21歳で高校生を演じることについては、「もしかしたら最後の学園モノの生徒役になるかもしれないという覚悟みたいなものがあるので、そういう作品で今までのイメージにない役をやらせていただけることは、さらにうれしくて、ありがたいことだなと思います」と改めて感謝。また、「クラスメイト役に6歳離れた弟と同い年の子がいるので、年齢差を感じることはありますが、そこをあまりハードルに感じることもなく、撮影を進められていると思っています」という。

生徒役の中では年上組という立場だけに、気を引き締める部分もある様子。

「学園モノは、他の作品に比べると年齢層がグッと下がるので、若さとエネルギッシュさはすごく感じますし、それが楽しいシーンでは、すごくプラスに出ていると思います。逆に、締めなくちゃいけないときに、楽しいモードから“本気でやるぞ”というモードにいかに変えられるかが、僕らの現場の課題だなと思っていて。その日に1回できたらOKじゃなくて、それを何日もつなげていくことが大事な作品だと感じているので、お仕事として『最高の教師』という作品に選んでもらえた30人ということをいつも忘れずに、切り替えという意識はこれまでみんなで心がけているところですし、今後もっと必要になってくるんじゃないかと思っています」

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■『最高の教師』からもらった言葉

心に刺さるセリフが毎回出てくる今作。加藤は、スピンオフ作品『3年後の僕たちは』で、日暮有河(萩原護)が言う「自分を卑下しなくなると、他人のことを下に見なくなります」が、特に印象に残っているという。

「これは僕の中になかった考えで、“うわすごい!”と思いました。彼らが注目された本編の第3話は、相楽に『別に仲良くなんかしたくないから、ハブってくれ!』と懇願して、すごく切り口が斬新だなと思ったんですけど、実は自分が勝手に想像で恐れて、自分を卑下して保険をかけてやってることって多いのかなというのを感じました」

そう捉えたのは、自身の経験から共感する部分もあったからだそう。

「僕自身も、実は自分を卑下しがちな人間で、自分を下げるだけならいいんですけど、それによって自分のことを評価してくれている人たちのことも半分否定してしまうことがあるなと、ここ数年で思っていたんです。謙虚に生きられることは素敵だと思うんですが、謙虚であることと自分を卑下することを、もしかしたら同じように捉えていたんじゃないかと、すごく感じました。これは明らかに『最高の教師』からもらったものですね」

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■相楽のバックボーンが分かればクラスに真髄に気づける

今後の見どころを聞くと、「作品としては、放送が始まる前から皆さんが気になっている、“誰が九条里奈を突き落としたのか”というところで、九条が2周目で生徒たちを変えていくことで、犯人は同じなのか…という要素もありますが、相楽としては、どうしてああいう行動をとるのか。クラスがどうなることを欲していて、なぜそれを欲しているのか。それは他人に言わせれば負の連鎖ですが、相楽の“楽しい”に対する執着がサイクルしているからだと分かると思います。あのクラスの空気を形成する役柄でもあるので、そこに注目していただければ、3年D組というクラスの真髄にも気づけると思います」と予告。

また、生徒それぞれのバックボーンを作り込んでいることで、「物語が進むにつれて、30人の誰か1人に、自分に近しいものを感じられたり、考えに共感できるように、キャラクターの豊富さと緻密さで感情移入させやすい状態を作っているので、そこで死を経験して死ぬ気で人を変えることで自分も変えようとしている九条里奈の声がかかると、間接的に視聴者の方にも声がかかっているように感じられると思います」と、作品が放つ強いメッセージ性の背景を語っている。

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●加藤清史郎
2001年生まれ、神奈川県出身。1歳1カ月から俳優として数々の作品に出演し、09年のNHK大河ドラマ『天地人』で主人公・直江兼続の幼少時代を好演。トヨタ自動車のCMで「こども店長」としても活躍した。11年に『忍たま乱太郎』で映画初主演、『レ・ミゼラブル』のガブローシュ役でミュージカルに初挑戦。近年の主な出演作はドラマ『ドラゴン桜』『競争の番人』『弁護士ソドム』、映画『#ハンド全力』など。今年10月13日には映画『ゆとりですがなにか インターナショナル』が公開、11月9日からはミュージカル・ピカレスク『LUPIN ~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』が上演される。