■「KOYABU SONIC」で「フォートナイト」エリアを新設

「KOYABU SONIC 2023」には、これまでと違った新たな催しがある。小籔が『ゲーム反対派の僕が2年で4000時間もゲームをするようになった理由』という著書で語っているオンラインゲーム「フォートナイト」エリアだ。

「『KOYABU SONIC』を最初に始めたとき、音楽とお笑いのフェスというのはあまりなかった。でも最近は吉本もやり始めていますが、音楽とお笑いのフェスなんて、全然真新しくないんですよね。『KOYABU SONIC』の色を考えたとき、もう特別やらなくてもいいのかな……なんて思っていたんです。そんなとき、僕が『フォートナイト』にはまって。海外では音楽とゲームフェスという組み合わせはあるのですが、音楽とお笑いとゲームを同じ情熱でやっているフェスはあまり聞いたことがない。それならば僕がやる意味もあるのかなと思ったんです」

著書を出すほどハマったというオンラインゲーム「フォートナイト」。

「僕はYouTubeをやる気はなかったのですが、息子にハメられて『フォートナイト』をやってみたら、意外と面白くて。そこでYouTubeやネットの世界でいろいろやらせていただいていくなかで、『フォートナイト』に出会ったことですごく人生が豊かになったということを先輩方に思っていただくためにはどうしたらいいのか……と考えるようになったんです。そこで『KOYABU SONIC』とゲームを結びつけたら、なにか面白い化学反応が起こるのかなと」

こうして新たに加わった「フォートナイト」エリア。初の試みのため、まだまだ手探りだという。

「ゲームをやっている方からしたら、今回『KOYABU SONIC』に参加してくださっている方は、本当にすごい方なんです。でもオンラインゲームでオフラインイベントをやるというのは、思っていた以上に大変でした。まずどれだけお客さんがくるか分からないなか、『フォートナイト』エリアでは新たに入場料は取れないんです。しかもステージを組んで、スクリーンをはって、パソコンを用意する。あとは運営元であるEpic Gamesさんがアメリカの会社なので、さまざまなやり取りも、とても大変でした」

■「自分のためには頑張れないけど、誰かのためになるなら頑張れる」

困難なことがありつつも、さまざまなことに向かっていくモチベーションはどこにあるのだろうか。

「基本的にはどんな仕事でも『あいつ呼んで良かったな』と思ってもらいたいという気持があります。僕は大阪の住之江という場所で生まれたのですが、吉本に入って最初は全く売れませんでした。その後結婚と同時に吉本新喜劇に入り、『やばい、マジで金を稼がんと』と思って、初めて仕事にちゃんと向き合ったら、ちょっとずつ仕事が入ってくるようになった。その後『人志松本のすべらない話』がきっかけで東京のテレビに出られるようになって……。そんななか、僕が一番大事にしているのは『また小籔を呼んでみたいね』と思ってもらえることなんです」

もう一つ、小籔が大切にしているのが縁だという。

「僕は基本的にぐうたらなんで、自分のためには頑張れないんです。ジェニーハイも、僕が前のめりでやりたかったのではなく、流れでドラムをやるようになった。メンバーはみんなすごい方ばかりなので、僕が足を引っ張ってしまうといけないので、しっかり練習しようということになる。吉本新喜劇もそう。僕は誰かのためになるなら頑張れるのですが、自分のためとなるとすぐ怠けてしまう。だからこそ自分から『こういうことをやりたい』というよりも『こんなの面白そうだからやってみない?』と言われた方が頑張れるんです」

「KOYABU SONIC」についても「来たお客さんが喜んでくれたり、笑顔で帰ってくれたりしたら、しんどいことも報われると思うんです」と語ると、「プロフェッショナルを極める方もいますが、僕はぐうたらなので、1番になる執念みたいなものがなかった。だからこそ、いろいろな方と出会って、絡むことで自分でも想像できなかったようなところにたどり着けています。『KOYABU SONIC』もまさにそう。自分が意図していない方が、いい方向に進むんだと思います」と周囲の愛すべき人たちに感謝を述べていた。

■小籔千豊
1973年9月11日生まれ、大阪府出身。大阪NSC(吉本総合芸能学院)12期生。2001年に吉本新喜劇に入団し、2005年に約4年という異例の早さで座長に就任。吉本新喜劇を全国区にしたいと、2011年に東京に進出。さまざまなバラエティ番組で活躍し、バンド・ジェニーハイのドラムとしても活動。2022年8月の公演をもって吉本新喜劇の座長を勇退した。