日本テレビは今年7月1日、3人のアナウンサーに「宇宙ビジネス事務局」との兼任を発令した。辞令を受けたのは、2021年にJAXA(宇宙航空研究開発機構)の宇宙飛行士候補者に応募した辻岡義堂アナと弘竜太郎アナに、『ヒルナンデス!』アシスタントの浦野モモアナの3人で、「宇宙アナウンサー」として宇宙にまつわる様々な活動を行っている。

この中でも人一倍、宇宙愛が強いと評判なのが、入社2年目の浦野アナ。なぜ宇宙の魅力に取り憑かれたのか、そして宇宙アナウンサーになって学んだこととは――。

  • “宇宙アナウンサー”として活動する日本テレビ浦野モモアナウンサー

    “宇宙アナウンサー”として活動する日本テレビ浦野モモアナウンサー

■セリフからもらった勇気「夢はいつか手繰り寄せられる」

――そもそも宇宙に興味を持ったきっかけは、何だったのですか?

漫画の『宇宙兄弟』ですね。小学校の頃に、雑誌の連載を父が読んでいて「面白い」ということで、単行本を1~2巻買ってきて、私も読むようになったんです。そしたら普段、漫画を読んでいるところを見たことのない母まで手にとって「これは大人買いしよう!」となりました。およそ20冊という小学生にしてみれば夢のような量が家に届いて(笑)。当時アニメもやっていたので、それも見ていました。

――『宇宙兄弟』のどんなところが刺さりましたか?

最初は宇宙というより、登場人物の人間味やセリフが子どもながらに好きだったんです。最近また読み返して、付せん貼ってるんですよ(笑)。特に南波日々人(ひびと=主人公の1人)が好きなのですが、「世の中に“絶対”はないかもな。でもダイジョブ。俺ん中にあるから」というセリフがあって。自分の中で気持ちをしっかり持っていれば、夢はいつか手繰り寄せられるんだと勇気づけてくれました。

有名な「迷ったときはどっちが楽しいかで決めなさい」というセリフも、何においても重要な考え方だなと思って、日々いろんな場面で思い返します。そうやって読んでいるうちに、「宇宙って面白そうだな」と思って、いろいろ調べるようになりました。

――どんなところに、宇宙の魅力を感じますか?

みんながみんな行けるところではないけど、たしかにそこに何かがあるというところにロマンを感じます。そして、行った人にしか分からないことがあるのに、実は地球での生活に確実につながっているところが面白いなと思いますね。

『SENSORS』という番組でご一緒させていただいたJAXA主任研究開発員でご自身の会社も立ち上げている百束(泰俊)さんが、「宇宙ビッグデータ米」というのを作っているんです。土地の降水量や日射量などを、衛星から得られるピンポイントのデータをもとに分析して、米づくりに最適な場所で美味しいお米を作るというプロジェクト。そのお米を使ったおにぎりが都内で売られてるんですよ。「衛星」という言葉だけを聞くと難しそうだけど、そのデータが防災に役立てられるというお話も聞いて、宇宙から見て地球を知ることができるというのも、宇宙ビジネスの一つのゴールなのかもしれないと思いました。

――宇宙のニュースなどは、やはり細かくチェックされるのでしょうか。

そうですね。「宇宙」というワードをフォローしているので、「今日ISS(国際宇宙ステーション)が見えます」といったニュースがあれば確認しますし、野口聡一さんや山崎直子さんはSNSで宇宙に関するトピックを投稿されているので、いつも触れています。

――最近では、メキシコで宇宙人の遺体が見つかったというニュースがありましたが、どう思いますか?

まず、宇宙人の存在を信じる・信じないで分かれるじゃないですか。私はいてもおかしくないと思います。地球にこんなに生命があるので、広い宇宙にも私たちと同じような生活をしている人がいるんじゃないかと思うし、いたらワクワクしますよね。弘さんは「宇宙人にインタビューするのが夢で、一緒にバラエティ番組を作りたい」と言っているので、それは私も見たいです(笑)

――実際に宇宙人と会う機会があったら、どうします?

「何食べてるんですか?」とか(笑)。それこそ、宇宙人の世界にメディアがあって、アナウンサーがいるのかとか、すごく気になります。現実的に考えて、人間のような生命体がいるか分からないですが……本当にあと何年かすれば、いろんなことがもっとクリアに分かってくると思うので、その段階では絶対に仕事として携わりたいと思います。

■入社5日目で「私も宇宙アナウンサーになれますか?」

――宇宙にハマっても、大学は文学部を選ばれたんですよね。

科学も物理も勉強としては不得意で、苦手分野だったんです。それでも、何かチャンスがあったときに資格があったほうが分かりやすくやる気を示せると思って、「天文宇宙検定」というのを、大学4年のときに受けました。それは、かなり高度な理系の知識が求められる試験で、合格率も低い狭き門に無謀にも挑戦して落ちました(笑)

だから、『宇宙兄弟』だけでここまで来たという感じなんですけど、まさか仕事になるとは思いませんでした。本当に夢のようです。

――入社したテレビ局に「宇宙ビジネス事務局」という部署ができるとは。

会社として宇宙ビジネスを事業化すると聞いて、本当に「日テレ大好き!」って思いました(笑)。新入社員研修で、現・宇宙ビジネス事務局の加藤友規さんによる宇宙ビジネスに関する講義があったんです。私はそのとき一番後ろの席に座ってたんですけど、もうワクワクして! 終わった後に加藤さんを呼び止めて「宇宙に興味あるのですが、私も宇宙アナウンサーになれますか?」って直談判したら、私の入構証の名前を見て、その場でプロジェクトチームのメンバーチャットに招待してくれたんです。入社5日目の、まだ何ができるかも分からない新入社員を入れてくれたのがうれしくて! そこから、今年の6月に宇宙ビジネス事務局ができて、兼務発令の内示が出たときはびっくりしました。