俳優の成田凌が主演を務めるカンテレ・フジテレビ系ドラマ『転職の魔王様』(毎週月曜22:00~)が、きょう25日に最終回を迎える。
今作は“魔王様”の異名を持つ毒舌敏腕キャリアアドバイザー・来栖(成田)が、求職者の仕事や生き方への悩みを辛辣な言葉で一刀両断しながらも、働く自信と希望を取り戻させる転職爽快エンターテインメント。最終回では、かつての夢を追いかけるチャンスが訪れ、来栖は心が揺れる。そんな来栖の弟子・千晴(小芝風花)が面談を決行。キャリアアドバイザーとして成長した千晴の最終試験ともいえる面談の結果は……というストーリーだ。
そんな最終話を目前に、同作を手掛けるカンテレの萩原崇プロデューサーに、キャストの魅力や、最終回の見どころ、そして転職を描いたドラマを通して視聴者へ“伝えたかったこと”を聞いた。
■身近な“転職”をリアリティと共に描きたかった
――“転職”をテーマにしたドラマを制作されたきっかけや、制作するうえで苦労した点を教えてください。
転職は、仕事をしている中で考えたことがない方はあまりいないんじゃないかと思うくらい、身近なものだと思うんです。かつコロナ禍を経て、これまで以上に「自分の生き方」について考えさせられる時代になっているなと感じていて。そんなときに『転職の魔王様』の原作に出会って、今この時代に転職をテーマにしたドラマってすごくキャッチーなんじゃないかと考えたことがきっかけです。
「キャリアアドバイザー」という転職の相談を受ける仕事、人生の岐路に立ち会う仕事を描くにあたっては、エキセントリックなキャラクターがたくさん出てくるよりは、自分の身に何か起きたときにこういう人たちがいてくれたらいいなと思えるリアリティを大事にしたいなと思って、そのバランスは最後まで皆で議論しました。
■成田凌演じる“魔王様”来栖はいいバランスのツンデレに
――確かに、今作はエンタメ作品でありながら、転職のケーススタディを見せてくれる、ドキュメンタリーのような側面も持つドラマだなと感じました。
主演の成田さんが、タイトルにもなっている“魔王様”という役柄を、“THEキャラクター”にしすぎずに演じてくださって。静かで冷たい孤高の存在が、だんだん人間味を感じさせるようになって、見ている方の印象が変化していくといいねと話していたのですが、結果的には第1話から「いい人じゃん」と視聴者の方にバレていました(笑)。成田さん自身の優しさが最初から来栖にも見えて、ツンデレな良いバランスのキャラクターになったと思います。
――そんな来栖を演じた成田さんの魅力を教えてください。
常に冷静で、どこか掴みどころのない一面が魅力的な方です。成田さんとは、洋服の生地の質感やネクタイ、杖の持ち方、現在と過去の髪型をどうしようとか、ビジュアル含め来栖を作っていく打ち合わせに結構な時間をかけました。それもあってか、撮影が始まるときには、「来栖だったらこうする」というプランを明確に持っているようで、迷ったり悩んだりする顔を見たことがありません。「あ、こう来るんだ」という意外なアプローチも見せてくれるので、共演者の方が「じゃあ私ももっとこうしようかな」と刺激を受けて、自由に芝居のプランを試せるような現場になっていました。
■応援したくなるヒロインを作り上げた小芝風花
――“来栖像”をしっかりと持っていらっしゃったんですね。続いて、千晴を演じた小芝さんの魅力も教えてください。
僕も見ていたのですが、小芝さんは前クールですごくはっちゃけた金髪のキャラクター(テレビ朝日系ドラマ『波よ聞いてくれ』主人公・鼓田ミナレ)を演じていたので、そことの違いをすごく考えてくれて、千晴が人生に悩み切ったところから成長していくという幅もちゃんと計算して千晴を作ってくれました。小芝さんは天性の明るさや素直さを持っていて、現場をすごく愛してくれる方。成田さんも「小芝さんがいると明るくなるね」と仰っていました。見ている方が自然に「頑張れ」と応援したくなる千晴になったのは、小芝さんのお芝居の力だと思います。
■石田ゆり子の貫禄、おいでやす小田のいじられキャラに感謝
――そんな2人が働くシェパードキャリアにもとても魅力的なメンバーがそろっていました。撮影はどんな雰囲気でしたか。
シェパードキャリアの愉快な仲間たちも、自分のキャラクターをそれぞれに膨らませてくれました。台本上は一言挟むだけだったところも、舞台のような動きで笑いに繋げてくれたりして、役者さんの力を感じました。シェパードキャリアのシーンがあんなに明るく楽しいものになったのは、役者さんたちのおかげです。
――石田さん演じるボス・社長の洋子もとても魅力的なキャラクターでした。
石田さんと連ドラでがっつりご一緒するのは初めてだったのですが、ベテランでありながら誰より自然体で、暑い時は「暑い、無理(笑)」と素直にこぼしつつ、「皆で頑張りましょう」と士気の上がる言葉をかけてくださるような方でした。洋子は心に染みる格言のような台詞が多くて、説教臭くなっちゃうと嫌だなと心配していたのですが、すごく軽やかに演じてくださって、現場で聞いていて気持ち良かったです。石田さんの貫録を感じましたし、洋子がメインとなる第9話では、感情の起伏が激しいシーンのお芝居を目の当たりにして圧倒されました。
――撮影中に誕生日を迎えられたおいでやす小田さんのバースデーサプライズでは、「2023年・上半期ブレイク俳優ランキング」(オリコン)で小田さんが5位にランクインしたことを皆さんがいじっている様子も公開されましたね。「仏の山さん」を演じた小田さんについても教えてください。
最初に「怒鳴らない役なんですけど、大丈夫ですか」とお伺いしたところ、「決して怒鳴るのが好きなわけじゃないんです」と仰っていて、そういうものなんだなと(笑)。山口紗弥加さん、藤原大祐さん、前田公輝さんが小田さんをいじって現場が盛り上がって、撮影が始まってもその延長で小田さんにちょっかいを出すようなお芝居に発展して、シェパードキャリアの空気ができていったと思います。山口さんが小田さんに笑っちゃってNGを出したことも、逆もありました。オフィスのシーンは毎日撮っていたわけじゃないのに、最初から毎日一緒にいるような雰囲気ができていましたね。