女優で書道家の忍野さらが今月10日、芸名を「おしの沙羅」へと改名することを発表した。

グラビアアイドルとしてブレイクを果たした彼女は、一躍、時の人に。週刊誌や少年誌など、数々の雑誌で表紙を飾った。そして、2020年には、女優業を中心にすることを表明。現在は、女優としてドラマや舞台に出演しながら、「雨楽(うら)」の雅号で書道家としても活動している。

肩書きを自ら「女優」に変えた理由や、書道家としてのルーツ、そして改名への思いに迫った。

  • おしの沙羅

    おしの沙羅 撮影:冨田味我

■「変わる」必要がありました

――女優活動を本格化させてから、3年が経ちましたね。グラビアアイドルとして確固たる地位を築く中での「今後は女優として活動していく」という表明の理由は?

「“女優”になりたいから“グラビアアイドル”であることを辞めた」という本当にシンプルな理由です。1からちゃんと学んでいこうと思いました。

――グラビアアイドルからキャリアをスタートさせて、自然と肩書きが女優になっていくことも多いじゃないですか。おしのさんのように、自ら意思表明して、女優への道を歩き出すケースは珍しいのかなと。

「(グラビアアイドルを)やめる必要あった?」とか「どっちもやれば良いのに」とかは結構言われたりしました。でも、後悔したことは今のところ一度もありません。“グラビアアイドル忍野さら”の延長線上に、“私のなりたい女優”の姿はなかった。だからお世話になったもの全てに感謝をして、卒業する。手放す。そして「変わりたい」と強く思った私には「進化」ではなくて、「変わる」必要がありました。

生きていて気づけばいろんなものを身にまとっていきますよね。それを全て手放した時、今の自分は一体どんな形をしているのか知りたかった。今の自分に何かを積み重ねていくのではなく、今の自分をちゃんと脱ぎ捨てることが、私にとっての「変わる」でした。「進化」はそれからだと。

おしの沙羅

――大きく何かを変えることには覚悟と勇気が必要だと思いますが、不安はありましたか?

もちろん恐怖はあります! ただ、何かを得れば何かを失うように、手に入れたいと強く願う時、同時に手放す覚悟もできるのだなとは思いました。

不安でいうと、生活面かな(笑)。でも思い返すと私はどんな状況でも自分の生活に安心をしたことはなかったなと……。なので、こういう時こそ開き直って勢いと直感が大切かなって思いました。裸になった今だからこそ、自分の今の嗅覚や直感を信じてみたいという願いもあります。どうしたってもう自分の体がそっちを向いちゃってたんですよ! 私は信じています。世の中は勇気を出した者たちの劇場であると。

■だから私は映画女優になりたい

――肩書きを変えて、『絶対正義』(東海テレビ)、『華麗なる一族』(WOWOW)、『何かおかしい2』(テレビ東京系)などのドラマに出演。舞台も経験されましたが、手ごたえはいかがですか?

「できたな」と思ったことは一度もなくて。「どうしてこんなに難しいんだろう?」と思いながら、毎回やってます。

――自分で100点をつけられるような演技をするには、どうすればいいのでしょうか。

もしかすると、そんな日は来ないのかしら……、とも感じます(笑)。私はまだまだお芝居について語れる立場ではありませんが、今の自分にできるのは、撮影までに頂いた役と自分なりに向き合って、その心を少しでも理解しようと努めて、現場に行ったら、監督から求められることに全力で応えることなのかなと思っています。

――ドラマも舞台も、演技はやはり奥深いですね……。今後どのような女優になっていきたいかという展望はありますか?

あ、あと私は映画が好きです! 最近は試写会に呼んでいただけることも増えました。夜な夜な一人で映画館へ行ったり、昭和の作品や、香港映画にも興味があるので、リバイバル上映もよく行きます。色んな作品がありますけど、映画はやっぱり、血が通ってる感じがするというか、花に水をあげるように、観ているこちらの心を生かしてくれるような力があると思うんです! すごいなぁって憧れます。だから私は映画女優になりたいです。