■物語で描かれる親子関係が「僕の親父との関係と似ている」
瀬戸が演じた、正宗の父・昭宗は、自称「逃げてばかりの人生」。結婚して落ち着いたはずが、製鉄所の爆発事故をきっかけに失踪するという役どころだ。
アフレコにおいては、友人である声優・入野自由のアドバイスを意識したという。
「まだこの仕事が決まる前に、入野自由に『僕が声優をやるとしたら、どういうことに気をつけたらいい?』と聞いたら、『変に声を作るよりも、自分の地の声で演じたほうがいろんな表現ができるよ』と言われていたので、それはすごく意識しました。この声で選んでいただけたというのもあると思うので、変にカッコつけるとか、お父さんっぽくやるということは全く意識せず、この声でやりました」
昭宗は自称「逃げてばかりの人生」とのことだが、瀬戸は「最後まで諦めなかった人」と解釈している。
「彼が何か行動を起こしたことで世界が変わり始めたと思うので、最後まで諦めなかった強い人だと思って演じましたし、僕も仕事をする上で、最後まで諦めないという思いを持っているほうだと思うので、そこも共感できたかなと思います」
また、正宗と昭宗の親子関係は、瀬戸と実の父親との関係に似ているという。
「息子に対して一目を置いている感じが、僕の本当の親父との関係と似ているなと。過保護に自分の意見や考えを押し付けるよりも、見守るという子育ての仕方、向き合い方は、子供が成長する上ですごく大事なのかなと思いました。自分で考えないといけないと思うので、そういう風に育ててもらってよかったなと思います」
そして、本作参加がどんな経験になったか改めて尋ねると、「岡田麿里さんとMAPPAさんと関わりができたというのが自分の中では一番大きいです」と答え、「真面目にやっていたらいいことあるんだなと(笑)。今後、どうつながっていくかわかりませんが、またご一緒できたらうれしいです」と再コラボに期待を寄せた。
■絵を描くことは「頭の体操みたい」
瀬戸といえばデジタルアートが特技で、自身のインスタグラムでさまざまなイラストを発表。地元・福岡県嘉麻市のオリジナルキャラクター「カマシカちゃん」も生み出した。今回、声優としてアニメ作品に関わり、芽生えた野望はないのだろうか。
「僕はただ趣味で絵を描いているだけですけど、嘉麻市のPR動画でカマシカちゃんを動かしてもらうこともできて、割と叶っているんです。あとは、ソフビが好きなので、僕のキャラクターでフィギュアとかソフビは作りたいなと思っています」
そして、絵を描くことについて「頭の体操みたい」と表現。「お芝居とは違う頭を使っている感じがしています。絵を描くことで頭は柔らかくなると思うので、俳優としても何かしらプラスになっているんじゃないかなと思います」と語った。
今後については、「何も思い描いていないです。未来のことはわからないですし、今が大事なので」と目標は掲げていないようだが、「変化はし続けたいです。人生のテーマが変化ですから」と変化に対する思いはやはり強い。
「これからも変化は大事にしていきたいです。今の世の中、何が起こるかわからないですし、いろんなことにすぐ対応していかないと生き残れないような気がするので、一歩踏み出して、自分の中で何か少し頑張って変えてみようとすることは大事だと思います」と語っていた。
1988年5月18日生まれ、福岡県出身。2005年に芸能界デビュー。近年の出演作に、ドラマ『ルパンの娘』シリーズ(19・20)、『霊媒探偵・城塚翡翠』(22)、『鎌倉殿の13人』(22)、『私小説 -発達障がいのボクが純愛小説家になれた理由-』(23)、映画『コンフィデンスマンJP英雄編』(22)、『愛なのに』(22)、舞台『世界は笑う』(22)、『笑の大学』(23)など。『愛なのに』(22)で第44回ヨコハマ映画祭主演男優賞を受賞した。
ヘアメイク:小林純子 スタイリスト:小林洋治郎(Yolken) 衣装:シャツ、Tシャツ、パンツ/Sakas PR その他/スタイリスト私物