぶりだったのですが「どんな役ですか?」と聞いたら、「(杉本)哲太さんの娘さんを殺す役だよ」と。「久しぶりです」と現場に入ると、チーフのカメラマンさんも、チーフの助監督さんも『20世紀少年』と同じ方だったので、「息子が帰ってきてくれたみたいでうれしいよ」と喜んでくれました。「うわー、ありがとうございます!」と感激した直後、相手に酷いことをして殺すシーンを演じるという……。かなりハードな役だったので、また違う役でもお会いしたいです!
――うれしい再会でしたね。
『20世紀少年』もたくさんの方に見ていただいた作品で、撮影期間も長かったので、僕の人生の大きな思い出の1ページになっています。その作品を作った方たちとまた一緒にお仕事ができて、何より呼んでいただけたことがうれしかったです。また次回が、未来があるかもしれないと思ったらワクワクします。
――『VIVANT』の福澤監督にも呼んでいただいたということで、次も声がかかるような爪痕をちゃんと残せているということですよね。
いやいや、僕は必死に役として生きているだけなので、刺さらないときは刺さらないですし、毎回結果が出せているとは思っていません。そもそも結果を出そうとしてやっているわけではなくて、最近は「自分がその役をやる意味」を大事にしているんです。自分らしく演じることが、「またやろうよ」と声をかけていただけることにつながっているのかなと信じているので。
■“西山潤の芝居”を貫く俳優に
――そう考えるようになったのは、いつからでしょうか。
『ドラゴン桜』と、舞台の『ヒミズ』(21年)の頃からです。それまでは役を演じるときに役を追いかけていたのですが、そうじゃなくて、役を取り込まなきゃいけないということに気づいて。役を食べて、自分のものにするような……ニュアンスになってしまいますが、その役を演じるのは自分だから、自分が役になるのではなくて、役が自分になっているというイメージです。その結果、もし「西山潤って何をやっても西山潤だよね」と言われることがあっても、それはそれで、スタイルが出来上がった証だから正解だと思っていて。このスタイルを突き詰めていけるように、もっともっと勉強しなきゃいけないですし、もっともっと努力したいなと思っています。
――勉強や努力というと。
知らないことを知っていく作業です。人と会話をすることだったり、何かをすることを面倒くさがらない、逃げることを減らしていくことが努力なのかなと。表面的な経験が役作りにつながるというよりは、そのときに、何かができた喜び、失敗した悔しさ、やらなきゃよかったという後悔などの感情を持つことが、自分の中に残っていけばいいなと。それがいつかどこかのワンシーンのワンカットにつながればと思っています。
――「経験」そのものではなく「経験による感情」がお芝居の引き出しとして増えていくような。
経験による人間としての深みがいろいろなものに繋がっていくと思うので、役者として大事にしていきたいです。
■地上波連続ドラマ初主演作『こういうのがいい』
――29日からは、地上波連続ドラマ初主演となる『こういうのがいい』がスタートします。初主演は、憧れや目標でもありましたか。
今まであまり考えたことはなかったのですが、いざいただけるとすごくうれしいです。何かがめちゃくちゃ変わるということはないものの、より気合いが入って、取り組む意識がどこか違っているのを感じます。
――今作の見どころを教えてください。
恋愛に疲れた方、恋愛でつらい思いをした方にとっては、こんがらがった紐を解いてくれるような作品になっているんじゃないかなと。「この2人何言ってるんだ、なんかエッチなことしてるな」ってクスッと笑っていただけたらうれしいです。恋人との関係って自分の中で「こうあるべき」と固定概念を持ちがちですが、僕が演じる村田と友香(田中美麗)の姿から「ルールなんてないんだ」「こういうのでいいんだ」と感じていただけるドラマになっています。日常をゆったりと描いた作品なので、ゆったり見ていただけたらなと思います。
――ありがとうございました!
1998年7月12日生まれ、神奈川県出身。2006年に映画『サイレン~FORBIDDEN SIREN~』でデビュー後、映画『20世紀少年』(08-09年)では主人公・ケンヂの幼少期を演じる。近年は『ドラゴン桜 第2シリーズ』、『初恋の悪魔』、『ホスト相続しちゃいました』、『VIVANT』、『どうする家康』などに出演。
スタイリスト/李靖華、ヘアメイク/長野一浩(MARVEE)
『となりのヤングジャンプ』連載中で、累計発行部数150万部(※10月18日時点)を突破した双龍氏による同名コミックを実写ドラマ化。「恋人関係」の既成概念にとらわれないフリーダムフレンド(=フリフレ)となった村田(西山潤)と友香(田中美麗)の、ゆるくて気楽でエッチな大人の日常を描く。