• 恒松祐里

翻って、自身の仕事への向き合い方も、「今年でデビュー18年になりますが、中学卒業、高校入学など、いろんな転機で辞めるタイミングもあったと思うんです。でも、好きだから続けてこられたというのがあります」と強く共感。

浮き沈みがありながらも30年続けてきた松本ハウスの姿を見て、「女優という仕事は、年月を重ねるごとにできる役が変わって、役の幅も変わって、一方でできなくなってしまう役もあったりして、すごく儚(はかな)い職業だと思うんです。でも、変化があるということはすごく楽しいことで、だからこそずっと続けられるお仕事だと思うので、私もきっと30年、40年と続けていくんじゃないかなと思います」と、将来を見据えた。

コンビで支え合って困難に立ち向かってきた松本ハウスだが、恒松にとっての支えとなる存在は、家族だという。

「今も実家に暮らしているので、もちろん生活的にすごく支えられているものがたくさんありますし、両親は仕事に対してそんなに干渉してこないんですけど、疲れているときにレモンとハチミツを溶かしたお湯を置いてくれたりとか、日常の中で私の小さな変化を見てくれているので、すごく支えられているなと感じています」

■『ザ・ノンフィクション』で他では得られない経験

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当するのは、『モモコと熱血和尚 ~おじさん、ありがとう~』(20年2月2日放送)以来、2回目。「よく30分番組のナレーションをやらせてもらっているのですが、1時間だと分量もありますし、フォーカスされている方の人生を追っていくという体験は他では得られないものなので、すごく勉強になります」と語る。

それだけに、「1人の人生に対してどんな声を添えればいいんだろうと毎回悩みますし、すごく難しいけど、面白いなと思います」と充実の様子。だからこそ、「登場する方がどんな方なのかというのを知ることで、同じ温度感にしていかないと」と事前に松本ハウスのことを調べて、より深く背景を知った上で臨んだ。

改めて今回の作品を見て、「私の近くに統合失調症を抱えている方が実際にいるわけではないのですが、病気を乗り越えていく2人の関係性やその姿を見て、こういう方がいるんだということを深く感じられて、大切な経験ができたので、今後同じような悩みを抱えながら仕事をしている方に出会ったときに、今までとは違った接し方ができると思います。また、どんな障害や病気を抱えていても、その人自身を見ている松本さんの目線や姿勢がすごく勉強になりましたし、こういう人でありたいなと思いました」と、学ぶことが多かったそう。

今後のコンビの行く末についても「気になる存在ですね」と、続編に期待を示した。

  • 歌舞伎町を歩く松本ハウス (C)フジテレビ

●恒松祐里
1998年生まれ、東京都出身。05年、ドラマ『瑠璃の島』(日本テレビ)で、7歳で子役としてデビュー。その後、NHK大河ドラマ『真田丸』、NHK連続テレビ小説『まれ』『おかえりモネ』をはじめ、数々の映画、ドラマに出演する。近年は、ドラマ『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日)、『リバーサルオーケストラ』(日本テレビ)、『全裸監督 シーズン2』(Netflix)、『今際の国のアリス シーズン2』(同)、『御手洗家、炎上する』(同)などのドラマ、『きさらぎ駅』、『Gメン』などの映画に出演。音楽番組『Sound Inn S』(BS-TBS)ではナレーションを担当している。