• (C)フジテレビ

ラジオリスナーに刺さる物語にするため、様々な点でこだわって制作しているが、それと同時に、「ラジオリスナーだけに刺さる物語にはしたくない」とも意識した。そこで重視したのが、青春、友情、ラジオ(校内放送)という3つの要素のバランスだ。

「ラジオリスナーの方々を大切にしつつも、青春の中にある友情もしっかり描き、深夜でメジャー感のある物語を作ろうと、そこのバランスはとても苦労しました。クランクイン直前まで、何度も何度も脚本の伊吹(一)さん、前田(知礼)さん、熊谷(理恵)P、清矢監督と細かく話し合いました」

その結果、3話までの放送を受け、「本当にありがたいことに、見てくださった方々からは前向きなお言葉を多く頂きました。4話で終わってしまうのは寂しいというお声もあり、そのようなお言葉を頂けて、スタッフと一緒にとても喜んでおりました」と反響が。

そして、今夜の最終話の見どころを聞くと、「なんといっても3人(浩哉、健太、瑞輝)がどのような最後の校内放送を行うのか、3人の青春が詰まったワクワクする青臭い校内放送になっていると思います。また、その中で流す楽曲も広い世代から愛される素晴らしいものとなっていますし、主題歌のかかるタイミングも楽しみにしていていただきたいです。そして、『佐久間宣行のオールナイトニッポン0』チームの皆さんがどこで登場するのか、お楽しみに!」と予告した。

  • 8月22日放送の最終話より (C)フジテレビ

■初めてのチャレンジが多くできた作品

幼少期からドラマに親しんで育ってきたという足立氏。「3つ上の姉や母もとてもドラマっ子で、小学生の頃から家にいるときは、ほとんどドラマが流れていました。父は野球中継が見たいので、よくリモコンの取り合いになっていました(笑)。そんな家庭でしたのでドラマに触れる機会が自然と多くなり、自分自身もドラマっ子になっていきました。学校で友達と昨夜のドラマの話をしたり好きなシーンのモノマネをしたりしていましたね(笑)」と、どっぷり浸かっていた。

しかし、大学では先輩や周囲にメディア関係の人があまりいなかったこともあって、「制作者視点でドラマを仕事にするという発想は全然なかったんです」とのこと。だが、「就活でいろいろな企業の説明会やインターンシップに参加していくと、どの業種も自分が働くイメージがなかなか湧かず…。そんなときに、テレビ局で働いていた高校のOBの方がいらっしゃってお会いさせていただいて、初めて詳細にテレビのお仕事についてお話をお聞きし、自分も働いてみたいと具体的に思うようになりました」と、志望することになった。

2020年にフジテレビへ入社し、最初は情報番組の制作を担当したが、昨年、念願のドラマ制作に異動。そこからわずか1年で、プロデューサーデビューすることができたのは、若手クリエイターが月替わりで担当する「火曜ACTION!」という枠があるからだ。

「企画段階から深夜の30分×4話だからこそできるドラマをやろうということは強く意識していました。今回の企画もGP帯で1時間×10話だとできない内容だと思いますので、この枠ならではチャレンジをさせていただけてとても面白かったです。今回、私は初めてプロデュースをさせていただいたのですが、木戸さんは連ドラ初主演、めいちゃんさんはドラマ初主題歌、脚本に関しても前田さんはドラマ初脚本、清矢監督は連ドラ初チーフ監督で、『火曜ACTION!』だからこそ初めてのチャレンジが多くできたという意味で、大変ありがたい枠です」

フジの深夜帯は、他にも若手制作者にチャンスを与えるチャレンジ枠が編成されているが、そこで放送された異色のバラエティ番組『ここにタイトルを入力』で注目を浴びる原田和実氏は同期に当たる。「内定者研修のときからたまたま同じ班だったということもあって、それ以来、定期的にご飯に行ったり、休みの日に遊んだり、お互いの仕事の相談をしたりしていて、とても仲が良いんです。もちろん原田の番組は見てますし、面白いなあと、いつもとても良い刺激をもらっております」と、ジャンルの枠を超えて切磋琢磨しているようだ。

  • 足立遼太朗プロデューサー

●足立遼太朗
1996年生まれ、兵庫県出身。大阪大学卒業後、20年フジテレビジョンに入社し、情報制作局に配属。『直撃LIVE グッディ!』『バイキングMORE』『ポップUP!』を担当し、22年にドラマ・映画制作部へ異動。『ナンバMG5』『女神の教室~リーガル青春白書~』でプロデュース補などを担当し、『僕たちの校内放送』で初プロデュース。