2種類のライドケミーカードを組み合わせて変身する「錬金術師ライダー」の活躍を描く新番組『仮面ライダーガッチャード』が2023年9月3日より放送スタートする。主人公・一ノ瀬宝太郎(演:本島純政)は、夢を探し求める高校生。世に放たれた人工生命体(ケミー)をすべて回収する使命を託された彼は、変身ベルト「ガッチャードライバー」で仮面ライダーガッチャードとなり、人々を守って邪悪な存在との戦いに臨む。
『仮面ライダーガッチャード』単独キャストインタビュー。今回は、宝太郎の母親で、定食屋をひとりで切り盛りしている一ノ瀬珠美を演じる南野陽子にご登場いただいた。80年代後半~90年代のトップアイドルとして歌にドラマに映画に大活躍し、近年もさまざまなメディアで存在感を発揮している南野に、自身も子ども時代から好きだったという「特撮ヒーロー」作品に出演する意義や、若いヒーローをあたたかく見守る母親役にかける意気込みを尋ねた。
『仮面ライダー』出演の予感
――これまでに数々の映画、ドラマなどで活躍されてきた南野さんが『仮面ライダー』シリーズにレギュラーで出演されることが決まったとき、どういう思いを抱かれましたか。
ずっと以前から『仮面ライダー』への出演依頼が私にところに来るかな、という予感がありましたが、それが「今」だとは思っていませんでした。もともと私は東映さんの『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』に出演して、ヨーヨーを投げて悪者をやっつけるアクションをやっていましたし、そのアクションをつけてくださった殺陣師の岡田勝さんは、最初の『仮面ライダー』(1971年)でライダーや怪人を演じられていて、撮影当時の裏話をうかがったりしていました。さらに、二代目麻宮サキ=五代陽子=早乙女志織の父親・早乙女七郎を演じられたのは『仮面ライダーV3』(1973年)の風見志郎役・宮内洋さんでしたからね。仮面ライダーとは昔からとてもご縁があったんです。
スケバン刑事IIの名シーン
――『スケバン刑事II 少女鉄仮面伝説』は学園を舞台にしたアクションドラマでありながら、かなり現実離れした「特撮」テイスト強めなストーリー展開で大人気となりました。ところで、第2話でサキが腕立て伏せ200回を強制されるシーンで、南野さんをワイヤーで吊りながら撮影したという話が今もなお伝説的に語り継がれていますが、あれは本当だったのでしょうか?
それは本当です。ですけど、腕立て200回なんですよ。そんなの、普通の女の子で出来る人っています? リハーサルも入れると、何回も繰り返しやらなきゃいけないし、腕に負担をかけないようにして撮影する必要があったわけです。だから、私に限ったことじゃないんですよ。最初はカメラを90度傾けて、立ったまま壁に腕をつけてみようかというアイデアが出たんですけど、髪の毛が垂れないのはおかしいし、スタッフさんがいろいろ考えた結果、吊ることになったんです。
東映・手塚治氏は「お兄さんみたいな」存在だった
――実際、南野さんは『スケバン刑事II』の撮影でかなり激しい立ち回りにも挑戦されていますし、あのころの頑張りはすべてフィルムに焼き付いて永遠に残っていますね。『スケバン刑事』といえば、今年2月、惜しくもこの世を去った東映の手塚治社長は、これらの作品でプロデューサーを務められていました。改めて故人を偲び、南野さんから当時の思い出話を聞かせてください。
手塚さんは『スケバン刑事II』スタッフの中でもいちばん若手だったんです。常に近くで見守ってくださり、撮影でのアドバイスや、ねぎらいの言葉をかけてもらいました。高校の試験勉強と撮影が重なっていたときは、家庭教師のようにいろいろと教えていただいたことも……。私にとってはお兄さんみたいな、とってもお話のしやすい方でした。