女優の恒松祐里が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、10日に放送される『人生と笑いと震える手 ~相方が心を病んだ時~』。心の病による10年間の活動休止を経て再起を懸ける、お笑いコンビ・松本ハウスの姿を追った作品だ。

困難に向き合いながら奮闘する2人の姿に、強いコンビ愛を感じたという恒松。今回の作品を通して、得られるものが多かったようだ――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した恒松祐里

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した恒松祐里

■週5日のアルバイトをしながら2人の子どもを養う生活

90年代に『ボキャブラ天国』(フジテレビ)でブレイクし、若き日の爆笑問題やネプチューンたちとしのぎを削っていた、ハウス加賀谷と松本キックによるコンビ・松本ハウス。当時の最高月収は300万円を超えたというが、人気絶頂の中でテレビから姿を消した。

売れっ子となり、忙しくなったことのプレッシャーから、ボケ担当の加賀谷が統合失調症を悪化させて長期入院。10年の月日が過ぎて活動を再開したが、完全復活にはほど遠い。相方の病気を学び、体調に合わせて、試行錯誤を続けて復活を目指す松本は、活動休止期間に結婚し、週5日のアルバイトをしながら2人の子どもを養うギリギリの生活を続けていた。さらにコロナ禍が追い打ちをかけるが、結成30周年の記念ライブで原点に立ち戻ることを目指す…。

■松本キックに「仏のような愛」を感じる

収録を終えて、「30年というのはすごく長い時間だと思うのですが、2人の山あり谷ありの人生がすべて凝縮されているような映像でした」という恒松。「たぶん一番大変だった時期は映像よりももっと前にあって、今でも大変ではあるものの以前に比べれば落ち着いて、自分たちの状況を見られるようになっているのを感じたので、今自分が大変な状況にある方たちも、“いつか波が落ち着くときが来る”というのを感じてもらえるのではないかと思いました」と、希望も受け取れる作品だったという。

『ボキャブラ天国』をリアルタイムで見ていない世代のため、今回初めて松本ハウスの存在を知ったというが、「おふたりの優しさやお互いへの愛が、ネタを通じても伝わってくるなと思いました。特に、松本さんの仏のような愛を感じましたし、加賀谷さんは病気と向き合いながらも続けていくこと自体が素晴らしいことだと思います」という印象に。

ナレーションを担当するにあたり、YouTubeで松本ハウスを調べたそうで、「統合失調症の体験を語る講演会で、いかに聞いている人に伝わりやすい内容にするかを、ネタのように構築して話されているのを見て、おふたりの真面目さをすごく感じましたし、お互いを大切にしながら一緒に歩んでいる感じが、いい関係だなと思いました」とコンビ愛を受け止めた。

  • ステージに立つ松本ハウス(左から ハウス加賀谷、松本キック) (C)フジテレビ

加賀谷の病気や活動休止をきっかけに、芸人を辞めるという選択もあったはずだが、それでも続けてこられた原動力は、「やっぱり、お笑いが好きという気持ちだと思います」と想像。

「特に加賀谷さんは、厳しいしつけの家庭環境で育ってきた中で、お客さんを笑わせるお笑い芸人という素敵な職業があるんだということに気づけたことが大きいと思いますし、夢とか好きという気持ちは、どんな厳しい状況も乗り越えられるものなんだと思います。それで周りの人は迷惑してしまうこともあるかもしれないですけど(笑)、やっぱり“好き”という気持ちでここまで続けてこられたし、“これしかないんだ!”という思いを、すごく感じました。だからこそ、厳しい生活の状況であっても、キラキラ輝いて見えるし、好きなことを仕事にしている人にしか出せないオーラを放ってるなと思いました」