『バロム・1』と『ウルトラマンA』
――アイドル時代のインタビュー記事を拝見しますと、子どものころの南野さんは『超人バロム・1』(1972年)などの特撮ヒーローが好きだったというコメントがありました。関西だと『仮面ライダー』シリーズよりも『超人バロム・1』のほうが再放送の頻度が高く、それだけ愛着があったのではないかと思われます。
よく観ていましたよ。『バロム・1』は猛と健太郎がバロム・クロスで合体して変身するじゃないですか。私は円谷プロの『ウルトラマンA(エース)』も大好きで、あれも北斗隊員と南隊員がウルトラタッチで合体変身するでしょう。異なる者同士が組み合わさって、新しい何かに生まれ変わるといったシチュエーションがいいと思うんです。ですから、2種類のカードを組み合わせる『仮面ライダーガッチャード』も、もちろん私の好みのヒーローです。私が『ガッチャード』に出演するのは、必然だったのかもしれませんね(笑)。
――そこにつなげられるとは、まことに恐れ入りました! 今回の『ガッチャード』での南野さんの役どころは、定食屋を切り盛りする元気なお母さんだとうかがいました。珠美を演じるにあたり、意識されたのはどんな部分でしょうか。
とても朝早くから営業している店という設定で、最初はびっくりしました。たぶんトラック運転手の方とかのおかげで、繁盛しているお店なんでしょうね。宝太郎は、珠美のお店を手伝ってくれる、とてもいい息子です。役作りについて、特に難しいことは考えていませんけれど、宝太郎を優しく見守る母として、常にほがらかな状態でいることができればと思っています。
――庶民的な役柄ですが、劇中での衣装はどのような感じなのですか。
普通のシャツやワンピースといった、気取らない格好ですが、作品に入る前に本島(純政)くんにエプロンを選んでね、とお願いしました。ピンクの花柄エプロン。きっと宝太郎が、母の日か誕生日にプレゼントしてくれたんじゃないか、と想像してます。
――現場での母子の信頼関係はいかがですか?
まだ撮影が始まったばかりなんですけど、そのわりにはあたたかい空気の流れる、母子のいい時間を作ることができているように思います。本島くんのお母さんは私より年齢が若いのですが、私自身、あの年頃の息子がいてもおかしくありませんし、特に意識をしなくても親目線で見守ってしまいますね(笑)。珠美と一緒にいるときの宝太郎は「戦い」とは毛色の違う、日常的なシーンが続きます。『仮面ライダー』じゃなくて別の作品? CM?と思うような母子の描写があり、とてもチャーミングな宝太郎が観られますので、楽しみにしていてください。
――定食屋の店内に立たれたときのご感想をお願いします。
とても素敵なセットを作っていただいて、気持ちを込めやすいなと思いました。メニューとかも壁に貼ってあったりしますし、隠れアイテムとして「ヨーヨー」がどこかに置かれていたりして、スタッフさんのこだわりと愛情を感じましたね。最初、見つけたとき「あっ、ヨーヨーがあるじゃない!」って声を出してしまいましたから(笑)。近くにこんなところがあったら、食べに行ってみたいな~と思わせるお店になっています。
東映東京撮影所がルーツ
――『スケバン刑事II』で南野さんは吉沢秋絵(矢島雪乃役)さん、相楽ハル子(中村京子役)さんといった同年代の「仲間」と共演されていました。『ガッチャード』では、宝太郎をとりまく錬金アカデミーの生徒たちが多数出演していて、みな和気あいあいと撮影をこなしているそうです。そんな若いキャストたちの姿を見て、南野さんはどんなことを思われましたか。
私自身『スケバン刑事II』のころそうだったように、撮影現場で同じ方向を向いている仲間がいることはとても心強く、支えになると思います。1年にわたっての撮影だと、これから精神的にも肉体的にも大変になるときがあるかもしれませんけど、信じあえるスタッフ・キャストたちが力を合わせて困難を乗り越え、良い作品を作り上げてほしいと願っています。
――これから1年間、東映東京撮影所に通われることについて、どんな思いがありますか。
私のルーツをたどれば、『スケバン刑事II』で通った東映東京撮影所になります。あれから何年経っても、行けば張り切るし、ホッとすることもできるし、大好きな場所ですね。撮影所で学んだことがたくさんありますから、これからはそれを若い人たちに伝えていければいいなと思っています。
――現在放送されている、日曜朝(9:00~9:30)の仮面ライダーシリーズのことはご存じでしたか。
知ってはいましたけれど、なかなか観る機会がなかったですね。でも、私が子どものころに観ていた仮面ライダーと同じく、愛や正義、友情を学び、感じ取ることのできる作品だと確信しています。子どもたちの感情を大きく動かし、影響を与える『仮面ライダー』ですから、演じる側も気をひきしめて参加しなければと、気合いを入れています。
アクションへの期待は…
――かつての二代目麻宮サキの凛々しい姿を記憶している大人ファンとしては、南野さんにもぜひ「戦う」ときが来ることを期待しています。
もうヒザが痛くてアクションはできません(笑)。でもこれから先、どういう展開になるのか私たちも詳しくは知りませんから、もしかしたら今後「戦っていただきます」という声がかからないとも限りません……って、私のことよりも、主役の宝太郎をちゃんと立てる書き方をしてくださいね! なんといっても、ガッチャード/宝太郎の活躍がメインなんですから。
――わかりました! それでは、いよいよ始まる『仮面ライダーガッチャード』の注目ポイントを、南野さんからファンのみなさんへお伝えしてください。
宝太郎を中心に、個性的な若者たちがいろいろな経験をし、成長していくストーリーにご注目ください。敵・味方ともに魅力的なキャラクターがたくさん出てきますから、ぜひお気に入りをチェックして、楽しんでいただきたいです!
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