『らんまん』の前に、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(22)で北条時政の次女・実衣役を熱演していたことも記憶に新しい宮澤。
「『おちょやん』出演時は、まだ映像作品の出演経験がかなり少ない状態で、本当に不安しかなかったです。しかも、NHK大阪放送局での撮影だったので、環境に適応していくのにも精一杯で、コロナ禍が始まったばかりの時期でもありました。その後、『鎌倉殿の13人』で1年半近く関わらせていただき、まるで出勤するかのように毎週NHKに通い詰め、そのあとが今回の『らんまん』でした。今回は少し勝手がわかっていたので、もう少しお芝居の方に集中できたし、余裕みたいなものがあった気がします」
また、改めて『おちょやん』以来3年ぶりに朝ドラの現場に入った感想について訪ねると「共通して言えるのは、朝ドラの現場はものすごいこだわりと温かみを感じる現場だということです。長期スパンを一緒に過ごすし、とっても家族的なところがあり、演者だけではなく、スタッフ一丸となって作品を作り上げていくチーム感がすごく強いです。大河ドラマは、規模も関わる人数もまた1つ大きくなりますが、朝ドラはそれがぎゅっと密になっている感じです」という印象を述べた。
■舞台と映像作品の違いやそれぞれの魅力を実感
舞台を主軸に活動してきた宮澤だが、映像作品ならではの面白さについても聞いた。
「『らんまん』の初期に出演してから、今回再登場するまでの期間に、久々に舞台をやらせてもらいました。舞台はどれだけ稽古を重ねられるかの楽しさがありますし、演劇ならではの深め方があるなと改めて実感する時間でした。その一方で、テレビドラマの現場に戻ってきた時、ものすごくタイトな時間で撮影を進めていく際に、自分の中でどれぐらい役を明確に掘り下げられるかということにかかってくるなと実感しました。もちろん現場で演出の方にも相談をしますが、個々の役者のスキルや考え方が大きく反映される現場だなと思っています」
さらに、「皆さんはよく“瞬発力”とおっしゃいますが、私はいまだにそれって何だろう? と思いますし、どのカットももっとこうすれば良かったと思ってしまいます。演出家からOKと言われたら、それ以上何もできないのですが、その瞬間、まさか自分からこんなものが出てくるとは思わなかったり、相手の方からも、こんなものをもらうとは思わなかったと思うことがあります。また、舞台では最前列の観客じゃないと、細かい表情が見えないのですが、映像だと本当にちょっと眉や口角を上げるだけの表情で、いろいろなものが伝わるんだということが経験できる気がします」と映像作品の魅力を表現した。
最後に、宮澤が今度の見どころについて語ってくれた。
「みえが久々に登場したことで、何か1つ、寿恵子に大きな動きが出てくると感じていただければうれしいです。寿恵子は万太郎さんと一緒になって、楽しい時もあればつらい時もあった中で、物語の終盤になってからも、愛を信じて、心のままに生きていきますが、大人に成熟した寿恵子が、みえと再会したことで、また次のステージに上がるきっかけを与えられるような時間を一緒に過ごしていきます。料亭の仲居さんも含め、それぞれにキャラクターが面白いし、全員が1人1人粒立っているので、そういうところも楽しみながら見ていただければ幸いです」
11月23日年まれ、東京都出身。ミュージカル『メリリー・ウィー・ロール・アロング ~それでも僕らは前へ進む~』(13)で初舞台を踏み、『シスター・アクト~天使にラブ・ソングを~』『ドッグファイト』『ジキル&ハイド』『ウエスト・サイド・ストーリー』など多くの舞台に出演。ドラマは、連続テレビ小説『おちょやん』(20~21)で注目される。以降『大河ドラマ 鎌倉殿の13人』(22)、『津田梅子~お札になった留学生~』(22)、『よだれもん家族』(22)、『罠の戦争』(23)などに出演。
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