• 『仮面ライダー鎧武』で仮面ライダー斬月(斬月・真)/呉島貴虎を演じた久保田悠来

――久保田さん、高杉さんを含め『仮面ライダー鎧武』のキャスト陣はとてもチームワークがよい印象です。現場の雰囲気はどんな感じだったのでしょう。

ムードメーカーは豊でした。戒斗は誰に対しても心を開かないライバル的な役柄なんですけど、演じる豊はまったく違って気さくで明るいタイプだったので、現場の雰囲気がいつもやわらかで、朗らかな感じでした。岳や豊を中心にした若者チームと、僕や波岡(一喜:仮面ライダーシグルド/シド役)さんたち大人チームに分かれていましたけど、みんな和気あいあいとして、いい意味でまざりあっていた感じでした。

若者チームは最初、ずっとワイワイ騒いでいて、ちょっとうるさいなと思ってたんですけど(笑)、やがて大事なシーンの撮影をする際には、ピリッとした緊張感を漂わせるように変化していきました。やっぱり先輩たちの姿を見て、若い俳優たちが何かを学んでいった1年だったように思います。じっくり時間をかけて、彼らが俳優として大きくなっていく様子を見ることができました。

――テレビシリーズ全47話では、ミニマムなダンスチーム同士のテリトリー争いから始まって、やがて人類の存亡を脅かす世界規模の危機がやってくるというシリアスな物語が繰り広げられました。あのようなドラマ展開について、久保田さんの持たれた印象を聞かせてください。

『鎧武』のように、壮大なスケールの作品に出ることができて、本当によかったです。1年間にわたり、それぞれのキャラクターたちがぶつかりあい、成長していく。このキャラクター群像劇はとても濃密で、見ごたえがあったと思います。

――『鎧武』とは、自らの信念を持った複数のアーマードライダーが、人類の危機を食い止めるため死力を尽くす物語でした。その中でも貴虎は多くの人々を救い、平和をもたらしたいと願い続け、最初から最後までまったくブレることのない「責任ある大人」のヒーロー像を貫き通されました。改めて貴虎を演じていたころの思いについて教えていただけますか。

物語において重要なピースのひとつになってくれたらいいと思って、ストーリーを盛り上げるべく力を込めました。役者・久保田悠来としては、貴虎の人気が出てほしいと思いながら演技をしていましたけどね(笑)。

――いわゆる「変身ヒーロー」を1年間演じたことによって、久保田さんのファン層もいくらか変化したのではないでしょうか。

『鎧武』に出てから、SNSにコメントをいただくことが多くなってきたというのはありますね。このエピソードのこういう場面を観てファンになりました、なんて言われると、役者冥利に尽きるなあって(笑)。違う作品ではありますが、ときどき「えっ、そんな一瞬の何気ない場面を観てファンになってくれたんですか?」と驚くこともあるんです。

――『鎧武』キャストのみなさんで、最近集まったりしたことはありますか。

今でも何人かで集まって、食事に行く機会がありますよ。つい先日だと、池袋のサンシャイン劇場で朗読劇『極楽牢屋敷』(2023年8月12日)をやったとき、岳とゆーみん(志田友美)に会えました。真宙ともちょこちょこ連絡を取り合っていますけど、最近は会えていないかな。みんな忙しいのでなかなか集まれませんが、またそういったチャンスがあればいいなと期待しています。

  • 『仮面ライダー鎧武』で仮面ライダー斬月(斬月・真)/呉島貴虎を演じた久保田悠来

――改めて『仮面ライダー鎧武』で貴虎を演じられた10年前をふりかえり、ご感想をお願いします。

仮面ライダーに変身することのできる俳優は、そんなにたくさんいるわけではありませんから、僕が歴史ある仮面ライダーの一員として名を連ねることができるのは、改めて嬉しいことだと痛感しています。『仮面ライダー鎧武』に出演したことによって、いろんな人たちの心の中に残る「ヒーロー」になれた。その喜びはとてつもなく大きいものなんです。